沖縄の年忌焼香。一年忌(イヌイ)の流れと5つの準備
沖縄の年忌焼香(ニンチスーコー)は、故人が亡くなって一年目から始まる追善供養。本州で言うところの一回忌や三回忌…と言った法要と同じではありますが、その風習も少しずつ違うので、確認しておくと安心ですよね。
基本的には初七日(ハチナンカ)とあまり変わりはありませんが、特に施主として沖縄の年忌焼香に関わるとなれば、故人を偲ぶ気持ちはもちろんのこと、親族にも納得いただけるように、しっかりと執り行いたいもの。
とは言え、準備するお供え料理や執り行う日にちの設定まで…、全国的な作法とは違うものが多々あります。間違えて失礼のないように、いちどしっかりと理解しておきたいですよね。
そこで今回は、沖縄で年忌焼香の概要と、年忌焼香の始めの年、一年忌(イヌイ)について、特徴的な風習をお伝えします。
沖縄の年忌焼香。
一年忌(イヌイ)の流れと5つの準備
沖縄の年忌焼香(ニンチスーコー)とは
本州では故人が亡くなると、通夜や葬儀の後も初七日、四十九日…、そして一年後には一回忌、三回忌…と追善供養を行うもの。沖縄でも同じように、追善供養が行われますが、呼び方や法要の方法などが少し、違います。
【 沖縄の年忌焼香(ニンチスーコー) 】
★ 本州で言う初七日は「ハチナンカ」、四十九日は「シジュウクニチ」、そして沖縄では百か日(ヒャッカニチ)の法要が…。
・ そして、本州で言うところの一回忌からの法要を「年忌焼香(ニンチスーコー)」と言うのです。
呼び方は一回忌が一年忌(イヌイ)、三回忌が三年忌(サンニンチ)…と続きます。本州の法要と同じく、三十三回忌である三十三年忌(サンジュウサンニンチ)を、ひとつの区切りと捉えている地域が多い傾向にあります。
一年目の法要、一年忌(イヌイ)
このように、本州の法要で言うところの一回忌、つまり故人が亡くなって一年目の命日に執り行う法要が一年忌(イヌイ)。この一年忌(イヌイ)から十三年目に執り行う十三年忌(ジュウサンニンチ)までは、若焼香(ワカスーコー)。
【 沖縄の年忌焼香、一年忌(イヌイ) 】
★ 故人が亡くなって一年目の命日に執り行うことが出来るなら、それが理想的ですが、近年では仕事などの理由で集まり難いもの。
・ 本州では命日より前の週末にずらして一回忌を行う事が良いとされていますが、沖縄の年忌焼香では命日より後にずらす方が良い、とされています。
若焼香(ワカスーコー)は、故人がなくなって比較的短い年数で執り行われる法要をさしていて、二十五年忌(ニジュウゴニンチ)からの大焼香(ウフスーコー)が、お祝いの意味合いもあることに対し、若焼香では法事の意味合いが強くなります。
一年忌の御願
一年忌はすでに故人の魂がお墓にいるとされている時期。そのため、一年忌の沖縄の年忌焼香からは、お墓へ言って故人の魂を家へ招き入れる儀式が必要。
【 沖縄の年忌焼香、一年忌の御願 】
★ 供え花やウチャトウ(お茶)、酒の他、「ウチャワキ」と呼ばれるお供え料理を墓前に供えて、お墓参りをします。
・ 沖縄のお墓参りの定番、ヒラウコー(沖縄のお線香)とウチカビ(打ち紙)、そしてウチカビを燃やすためのステンレスのボールを準備してください。
ウチカビを焼くためのボールは、火箸や下に敷く網がセットされたものが、ホームセンターやスーパーでも販売されているので、それを利用すると便利。ウチャワキの内容は地域によってさまざまですが、ごぼうやかまぼこなどが用意されます。
一年忌でのお供え物
沖縄の年忌焼香やお墓参りでは、お供え料理がとても大切。メインは重箱に詰められたおかずとお餅のウサンミです。若焼香の始めの法要である一年忌は、前述したように法事ですので法事用のウサンミを準備してください。
【 沖縄の年忌焼香、一年忌のお供え物 】
★ お供え物となる重箱料理「ウサンミ」は、一年忌の場合、お餅2箱とおかず2箱の合計4箱を準備する「チュクン」(1箱ずつのウサンミは「カタシー」)。お餅は白餅を縦に五個、参列並べて合計15個が正しい並べ方。
・ おかず重箱では地域や家によってもさまざまですが、「白い」かまぼこや返しこんぶ、魚のてんぷらやごぼう、豚の三枚肉の煮付けなどが並びます。
豚の三枚肉ですが、これにも法事用の並べ方があり、お祝い事では豚肉の皮が下になるように並べるのに対して、法事用になると皮を上にして並べるのです。
重箱料理以外のお供え物
沖縄の年忌焼香、一年忌では重箱料理であるウサンミを準備するだけではありません。この他にもいくつかのお供え物を用意して、仏壇に供えるのが慣わし。料理としては、すまし汁や酢の和え物などを入れたお膳料理を用意してください。
お膳料理は和え物、すまし汁の他に、重箱料理からそれぞれ二切れずつ、おかずをお皿に盛り付けたものも配膳します。
【 沖縄の年忌焼香でのお供え物 】
・ 重箱料理(チュクン)
・ お膳料理
・ 七種類のお菓子を盛りつけた「ムイグァーシ」
・ りんごなどの果物の盛り付け
・ 二種類のお菓子を合わせて7個並べた「ハーガー」
・ おだんごを盛り付けた(七個)「ダーグ」
ムイグァーシや果物の盛り付け、ハーガー、ダーグはそれぞれ二皿ずつ用意して、お仏壇の両脇に供えるのが作法。参列してくれたお客様へは、従来ならお膳料理をお出ししますが、近年では仕出し弁当を準備する家庭も見受けられます。
いかがでしたでしょうか、沖縄の年忌焼香を執り行う際、施主やその家の者として関わる場合には、準備が大変!特に女性であれば、重箱料理のウサンミやお膳料理、お供えまで、たくさんの用意をしなければなりません。
とは言え、ウサンミをはじめとした沖縄のお供え料理やお墓参りの風習は、恒例のもの。そのため、毎年のお盆や清明祭(シーミー)などの年間行事を通じて、何度も繰り返す内に、自然と慣れてくるはずです。
沖縄では年忌焼香も含め、あらゆる場面で皆で集まって行事や法要を進めて行くことが多いので、迷っても相談できる誰かがいるはず。本記事を参考にしながら、概要を把握して、迷ったり戸惑うことがあれば、周囲に相談してみてはいかがでしょうか。
沖縄の年忌焼香、大変かもしれませんが、一度執り行って様子が分かると、三年忌からはぐんと楽に、執り行えるかもしれません。
まとめ
沖縄の年忌焼香、一年忌の概要とは
・本州での一回忌に当たる法要が、一年忌(イヌイ)
・日にちをずらす時には、命日より後に行う
・お墓へ出向いて御願をし、故人の魂を家に招く
・一年忌でのウサンミは、法事用のチュクン
・お菓子や果物、おだんごやお膳料理もお供えする