おひとりさまの老後、家計の実態。日本人が陥りやすい罠
おひとりさまの老後世帯が増えましたよね。そんななかで、おひとりさまの老後世帯で募る不安は、健康・お金・孤独、の三つだと言われています。
ですから40代50代に差し掛かってきたら、おひとりさまの老後実態を理解して、対策が取れると安心です。例えば「孤独」への対策では、地域のコミュニティーに積極的に参加する方法があります。
まだまだ元気な世代から地域のボランティアや活動に参加すると、自分が援助が必要になった時に役立ちますし、地域の活動に詳しくなるために、自然と困った時の対策もできる上、何より地域の人脈が生まれるのです。
「健康」では50代から趣味にもなる、ヨガやマラソンなどの運動を始める方もいて、共に仲間を作って孤独対策にもつなげる方も増えました。
そんななか、誰もが危機管理が行き届かない項目が「お金」です。お金の危機管理は老後生活をリアルに感じなければ、なかなか節約ができません。
そこで今回は、おひとりさまの老後世帯の家計の実態のデータと、傾向をお伝えします。
おひとりさまの老後、家計の実態。
日本人が陥りやすい罠
おひとりさまの老後家計の平均値
早速ですが総務省が出している、平成28年度版の高齢単身無職世帯の平均的な家計(月額)をお伝えします。
【 おひとりさまの老後、高齢単身無職世帯の家計平均 】
① 食費 … 36,200円
② 住居費 … 12,402円
③ 光熱・水道費 … 12,643円
④ 家事用品 … 5,512円
⑤ 洋服代 … 4,217円
⑥ 医療費 … 7,967円
⑦ 交通・通信費 … 12,480円
⑧ 娯楽費 … 17,401円
⑨ その他 … 35,137円
⑩ 税金・社会保険など … 12,445円
合計 … 156,404円
…これがおひとりさまの老後家計の平均です。一方、年金の一般的な受給額の一例では、自営業で約9万円前後、サラリーマンで14万円前後(月計算)ですから、年金のみでは赤字家計になることが分かるのではないでしょうか。
おひとりさまの老後家計、住居費に差
ここで注目したい点は②の住居費です。総務省が出す平均値では住居費が12,402円となっていますが、老後の住居費は人によって大幅に違います。
【 おひとりさまの老後、それぞれの住居費 】
★ 公営住宅やすでに住宅ローンを完済済みの世帯でなければ、住居費用は大幅に高くなります。特におひとりさまの老後の場合、高齢者住宅や老人ホームなどを利用すれば、住居費は月々10万円を超えることも多いです。
・ 現役時代に賃貸を選んでいた場合には、住居費が負担になったら公営住宅への引っ越しもおすすめします。
公営住宅には一般に知られるものの他、高齢者や障碍者、母子家庭を対象とした「福祉住宅」や、所得の高い方々を対象とした住宅(都民住宅・特定優良賃貸住宅など)もあるので、所得や状況に合わせて検討してみてください。
年金生活を送る2人のケース
自分の年金額を調べるならネットで「ねんきんネット」に登録するのが、最も便利です。番号を登録するだけで、自分の将来もらえる年金が分かります。無料ですのでぜひ、試してみてはいかがでしょうか。
その上で自営業(国民年金)とサラリーマン(厚生年金)の方々の、実際の年金生活の事例をお伝えします。
【 おひとりさまの老後生活、家計の一例 】
① 自営業さんの年金生活の一例
・ 月々の年金受給額 … 94,000円
・ 収入(仕事) … 68,000円
合計 162,000円+貯蓄を崩して生計を立てています。
② サラリーマンさんの年金生活の一例
・ 月々の年金受給額 … 143,000円
合計 143,000円+貯蓄を崩して生計を立てています。
自営業さんの場合には、現役時代から自分で仕事をしていたために定年がありません。在職老齢年金制度(一定額以上を稼ぐと年金が軽減・停止する制度)の範囲内で、自分で調整をしながら仕事をしていました。
一方、サラリーマンさんの年金は厚生年金が入るため、自営業さんの年金よりも何万円も高くなっているのが分かります。貯金を切り崩してはいますが、この事例では退職金もあります。
住宅ローンの罠
このように、現役時代からおひとりさまの老後へ向けて、仕事や貯蓄を備えていれば、多くの方が恐れる老後破産に陥らずに済むのですが、今の日本で陥りやすい罠のひとつが、住宅ローンなどの返済です。
【 晩婚化が進む現代の住宅ローン事情 】
★ 現代では晩婚化が進み、30代後半や40代で住宅購入に踏み切る方々も増えました。そして住宅ローンの完済年齢も延長されたため、定年後も住宅ローンを払い続けなければならない世帯が増えています。
・ これから住宅を購入するのであれば、支払い可能限度額上限までムリをせず、定年退職後の返済計画も立てた予算で検討してください。
また、すでに住宅ローンを組んでいて、定年退職後も支払う計画があるのなら、現役時代に少しでも繰り上げ返済に努めて対策を取るよう、意識して家計を節約してみてはいかがでしょうか。
日本人が陥りやすい出費の罠
老後に備えなければならない40代50代の方々が、貯蓄ができない現状を調べていくと、「教育費」「医療費」「介護費」が上がります。
【 おひとりさまの老後への備えが一番! 】
① 教育費の罠 … ひと昔前とは違い、身の丈にあった教育費計画は不可欠です。子供の力を信じて、奨学金を狙ってもらったり、塾や習い事も「本当に必要なのか」冷静に判断してください。
② 医療費の罠 … 50代を超えると病気にもなりやすく思わぬ出費になりがちです。高額医療に関しても冷静な判断が必要ですが、民間の医療保険を利用する方法はおすすめです。
③ 介護費の罠 … 「両親の介護費で自分の老後対策ができなかった。」と、自分が老後になって老後破産に陥るケースが増えてきました。まずは地域包括センターで公的介護サービス範囲内で検討するようにしてください。
いかがでしたでしょうか、今回はおひとりさまの老後家計の実態と、対策を取るべき40代50代で、老後対策ができなかったケースで分かる「罠」をいくつかお伝えしました。
おひとりさまの老後や定年退職後の対策は、今までも多くお伝えしてきましたが、どの調査を見ても日本人の陥りやすい罠の先には「見栄」がありました。
これは地方ほどその傾向が強く、「隣の人は何する人ぞ」の言葉まである都心部の人ほど、自分の身の丈に沿った暮らしをしている傾向にあります。(ただ、周囲の目は気にせずとも、地域との交流は積極的に行うことはポイントです。)
お葬式ひとつでも、「立派な恥ずかしくない葬儀をしてあげよう!」と、ムリに200万円・300万円などの葬儀をあげ、葬祭ローンを組んでしまったりしますが、都心部ではシンプルな50万円ほどの家族葬を選んだりしています。
ぜひ、自分の暮らしも大切にした老後計画で、老後の暮らしを満喫してください。
まとめ
単身高齢者世帯の家計実態と注意点
・総務省調べでは月々の支出平均は約15万円
・住居費用で困ったら公営住宅も検討する
・自営業とサラリーマン、それぞれの老後計画
・定年退職後の住宅ローンは繰り上げ返済で対策
・教育費・介護費は冷静に判断する
・医療費は民間の保険で計画的に対策できる