お焼香の仕方は宗旨宗派で違う。慌てずに行う基礎知識
お焼香の仕方ばかり考えて参列する方は少ないですが、その時になって「ちゃんとした作法で出来ているのだろうか…。」と不安になりますよね。
自分より前の周囲の方々を見て、お焼香の仕方を真似することもできなくはないですが、心もそぞろになってしまいがちです。ましてや自分が遺族や喪主としてお焼香をするのなら、キチンとひと通りのマナーを押さえると安心ではないでしょうか。
お焼香の仕方はインターネットでも多く調べられる、「葬儀会場に着いてから、不安になる作法」の筆頭ですが、特に会場に着いてから、「自分の調べて来たものと作法が違う!」と慌てる方が多く見られます。
それは宗旨宗派によって、お焼香の仕方が違うからに他なりません。そこで今回は、葬儀会場で慌てずに済む、お焼香の仕方の基本と、宗旨宗派による違いをお伝えします。
お焼香の仕方は宗旨宗派で違う。
慌てずに行う基礎知識
お焼香の仕方の基本
それでは、まずはお焼香の仕方の基本をお伝えします。最初に、仏式の葬儀へ参列するのであれば、ぜひ数珠は準備をしたいところです。
檀家制度のない沖縄では葬儀に数珠を持参する方は少ない傾向にありますが、全国的には数珠は必須とも言える小物である上、例え家族であっても、数珠の貸し借りは厳禁と言われています。
【 お焼香の仕方の基本 】
① 数珠を持参していれば左手の親指の根元に掛けるように持ち、僧侶へ向かって合掌の後、一礼です。
② 遺族に一礼、弔問客へ軽い会釈をします。(自分が遺族であれば、弔問客の方々の方を向き、一礼をしてください。)
③ 祭壇の前まで進んでください。
④ 遺影を眺めて一呼吸してから一礼した後、向って右側の香炉の香を、右手親指と人指し指、中指の三本の指でつまみます。
⑤ つまんだ指を額まで持ち上げ、拝むようにして「おしいただいて」ください。
⑥ 静かに落とすように向かって左側の香炉にくべます。
⑦ 再び合唱し拝んだ後、僧侶→遺族→弔問客の順番で会釈をしながら席に戻ってください。
…大まかですが、以上がお焼香の仕方の基本となります。仏式ではここさえ押さえていれば、大きく恥ずかしいNG行為にはなりませんが、宗旨宗派によって違うお焼香の仕方は、「おしいただき方」です。
宗旨宗派によって違う、焼香の仕方
ですから心配であれば訃報の知らせをいただいた際に、仏式の宗旨宗派まで尋ねておくと安心ではあります。遺族は忙しい真っ只中にいますので、葬儀社スタッフに尋ねるのが良いかもしれません。
【 お焼香の仕方、宗旨宗派による違い 】
① 臨済宗 … 額まで香を上げ、おしいただく回数は1回です。
② 真言宗 … 額まで香を上げ、おしいただく回数は3回です。
③ 天台宗 … 額まで香を上げ、おしいただく回数は3回です。
④ 日蓮宗 … 額まで香を上げ、おしいただく回数は1回~3回、さらに宗派があり異なってきます。
⑤ 曹洞宗 … 額まで香を上げたらしばらく念じるように拝み、おしいただく回数は2回です。
⑥ 浄土宗 … つまんだ香は上げますが、額までではなく少し高く上げる程度です。左手を上げた右手に添えてください。おしいただく回数は1回となります。
⑦ 浄土真宗 … 基本はおしいただくことはしません。ただし、本願寺派では1回、大谷派2回おしいただきます。
自分の家の宗派がある時
とは言っても友人づてなどで葬儀に参列することもあり、宗旨宗派までわざわざ聞きませんし、普通に参列した限りでは、それがどの宗旨宗派であるかを瞬時に見抜くことは、なかなかできませんよね。
【 お焼香の仕方、自分の宗旨宗派 】
■ ですから、自分の家の宗旨宗派に倣ったお焼香の仕方をひとつ、覚えておくと便利です。
・ 葬儀の作法としては自分の宗旨宗派に倣ったお焼香をしても、問題はありません。
ただ、現代の日本では自分の家の宗旨宗派を日ごろから把握している方は少ないのではないでしょうか。この場合には多数派のお焼香の仕方をひとつ、覚えておくことをおすすめします。
★ 額まで香を上げ、おしいただく回数は2回~3回、会葬者が多い場合には1回で済ませる方法です。
数珠の扱い方
お焼香の仕方はこれでバッチリですが、日ごろ使い慣れない方にとって、数珠の扱い方も当日迷うところです。
前項でも少し触れましたが、数珠は親族でも貸し借りはできません。日ごろから自分の数珠を持っておくと、いざと言う時に便利です。
【 お焼香の仕方、数珠の扱い方 】
■ 日ごろは前述した持ち方と同じく、左手の親指の根元に引っ掛けるようにして持ち歩いてください。
・ お焼香の際は拝む時に、合掌した両手親指の根元に引っ掛けて拝む方法が多く取られますが、左手のに引っ掛けたまま、手を合わせる方もいます。
急ぎで数珠が必要になるなら、現代ではコンビニや100均でも見掛けることができます。ただ、上質なものを準備しておくと、冠婚葬祭が分かる人として、信頼されるかもしれません。
いかがでしたでしょうか、今回はお焼香の仕方のなかでも、特に宗旨宗派による違いに着目して、お伝えしました。ただ沖縄ではさらに御願文化もありますので、少なくはなりましたが、御願による拝みもあるかもしれません。
さらに昔ながらの沖縄の葬儀では、数珠を持参して参列する方はほとんどいませんでした。けれども近年では、都心部を中心に全国的なマナーに倣った葬儀も増え始め、数珠を持つ方々も多くなっています。
数珠は本文でお伝えしたように、急ぎでも購入できるようになりました。ただ、全国的には自分の宗旨宗派に倣った数珠を持ち歩く方と、急ぎで買えるような略式の数珠があります。
郷に入れば郷に従えで、その場その場で葬儀の宗旨宗派に見合った作法ができれば、遺族や故人に敬意を表することもできて、心のこもった弔問ができるのではないでしょうか。
まとめ
宗旨宗派で違う、お焼香の仕方
・臨済宗は額まで、回数は1回
・真言宗は額まで、回数は3回
・天台宗は額まで、回数は3回
・日蓮宗は額まで、回数は1回~3回
・曹洞宗は額まで、しばらく念じて回数は2回
・浄土宗は少し高く、左手を添えて回数は1回
・浄土真宗はおしいただかないのが基本