初清明祭で困った事。近年のお墓事情5つの問題と体験談
清明祭(シーミー)は沖縄に住む方々には、当然とも言える毎年の行事ですよね。スーパーでは清明祭に向けたお供えものや道具が、陳列される光景を目にします。
そして沖縄のお墓参り行事は本州とは一味違い、門中墓にもなると門前に親族が大勢集まって、皆でお供え物を下ろして共食する「ウサンデー」が行われることは有名です。本州でも法要後の会食は見受けられますが、このようなお食事会が墓前で行われるのです。
本州出身者からは、遠足やピクニックのようでにぎやかで楽しそうに見えますが、最近は民間霊園が登場し、変化しつつあるお墓事情のために、昔ながらの沖縄のお墓参りの風習に倣うと不具合も増え、何かと戸惑う墓主も増えてきました。
ですから特に、民間霊園などで新しく建てたお墓で初めての清水祭(シーミー)では、戸惑う体験談も少なくありません。できればスムーズに問題なく、清明祭を行いないたいですよね。
そこで今回は、霊園でお墓を建てた後、初めでの清明祭(シーミー)で困った体験談と解決策をお伝えします。
初清明祭で困った事。
近年のお墓事情5つの問題と体験談
個人墓地から霊園へ
沖縄のお墓と言えば個人墓地ですよね。それぞれの家(門中)が墓地用地を購入して、自分達でお墓を建ててきましたが、これが近年ちょっとした問題になっていることは、あまり知られていません。…と言うのも、無縁仏が増加傾向にあるためです。
昔なら本州へ移住する沖縄出身の若者も少なかったのですが、今はより気軽に移住できる時代になりました。そのため会社の事情などもあり、遠くに住んでいる若い世代が増えたのも、その一因です。
【 個人墓地から霊園へ 】
■ このような事情から、沖縄県では現在、特別な事情がない限り、新しく個人墓地に個人墓を建てることが規制されています。
・ またすでに個人墓地にお墓を持つ人々からも、「後継者が身近に住んでいない」「高齢になって管理が難しくなった」などの理由があって、今までの個人墓地のお墓から、業者が管理をしてくれる霊園へ引越し(改葬)を選ぶ人々が増えてきました。
このような事情から、今の沖縄では「故人が亡くなって新しくお墓を建てる」と言う時に、よりスムーズに建てやすく衛生面や管理面でも安心できる、霊園を選択する方々が増えている傾向にあります。
よりコストの低いお墓が増加
さらに家かと間違えるような大きなお墓が、沖縄の名物でもありますよね。けれどもコチラも実際に墓主になると、維持するコストも管理労力もなかなか大変です。
…と言うのも、もともとは門中やそのお墓に入る人々の「模合(お金を出し合う沖縄の習慣)」によって、門中墓なども維持してきました。けれども最近では、地元に残る若者や親族が少なくなり、門中から離脱・独立する人々が増えたために、その人数が少なくなるお墓も多いです。
そのために現代の懐事情に合わせて、より費用を抑えることができる、小さめのお墓が好まれるようになりました。
【 狭い墓地スペースで賄う、新しいお墓 】
■ 昔ながらの大きな沖縄のお墓の多くは、少ない人数での管理だと大きすぎて管理が行き届かないことが少なくない上に、都心部からは程遠く、い立地にあることも多く、辺境のために高齢になるとお墓参り自体が困難になる事例も増えてきました。
・ そんななか若い世代へのお墓の継承が以前のようにスムーズに進まず、墓主が高齢化して行くとともにより問題視され、目立つようになってきています。
外から見ていると、沖縄らしさを残す大きなお墓が少なくなって行くのは寂しいものですが、前述した理由に加えて、このような様子を見てきたり、身を持って体験してきた墓主にとっては、よりコストも低く管理のしやすい、狭いスペースでのお墓が増えているのが現状です。
思いがけない初清明祭での問題
このような事情から、故人が亡くなってから喪明け、新しく建てたお墓での初清明祭(ハチシーミー)では、当日になって思わぬことに戸惑う墓主も少なくありません。
例えば、清明祭(シーミー)の時期は皆同じで、隣りのお墓とバッティングした時、今まで以上に墓前スペースが狭いために、混乱状態になってしまった事例があります。
また、初清明祭(八チシーミー)の場合にはお坊さんに読経供養を依頼する沖縄の家庭が増えたために、「周囲に読経が迷惑にならないだろうか…。」などの相談もありました。これはスーコー(焼香=年忌法要)でも言えることですが、特に清明祭(シーミー)はお隣と重なる確率は高くなりますよね。
【 隣のお墓と重なった場合 】
■ お坊さんの読経供養を依頼した場合には、お隣にお伺いを立ててから、必要であれば読経の時間をずらして対応したケースが多いです。
