墓じまいの流れ。墓主が行うべき5つの手順
墓じまいを決断することは、パワーと実行力が必要になるもの。なかなか一人では決められませんよね。そのため、やはり親族や兄弟、できるだけお墓に関わる多くの人々が集まって、皆で決断、進めたいところです。
特に2017年は数年に一回巡ってくる、ユンヂチの年回り。旧暦と新暦のずれを調整する「閏月(ユンヂチ)」のある年は、神様がこの世界を見ることができない、「ない月」とされており、お墓事がよりしやすい年。
このような年は、新しいお墓を建てることはもちろん、改葬や墓じまいにも最適。良いタイミングで日頃から気に掛かっていた、お墓問題を解消したい…。それには親族に相談することが大切ですが、事前の知識を持って説得したいですよね。
そこで今回は、墓じまいを決断する時、家族や親族に説明する時に役立つ、具体的な5つの手順と、遺骨の行く先の選択肢をお伝えします。
墓じまいの流れ。
墓主が行うべき5つの手順
墓じまいを決める時
近年、お墓の継承問題が増えています。子どもが後々嫁ぐ可能性がある、娘だけであったり、そもそも子どもがいない、と言う場合。さらには、子どもはいるものの、誰も地元に残らず遠方で独立した場合など、継承者問題はとても多いのです。
そんな時、現在管理をしている墓主だけの一存では、トラブルの種になりかねません。さらに一人でお墓問題を抱えることも負担が大きいもの。ここは親族など、相談できる人に相談して、「皆で」墓じまいを決断、進めてください。
【 親族皆で、墓じまいを決断する 】
■ まず、具体的に墓じまいを進める前に、できれば親族全員が集まった場で、お墓問題について話し合い、全員が納得してから進めるべき。ここでこの段階を省いてしまうと、後々思わぬトラブルになり兼ねません。
遺骨をどうするか決める
親族全員で墓じまいの意向が定まったら、まずは墓じまいをした後の遺骨を、どのようにするか決めてください。改葬であれば、新しいお墓を準備することになりますが、完全に墓じまいをする場合、いくつかの選択肢があります。
【 遺骨をどうするか 】
・ 合祀墓に埋葬供養する(公営墓地・菩提寺)
・ 納骨堂に納める
・ 手元供養にする
・ 海洋散骨
現在お墓のある菩提寺や管理施設に相談すれば、墓じまいの後、取り出された遺骨を合祀墓に埋葬してくれることも多いです。その他、より費用が少なく済むことも多い公営墓地の合祀墓へ改葬合祀をする選択もあります。
このなかで最も安い費用で納めるならば、手元供養。骨壷のまま手元に供養し、骨壷を美しいものにするタイプや、粉骨して小さく納めるものもあります。
既存墓地の管理者へ連絡
遺骨をどのようにするか決まったら、既存墓地の管理者へ連絡をしてください。菩提寺の場合には檀家に入っている可能性が高いので、「離檀料」の支払いが出てきます。
離檀料の目安は10万円~20万円。時に「150万円の離檀料を請求されて、身動きが取れなくなった!」と言う声も聞きますが、実際には言い値ですので、交渉することで回避できるかもしれません。
ポイントは菩提寺の立場を理解して、誠意を持って説明すること。近年では菩提寺トラブルが伝わるようにもなり、離檀料トラブルも少なくなっています。
【 既存墓地の管理者へ連絡 】
■ 受け入れ先が納骨堂や合祀墓である場合、既存墓地から「埋葬証明書」、受け入れ先から「受入証明書」を役所へ提出して「改葬許可証」を発行してもらいますが、手元供養を選択したのであれば、単純に遺骨を受け取るだけで大丈夫。
散骨や手元供養の場合には、そのまま遺骨を受け取って、それぞれのサービスをしてくれる業者へ渡す流れが一般的です。
石材業者を決める
これで墓じまいを具体的に進めることができます。お墓を閉める際には、もちろんそのまま放置はできませんよね。お墓を撤去して更地にして返す必要があるので、石材業者を探さなければなりません。
【 石材業者を決める 】
■ 既存墓地が民間や寺院霊園である場合、提携している石材店がある施設がほとんど。提携しているだけに信頼性も高いこと、また、手続きもスムーズになるため、提携店が便利です。
もしも既存墓地が個人墓地であっても、遺骨をその後改葬合祀するなら、その霊園施設の管理者や、海洋散骨や粉骨を依頼している業者があれば、石材店にも関わっていることが多いので、相談してみると安心できる業者と出会える確立が高くなります。
取り出された遺骨の手入れ
お墓の撤去をしたら、遺骨を取り出し、前項で決めたように供養する流れになりますが、先祖代々墓や門中墓など、多くの遺骨が眠っていたお墓では、カビが生えていたり…、と一度手入れが必要になるケースがほとんど。
【 遺骨の手入れ 】
■ 永代供養の合祀墓や納骨堂に納める場合には、一度洗骨して乾燥、殺菌し、新しい骨壷を用意して入れなおすと安心。散骨や自宅供養を選んだ場合には、粉骨する事例が多いのですが、この場合にも一度洗骨してから乾燥し、粉骨してください。
沖縄では昔の遺骨は風葬の習慣があったため、再度火葬しなければならないことも…。役所に申請することで、再火葬ができます。
粉骨しない状態で手元供養を選ぶなら、骨にも菌が付いている可能性があるので、真空パックにするなどの配慮をするケースもあります。業者と相談して進めてください。
いかがでしたでしょうか、墓じまいをはじめとするお墓事は、思った以上に様々な手続きが必要になるため、一人では大きな負荷になるもの。最初の項目でお伝えしたように「親族で話し合い、全員が決断」することが大切です。
最初に親族で話し合う際には、墓じまいに掛かる費用も話し合うと、後々墓主ひとりの負担が少なくなるはず。事前に墓じまいに掛かる費用や、遺骨をどうするか、の選択肢などを調べておくと、一度に集まった際に多くの事が決められます。
近年では墓じまいを選択する方々も増えたため、石材店や霊園、お墓業者に連絡をすると、「墓じまいプラン」なども多く見られるようになりました。墓じまいだけならば10万円前後から可能なケースもあるので、一度相談してみてください。
一人で背負わず、多くの人に相談しながら、検討することで、思ったよりもハードルは小さくなるはずです。
まとめ
墓じまいの手順とは
・家族、親族で相談して、墓じまいの意向をまとめる
・墓じまい後の遺骨の行き先を決める
・既存の墓地管理者へ連絡をする
・石材業者を決めて、お墓を撤去する
・遺骨を手入れし、それぞれの業者へお願いする
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