親の介護に疲れたら。うつ病になる前に理解したい事柄
親が要介護になった時、子どもとしてでは出来る限りの事をしよう、と思うものですよね。けれどもその度合いによっては、気持ちだけではどうにもならない事も、押し寄せて来るのではないでしょうか。
特に日本人の気質上、自分が犠牲を払ってでも、ギリギリまで頑張ろうとしがちです。そうなると、まだまだ心が持ちこたえている内は、乗り越えられるかもしれませんが、突然ポキッと折れてしまう…、なんて体験談もしばしば…。
せっかく親の介護をしようと頑張っているのに、自分も親も一緒に崩れてしまっては、元も子もないですよね。
そこで今回は、「このままではうつ病になってしまうかも…。」と感じた時点で、理解して欲しい、親の介護でうつ病になりやすい方々の傾向と、その対策をお伝えします。
親の介護に疲れたら。
うつ病になる前に理解したい事柄
親の介護に「アンカーポイント」を作る
うつ病に陥りやすい環境は、多くが「在宅介護」。在宅介護のケースで問題になりやすいのは、主に一人の家族が中心になってケアしていることではないでしょうか。
親の介護問題で最も「キツイ」と感じる理由は「終わりが見えない」こと。親の介護に中心になって関わる方々の多くが、現代の日本ではまだまだ女性です。確かに今までも、家事や育児と「終わりのない」仕事に慣れているかもしれませんが…。
【 親の介護に「アンカーポイント」 】
★ けれども例えば育児は、年が経つ毎にだんだんと「手が離れていく」もの。けれども親の介護は反対で、年が経つ毎にだんだんと「手が掛かるようになる」のです。
・ さらに家事育児でも、一年にメリハリがあります。…と言うのも、学校であれば春休みや夏休み、お正月などの年間行事もメリハリのひとつ。
けれども介護ではそうは行きません。人間ですから毎日食事もすればトイレにも行きます。そのため目に見えた終わりがなく、目標にするポイントが見えにくいのです。そこでぜひ、意識して作ってもらいたいのが、「アンカーポイント」。
どのように「アンカーポイント」を作るのか
ではどのように「アンカーポイント」を作るのか…、そこで是非取り入れて欲しいのが「ショートステイ」。「ショートステイ」とは、一時期的に老人ホームのような施設を利用することを差しています。
【 親の介護で「ショートステイ」を賢く利用 】
★ ショートステイの場合には、支援1~要介護5まで全ての段階の方が利用できることが多いため、まずは地域のケアマネージャー(要介護認定を受ければ、相談をすることができます。)に確認してみるのが近道。
・ 短期入所を受け入れている施設を把握したら、ぜひ一度見学をしてみてください。部屋の空き状況や料金はもちろん、施設内の様子や利用者の様子、レクレーションなどの入居者の過ごし方をチェックしながら見学すると安心。
利用者の様子は、親の介護状態と同じくらいの段階の方々が多い施設がより好ましいはず。…と言うのも、自分の介護状態よりも重い方々が集まる施設では、本人の気持ちが落ち込んでしまうこともあるからです。
なぜ、数時間のリフレッシュではダメなのか
ここでついつい、親の状況を中心に判断してしまいがちですが、「うつ病になるかも…。」と思うくらいの精神状態でリフレッシュを望むのであれば、今はまず、介護者を中心に考えるべき。
ずっと親の介護を中心に担ってきた介護者は、「自分の時間」も細かく作ってきたかもしれませんが、優先順位は親だったはず。つまり「自分の時間」を過ごしているつもりでも「親の時間」を生きているため、自覚はなくても「振り回されて」しまっているのです。
【 数時間ではなく、まとまった休暇を取る 】
★ まずは自分!お金を使っても、家族や周囲にわがままをしても良いのです。時間を振り回される、家族の時間を生きるのではなく、まずは「自分の時間」をまとまって作ってみてください。
・ その時、家族の心配をしていては、せっかくの時間も落ち着きません。帰る時間なども気にせず、起きる時間も気にせず、自分の時間を過ごすことがリフレッシュのポイント!
親の介護で24時間体制に慣れてしまった介護者の場合、わがままに「自分の時間を取る」事が、言葉が悪いのですが下手になっているため、ここを意識するだけで、随分とリフレッシュの度合いが変わります。
介護サービスは積極的に利用する
このショートステイですが、出来れば子育てで言うならば夏休みや冬休み…、と言うように、一年でも定期的に利用することをおすすめします。…と言うのも、定期的に利用することで、介護者にメリハリが生まれるため!
さらに「なぜうつ病になったのか?」まで、冷静に考えてみてください。これは自分のキャパシティーをオーバーしたからに他なりません。
【 介護サービスで負担を軽くする 】
★ 在宅介護でも通所介護や通所リハビリ、訪問介護や介助などなどがあるはず。暮らしを振り返る時、「お風呂に入れるのがどうも気が重い…。」などなど、気分が滅入る苦手な介護などはないでしょうか?
・ 「全てを自分で介護しなければ!」と思わずに、苦手な部分はケアマネージャーに相談!
上手にプロに任せてしまい、「うつ病になりにくい暮らし」を少しでも実現できるよう、周囲に投げかけてみてください。
いかがでしたでしょうか、今回は親の介護に疲れて、重いうつ病になる前に試したい事柄をお伝えしました。さらにもうひとつ、うつ病解消の第一歩として、親の介護に伴う、介護以外の他の悩みも思い切って相談することもおすすめします。
…と言うのも、家族への理解は不可欠!例えば主な介護者が奥様で、旦那様の理解が足りず、「家事から介護まで多くの負荷を担っている…。」と悩んでいるのであれば、これも外部の相談機関を利用して、一緒に解決していくのもひとつの手。
親の介護問題は、家庭内に留まってしまうのも問題のひとつ。日本では多くの家庭で、ついつい「家庭内の事を話すのは恥ずかしいこと。」と、抑えてしまいがちなのです。
けれども、うつ病になりかけているくらいであれば、心の叫びを解決するのが先決。冷静な第三者に判断してもらう事は、大きなターニングポイント。
冷静な第三者が入ることで、家庭内に広がっていた「家族だけの常識」や価値観に気づくこともしばしば…。実はちょっとした家族の理解だけで、介護者のうつ病が劇的に改善するケースは多くあるのです。
まとめ
介護者がうつ病にならないコツとは
・暮らしにメリハリを付ける
・ショートステイを上手に活用する
・定期的なショートステイでメリハリ
・うつ病になった原因に目を向ける
・介護サービスで原因を緩和する
・家族の悩みでも時には相談をする