・ その後のウサンデー(会食※1)では、どちらかの家族が霊園内の芝生に移動していたり、霊園にある施設内スペースを利用した…、などの解決策が見られました。
・ 本州の霊園でも多くあるように、霊園施設には「お斎(おとき=会食)」のための部屋が用意されていて、予約ができる施設もあるので、確認して利用しても良いかもしれません。
※1ウサンデーは「会食」と簡略してお伝えしましたが、正確には「お供え物を下げて、生身皆でいただくこと」を差しています。どちらかと言えばにぎやかな宴会に近いのが、沖縄のウサンデーです。
沖縄では墓前で食べるウサンデーが中心ですが、お隣同士で重なりそうな日程であれば、事前に施設に問い合わせたり、霊園内にゴザやビニールシートを広げられるような広場を見つけておく、本州式に周囲での会食会場を予約するなどの工夫をし始めた家族もいます。
納骨堂(霊廟)での清明祭(シーミー)
近年ではより身近で、気軽にお墓参りができるよう、納骨堂や霊廟に遺骨を納めるケースも増えてきました。ここで気になるのが、「納骨堂や霊廟でも、清明祭(シーミー)はできるのか?」と言う疑問です。
【 納骨堂や霊廟での清明祭(シーミー) 】
■ 納骨堂や霊廟でも、清明祭(シーミー)を行うことができる施設が多く見受けられます。この場合、骨壷が納められているスペースを前にお墓参りを済ませ、別の広いスペースを利用して、ウサンデー(会食)を済ませる流れがスムーズです。
・ お墓の事例と同じように、「今年の清明祭(シーミー)では、読経を依頼して供養をしたい…。」と願う相談もありますよね。この場合でも事前にスケジュールを伝えておけば、問題のない施設が多いです。
ただし室内で読経をすることになるので、周囲への配慮も考えて、少し時期をずらして人の少ない時期に行ったり、事前に施設へ連絡しておく、などの手順も踏まえておくと、よりマナーも行き届きます。
初清明祭の時期はいつ?
現代のお墓事情に限った問題ではないのですが、親族間で初清明祭(シーミー)を行う時期について、意見が食い違うこともありますよね。これは地域的なものだけではなく、個人個人の考え方にもよることが多いので、難しいところです。
【 初清明祭(ハチシーミー)の時期 】
■ 基本的には喪が明ける、一年忌(イヌイ=一周忌)を目処に、一年忌(イヌイ)を終えた後で清明祭(シーミー)も再開してください。ただし、地域や家庭によっては、「三年忌(サンニンチ=三周忌)」とする家や地域も見受けられます。
・ 風習としては、清明祭(シーミー)はお墓参りでありながら、お祝いの要素も含まれているので、お正月と同じく、喪中は避けるべきではありますが、一年忌(イヌイ)以降のタイミングであれば問題はないので、三年忌(サンニンチ)まで待つこともできます。
門中としては三年忌(サンニンチ)以降の初清明祭(ハチシーミー)と決まっていても、「個人としては寂しがってはいないか心配。」などのご相談も多いです。この場合には、少ない人数でお墓を掃除しに行ったり、少し時期をずらして純粋なお墓参りに、行ってみるのも一案かもしれません。
(沖縄では行事でのお墓参り以外は、お参りするのは良しとしませんが、本州の習わしでは月命日など、いつでも思った時にお墓参りをしても良い、とされています。)
いかがでしたでしょうか、「霊園でお墓を建てて初めての清明祭(シーミー)で思わぬ事態が起きた…。」、なんて戸惑う方もいるかもしれませんが、お隣さん同士でバッティングしてしまった体験談では、「二つの家族(門中)が一緒になってウサンデーをして楽しかった!」などの話も聞こえます。
その時々に合わせて冷静になり対処すれば大丈夫ですし、民間霊園にはスタッフもいますから、電話でも相談できるのが、頼もしくもあります。
どうしてもスペースがなかったりと、困ってしまった時には、霊園であれば施設の管理者に相談してみるのも、良い方法。本文でもお伝えしたように、施設にスペースがあることも少なくありません。
さらに、より確実に会食をしたいのであれば、本州の慣習に倣った方式で、近隣の会館や施設内スペース、お食事処で場所を予約してしまうのも安心感はあります。
ただしこの場合には、事前にある程度の人数の把握が必要です。新しいお墓でも初清水祭。故人のためにもさまざまな体験談を踏まえて、スムーズなものにしてください。
まとめ
近年の清明祭(シーミー)事情と解決策
・霊園のお墓が増えてきた
・狭いスペースに並ぶお墓が増えた
・清明祭で隣のお墓とスケジュールが重なることもある
・納骨堂でも法要や清水祭はできる
・基本的には喪明けの一年忌後が初清水祭り