遺骨を粉骨する選択肢。「なぜ?」が分かる5つの理由
今、遺骨を粉骨する業者をネット上でしばしば見掛けますが、現代の葬送事情をあまり知らないと、「なぜ?」と思う方は多いですよね。実際に質問もあります。
近年になって「お墓を持たない」考え方が広がり出してから、特にニーズが増えてきた遺骨の粉骨は、それ自体が求められているのではなく、葬送の「新しい選択の結果」産まれたニーズです。
より自分達らしい葬送を選ぶことができるなら、知っておきたいですよね。そこで今日は、遺骨を粉骨して故人を弔う葬送の形を、いくつかお伝えします。
遺骨を粉骨する選択肢。
「なぜ?」が分かる5つの理由
現在増えてきた「自然葬」
遺骨を粉骨する理由に最も多いのが、「自然葬」の選択です。自然葬は終活の広がりにより、生前に故人本人が望んでいたり、生前契約をしていたために、この葬送を選ぶケースが多くあります。
【 遺骨の粉骨:自然葬 】
★ 「自然葬」には樹木葬や海洋散骨、野山に撒く葬送などがあります。
・ 樹木葬では遺骨を粉骨しなくても、骨壺を樹木の根本に埋葬する方法がありますが、海洋散骨や野山に撒く方法では、遺骨の粉骨が必要です。
(当たり前ですが)遺骨を海に落としたり、墓地指定のない野山に埋葬することは、法律上できません(※)。遺骨を粉骨して海や野山に撒き、「土(自然)に帰る」、と言う考え方に基づく葬送です。
※ただし、法律上では遺骨を粉骨して海や野山に撒くことは問題ありませんが、周囲への配慮は必要になります。業者を通して葬送を行うことは、トラブル回避のために不可欠です。
グリーフケアに役立つ、宝石加工
現代になってしばしば聞くのは、「故人への悲しみが癒えずに、遺骨を埋葬できない…。」と言うものです。
昔ながらの慣習では、沖縄ではお墓があれば葬儀の日に…、全国的にも四十九日、お墓を建てる場合には一周忌(一年忌)などを目安に、埋葬します。
【 遺骨を粉骨して、宝石加工 】
★ けれども実際には埋葬するのに期限はありません。そのため手元供養を選ぶ遺族も増えています。
・ さらに遺骨を粉骨してダイアモンドなどに加工したり、粉骨した遺骨が入るペンダントトップも販売されるようになりました。
手元に遺骨を残す「手元供養」
前項でお伝えしたような「手元供養」では、「いつかはお墓に埋葬する」として手元に置くのではなく、最初から手元供養を選択するケースが増えました。
【 遺骨を粉骨して、手元供養をする 】
★ そこで遺骨を粉骨してコンパクトにし、小さい骨壺に納めてお仏壇に祀る家も増えています。
・ 現代の住まいにも違和感なく仕立てることができる、A4サイズほどの小さなお仏壇に、遺骨と遺影、香炉を置いて、故人を供養し拝む「手元供養」のニーズは高いです。
このような小さなお仏壇は、スタイリッシュで洋風の家にも違和感なく溶け込めるものも販売されるようになり、来客時には扉を閉めて見えないようにできるなど、「新しいお仏壇の形」として注目されています。
費用が掛からず、心も込められる
現代では故人を想うと精いっぱいの心を込めて弔いたいものの、「費用面が追い付かない…。」と悩む遺族も多いです。
そんな時手元供養や自然葬などの「お墓を持たない」葬送方法は、お墓を建てないために費用が押さえられる側面がありながら、心を込めた葬送セレモニーができます。
【 遺骨を粉骨する費用目安 】
★ 遺骨の粉骨のみであれば1万円~3万円前後ですが、ほとんどの業者で粉骨と海洋散骨や手元供養などの葬送をセットで受けてくれます。
・ 遺骨の粉骨プラス手元供養では5万円~10万円前後、自然葬や海洋散骨でも10万円前後~20万円前後が目安です。
安い業者もありますが、遺骨を散骨した葬送プランを希望するのであれば、後々の供養も受けてくれる(永代供養が付いている)など、ケアの行き届いた心ある、信頼できる業者への見極めは欠かせません。
「自分で遺骨を粉骨」の声もありますが、やはり精神的にも技術的にもおすすめできません。ぜひ、業者と相談をして進めてください。
増えて来た「自由葬」セレモニー
遺骨を粉骨するニーズが高くなった背景には、日本人の宗教観がより自由になった…、点が挙げられるのではないでしょうか。
葬儀でも自由葬スタイルが増え、読経供養をせずに棺を囲んで、参列者が次々と手紙を故人へ読み上げたり…、などの「自分達らしさ」を選ぶようになりました。
【 遺骨の粉骨で「故人らしい」葬送セレモニー 】
★ そのため先に挙げた海洋散骨では、セレモニー的な要素を求めて選ぶ遺族も多いです。
・ 例えば遺骨の一部を粉骨して、故人が好きだった海へ出向いて海洋散骨を行い、残された遺骨は従来通りにお墓に埋葬する…、などの事例があります。
いかがでしたでしょうか、今日は遺骨を粉骨するサービスは、なぜ近年ニーズが高まっているのか…、についてお伝えしました。
都心部では「お墓を持たない」考え方の元、遺骨を粉骨する事例が増えました。ただ一方で、体験談には「全て海洋散骨したものの、遺族が故人へ手を合わせる場所がなくて、後悔している…。」などの声もあります。
確かに、生きている者にとっては遺骨は撒いてしまえば取り戻せません。
ただ、業者によっては石碑に名前を刻むなどのサービスもありますし、最後にお伝えしたような分骨の選択もありますので、自分達の後々の供養の仕方も想像しながら、納得できる葬送を選んでください。
まとめ
遺骨を粉骨してできる、現代の葬送
・海や野山に散骨する葬送
・粉骨した一部を混ぜて宝石加工
・粉骨して小さくし、手元供養
・お墓を建てるよりも費用も抑えられる
・一部を分骨した、セレモニーとしての葬送