お墓を新しく建てる手順。まず知っておくべき基礎知識
お墓を建てる、とひと口に言っても、そうそう経験がないのは当然ですよね。近年では霊園や墓地の見学ツアーなども見受けますが、「そもそも、お墓を建てるには、何から始めればよいの?」と戸惑う方々がほとんどです。
お墓を新しく建てる基本として、もともと菩提寺がない場合や、近隣に菩提寺がないために、新しい場所でお墓を建てたい場合などは、まずは墓地を探すことから始まります。
それぞれの霊園や施設が行う見学ツアーなどはもちろん、お家を建てる土地を探す手順と同じように、墓地をインターネットや広告などで探すこともできるはず。とは言え、お墓を建てることは大きな出来事。
探す前にある程度の知識を持つと、より安心ですよね。そこで今回は、お墓を探す前に知っておくと安心できる、基本の流れと知識をお伝えします。
お墓を新しく建てる手順。
まず知っておくべき基礎知識
お墓でどこでも建てられるもの?
「自分達の土地があるから、そこにお墓は建てられるかな。」「自宅の敷地の一角にお墓を建てたい。」などの声も時々ありますが、お墓はどこでも建てられるものではありません。
【 現代の墓地は決められている 】
■ 確かに、ひと昔前までは村などでお墓を建てたり、自分の土地の裏山にお墓を建てる、などの事例もありましたが、現代ではお墓を建てることが認められた「墓地」は、大まかに3種類に分かれています。
・ お寺による「寺院墓地」
・ 行政による「公営霊園」
・ 民間による「民間霊園」
民間霊園は公益法人が運営している事例が多く、それぞれの墓地や霊園にメリットもデメリットもあるため、自分達に見合った墓地選びがポイントなのです。
それぞれの墓地、メリットとデメリット
昔ながらのお墓はお寺が運営している寺院墓地が多いですが、新しくお墓を建てる際には、民間霊園が人気です。公営霊園は何と言っても安価であることが魅力。
【 それぞれの墓地の特徴 】
■ 寺院墓地 … 寺院に建てると言うことは、その宗旨宗派に倣う必要があります。ほとんどの寺院でお墓を建てる場合には、その檀家になるのが通例です。
■ 公営霊園 … 行政や地方自治体の霊園であるため、ともかく安い点が魅力なのですが、抽選があるケースも多く、遺骨が手元にあるなど、条件が厳しい側面があります。
■ 民間霊園 … 民間の公益法人などが運営しているため、施設がとても充実していたり、便利でお墓参りや法事法要の配慮が行き届いていることが多く、その分、公営霊園などと比較すると、割高な印象もあります。
このように、それぞれの墓地や霊園でメリットもデメリットもあります。現在の自分達の状況や希望を整理して、最も見合った墓地を選べればベストです。
石材店さんは、後々までのお付き合い
お墓を建てる時には事前に勉強していないと勘違いしやすいのですが、墓地とお墓、それぞれに購入する必要があります。墓地が決まったら、次はご先祖様や故人の住まいとなる、お墓を建ててくれる石材店を探さなければなりませんが、墓地購入の際にすべて手配できる霊園もあります。
【 石材店は直接足を運んで 】
■ 石材店との付き合いはお墓を作るだけでは終わりません。納骨時にはお墓を開けてもらう必要があるなど、何かとお世話になる存在なのです。
実際に石材店に足を運び、話を聞きながら相性の良い業者を選ぶと安心。ただし、墓地や霊園は、石材店と提携している場合が多く、オールインワンで相談に乗ってくれます。
お墓と共に墓地の手続きを平行して
お墓を注文しながらも墓地の手続きを続けなければなりませんよね。実は近年、墓地がなかなか確保できなくなっているのです。そのため、早め早めに申し込んでおきたいところ…。
【 墓地の申し込みと手続き 】
■ 前述したように墓地を申し込んでも「予約待ち」になる事例が増えています。
・ 公営墓地になると抽選で選ばれる事態にもなることを、事前に理解して手続きを進めなければなりません。
霊園や墓地との手続きになるケースもありますが、最近では石材店と霊園や墓地が提携している場合が多いため、霊園を通して墓石の申し込みができるケースも多くなりました。霊園が代行してくれるとなれば、スムーズですよね。
「お墓を建てる期限」とは?
例えば生前契約である場合など、「とりあえずは墓地を確保しておこう。」と考える方々も多いのですが、多くの墓地や霊園で、購入してからお墓を建てるまでの期限が定められていることに注意しなければなりません。
【 お墓を建てる期限に注意 】
■ 一般的に多い墓地を購入してから、お墓を建てるまでの期限は3~5年を定める施設が多いです。
故人のお墓を急いで建てているなら、お墓への埋葬をするためには「火葬許可書」を寺院や施設に渡す必要があります。故人の火葬や埋葬に関わる書類は、再発行できないものもありますので、無くさないよう、しっかり保管してください。
お墓を建てたら、開眼法要
新しくお墓を建てた後は、ご先祖様や故人の「住まい」にするためにお坊さんに読経をしてもらい供養をしますが、これが開眼法要。お墓を改葬する時にも、古いお墓は閉眼法要をし、新しいお墓には開眼法要が必要です。
【 新しいお墓には、開眼法要 】
■ 寺院の墓地であればそのお寺のお坊さん、そうでなければ通夜や葬儀で読経をお願いしたお坊さんに依頼するなどして、開眼法要を行います。
この開眼法要によって、お墓に魂が入れられるのです。同じく納骨時にも納骨法要がありますよね。ひとつひとつに法要があるので、お坊さんや石材店との関わりは大切です。
いかがでしたでしょうか、今でも時折ひょんな場所にお墓があったり、昔の家では家の裏山にお墓が建てられていることもありますが、それは昔の名残り。「お墓を建てる」とひと口に言っても、ひとつひとつ決まり事や手順があります。
お墓を建てる経験は人生のなかでもそう多くはありませんから、例えば墓地の購入手続きなど、慣れないことも多く手間取る方々は多いですが、「建てる」と決めてから時間も手間も掛かるのがお墓、と考えて、腰を据えて取り組めればスムーズです。
現在では本文でもお伝えしたように、墓地の確保が難しくなっている事情から、墓地の予約によりご遺骨を一時的に、お墓が建てられるまで、手元に残して供養する家庭も増えているほど。
このような事情も踏まえて焦らずに、ひとつひとつをこなして、希望通りのお墓を建てましょう。
まとめ
お墓を建てるための基礎知識
・墓地は寺院墓地、公営霊園、民間霊園の三種類がある
・それぞれのメリットデメリットを検討して決める
・石材店とは納骨や管理など、後々までのお付き合い
・墓地の確保が難しい今、予約待ちの事態もある
・墓地を購入してから建てるまでの期限付きも多い
・お墓を建てたら開眼供養をして、魂を入れる