葬儀の服装の基本マナー。お通夜や法事との5つの違い
葬儀の服装は「ブラックフォーマルを揃えておけば大丈夫。」と思ってしまいがちですよね。けれども、地域によってはお通夜と葬儀に参列する服装は、違うものでなければいけないことも…。
こう聞いて、現代の方々なら「お通夜と葬儀で服装が違うって、どういう事?」と思う方も多いはず。と言うのも、昔ながらのマナーに倣えば、お通夜ではブラックフォーマルではないのです。
さらに言えば、喪主を務める場合やごく身近な遺族であれば、これもまた、葬儀の服装が変えるのがマナー。そう聞くと、「ブラックフォーマル一着だけど、大丈夫かな…。」と不安にもなりますよね。
そこで今回は、より誠実に準備をしたいなら押さえたい、葬儀での服装マナーを、お通夜や法事との着分け方とともにお伝えします。
葬儀の服装の基本マナー。
お通夜や法事との5つの違い
葬儀の服装の基本マナー
葬儀へ参列する際の基本マナーは、ブラックフォーマル。正確に言えば、一般参列者は「準喪服」で参列します。
【 葬儀の服装、基本のマナー 】
① 男性の場合 … 光沢のない漆黒の黒い上下のスーツ。ネクタイや靴下も黒で、シャツは白。
・ 注意したいポイントは、靴やベルト。革製であることは仕方のない部分ですが、光沢のないものを選び、ベルトに金属部分があれば、ゴールドではなく、シルバーがベターです。
② 女性の場合 … 女性も光沢のない黒いワンピースやアンサンブルなど。パンツスーツでも可。
・ 葬儀の服装なら、ストッキングは黒(透け感のある黒を選ぶのが正解)。靴とバッグはできれば布製の黒い素材でシンプルなものを選んでください。
靴はヒールが太いものは避け(カジュアルに見えすぎるため)、ヒールの高さは3cm前後が理想的です。
喪主の場合の葬儀の服装
以上が一般参列者のごく基本的な「準喪服」である「ブラックフォーマル」ですが、喪主になると、より格式の高い「正礼装」でなければなりません。
【 葬儀の服装、喪主の場合 】
① 男性の場合 … 本来の正喪服であれば、洋装ならモーニングコートなどになりますが、現在では前項と同じ、ブラックフォーマルが一般的。
・ 正喪服の場合、和装の選択肢もあります。和装を選ぶのであれば、喪主は「五つ紋」が付いている羽織と袴が正しい葬儀の服装です。
② 女性の場合 … 男性は喪主でも洋装が多いのですが、女性の場合には和装が多いのが特徴。こちらも「五つ紋」を選び、黒無地の染め抜きを選んでください。帯は黒帯。足袋は白で大丈夫です。
・ 洋装を選ぶなら、本来はアフタヌーンドレスなどが正喪服になりますが、参列者としての「葬儀の服装よりも、スカートの丈を長く」したものを選べば大丈夫。
例えば、くるぶし丈の黒いワンピースやアンサンブルなどは、喪主の洋装として良いかもしれません。ストッキングや靴などの小物は、前項の準喪服に準じます。
昔ながらのお通夜の服装
今では故人が亡くなってから数日経ってからのお通夜も増えたため、お通夜でも葬儀と同じく準喪服で参列するのがマナーとなってきました。
ただ、地方で故人が亡くなった当日に執り行われる通夜などでは、昔ながらのマナーに倣った方が良いケースもあります。
【 葬儀の服装、当日の通夜 】
■ 昔ながらの通夜では「急いで駆け付ける」ことを表し、「平服」で駆けつけるのがマナー。「略喪服」でも構いません。
・ この服装は喪服ではないけれど、上品で地味目な服装が目安。女性であれば濃紺やグレーなどの地味目な色合いのワンピースやアンサンブルなど。多少の柄があっても問題ありません。
男性も同じく、濃紺やダークグレーなどのスーツで、ネクタイも光沢のないもの。派手なものは避けてください。
法事での服装、基本マナー
迷いがちな法事ですが、最近では四十九日でもブラックフォーマルでの参列が増えてきました。自分達で判断できる目安となるのが、一周忌や三周忌。
この頃になると、ごく身内のみでの法事が多いため、参列者は案内ハガキを受け取ることが多いはず。このハガキに「平服でお越しください。」とあれば、「平服」での参列が適切。
【 葬儀の服装、法事の服装 】
■ この時、間違えやすいのが「平服でお越しください。」の案内があった場合には、できる限り平服での参加が望ましい、と言うこと。ブラックフォーマルだったら安心、と言う訳でもありません。
・ と言うのも一般参列者であれば、施主の服装の「格式」より上であってはならない、と言うのが基本。
もしも喪主も平服で参加した場合、ブラックフォーマルでは格式が上になってしまうのです。
日ごろから準備をしたい、葬儀での小物
ここまで配慮しながら葬儀の服装を選択すれば、基本的なマナーは大丈夫。ただ、せっかく改めてブラックフォーマルを準備するのなら、合わせて用意しておくと、より丁寧な小物もいくつかあります。
【 葬儀の服装、準備したい小物 】
■ ひとつがお香典を入れる「袱紗(ふくさ)」。よく、購入した不祝儀袋の外包みに入れて持ち歩く方がいますが、それはNGマナー。
・ 本来は袱紗(ふくさ)に入れて持ち歩き、受付でお渡しする際には、お香典の下に袱紗(ふくさ)を添えながらお渡しするのが作法なのです。
葬儀の場合には、地味目な色味を選ぶもの。最初のひとつであれば、結婚式にも併用できる紫がおすすめです。
いかがでしたでしょうか、今回は日ごろから意識して理解しておきたい、葬儀の服装と、お通夜や法事での服装、その着分け方をお伝えしました。
ちょっとしたことですが、これを着分けることができれば、マナーができる人として信頼も受けますし、自分自身も堂々と参列することができるため、故人を偲ぶことに集中できるはず。
さらに数珠も準備をしつつ、女性でお手伝いをすることになりそうなら、黒いサブバックや黒のエプロン、スリッパなどのセットも準備をしておくと何かと便利。滞りなくお手伝いができます。
特に数珠は忘れたとしても、他の方から借りることはできないもの。当日なかったり忘れることのないよう、葬儀の服装を揃えるとともに、一緒に準備をしても良いかもしれません。
まとめ
葬儀やお通夜、法事の服装の基本
・一般参列者の葬儀では、ブラックフォーマル
・喪主であれば正喪服、女性は和装が多い
・昔ながらのお通夜では平服での参列もある
・法事で平服指定があれば、準喪服は避ける
・葬儀の服装とともに、袱紗も準備する