法事での香典マナー。お通夜や葬儀との違いと基本の作法
法事での香典は、お通夜や葬儀と違って日ごろあまり気にしませんよね。全国的には知人・友人まで広く案内される事の多いお葬式と違い、四十九日などの法事に参列する機会は、あまりありません。
とは言え、案内状が届いたのならそれなりのマナーある準備を整えたいもの。「法事の香典と言っても、お通夜や葬儀と同じように準備をすれば、問題ないでしょ?」と考える方も多いのではないでしょうか。
確かに大きな部分では同じマナーも多いのですが、法事の香典では、お通夜や葬儀とはまた違う作法も存在します。ここまで配慮して法事の香典を準備し、丁寧に参列できたら、堂々と行けますよね。
そこで今回は、全国的に間違えやすいけれども実は違う、法事ならではの香典マナーと、全ての弔事にも共通する基本をお伝えします。
法事での香典マナー。
お通夜や葬儀との違いと基本の作法
葬儀と法事の香典の違い、その1
多くの方々が、今では「葬儀と法事の香典に違いはない。」と考えているのですが、表書きの名目や使う墨など、いくつかの違いがあります。知らない方も多いものの、施主ともなれば一連のマナーもチェックしているので、マナーの違いは目立ってしまうはず…。
【 葬儀と法事の香典の違い:表書き 】
■ 葬儀やお通夜は故人が亡くなって間もない時期。故人の魂もまだ四十九日前までは、今生に残っているとされています。
・ そのため、葬儀での表書きは「御霊前」(霊の前に差し出すお香典)、四十九日以降の法事になると、あの世へと旅立った後なので「御仏前」(仏様の前に差し出すお香典)となり、表書きが変わるのです。
ただし、浄土真宗に関してはお通夜や葬儀でも、「御仏前」。ここではキリスト教や神教には触れていませんが、宗旨宗派への配慮もしながら準備をすると安心です。
葬儀と法事の香典の違い、その2
そして葬儀やお通夜の参列経験しかない方に注意してほしい注意点が、使う墨。今では毛筆で表書きを書く方も少なくなり、筆ペンを利用する方が多いかもしれません。
【 葬儀と法事の香典の違い、墨 】
■ 故人を亡くして間もない時期のお通夜や葬儀では、表書きに使用する墨は「薄墨」。これは「悲しみのあまり涙が落ちて、墨が薄くなった。」と言う意味合いがあります。
・ 一方で法事の香典では、故人が亡くなって月日が経っているため、黒墨で書くのが一般的。
ちなみに、中袋にも表側には包んだ金額を、裏側には住所と氏名を入れるのが作法ですが、細かな文字を筆で書く事が困難な場合、万年筆などを用いる方も見受けるようになりました。
けれどもボールペンは、もともとメモ書きなどに使うための筆記用具。あまりにラフな文具なので、法事のお香典には避けてください。
間違えてはならない、外包みの向き
こちらは法事の香典と慶事の祝儀の違いとはなりますが、今では多くの方々が戸惑っているのが、外包みの折りたたみ方。あまり意識せず慶事の作法で折りたたんでしまい、間違えている方も見受けるので注意!
【 法事の香典、外包みの折り方 】
■ 慶事の祝儀では、折りは下側が最後。紙が上向きになり縁起が良いとされています。けれども弔辞ではNGマナー。
・ 法事の香典ではその反対で、折りは上側が最後。紙が下向きに重なり、深くお辞儀をしているような形になるのです。
意味合いまで分かれば忘れることなく、それぞれの目的に合わせた外包みの折り方ができるはず。冠婚葬祭マナーはややこしい事が多いのですが、意味合いと合わせて覚えてみてください。
慶事と弔事で違う、お札の向き
こちらも葬儀と法事の香典の違いではなく、慶事の祝儀との違いになりますが、意外に知られていないマナー。慶事では新札を、弔辞では旧札を使うことは広く知られていますが、お札の入れ方にも違いがある事は、知っていたでしょうか。
【 法事の香典、お札の入れ方 】
■ 慶事の祝儀では、お札の肖像部分(福沢諭吉など)が表側…、つまり、封のない方へ向けて入れます。肖像は封側(上側)になるように入れるとバッチリ。
・ 一方で法事の香典では、お札の肖像部分は裏側…、つまり、封をする側に向けて入れるのが作法。表側を向いていないのです。上下は同じで上側で問題ありません。
法事での香典の渡し方
最後に渡す時になって戸惑う方が多いのが、法事での香典に添える言葉。お通夜や葬儀では「ご愁傷様です。」「お悔やみ申し上げます。」などと言いますが、法事は故人が亡くなって日が経っているため、確かに違和感があるのではないでしょうか。
【 法事の香典、添える言葉 】
■ はっきりと決められた言葉はないのですが、何か一言添えたいもの。
・ そこで「皆様と共に、偲びたいと思います。仏前に供えてください。」などとお伝えしても良いかもしれません。
いかがでしたでしょうか、法事の香典もお通夜や葬儀での香典も、その意味合いは相互扶助ですし、基本的な包み方などの作法はあまり変わりません。けれども、故人が亡くなってから日が経っている、と言う点でいくつかの違いがあるのです。
ちなみに、法事の香典での金額相場は、地域によって違いがありながらも、知人や友人であれば五千円~一万円が目安となり、法事に呼ばれたからには、それなりに故人と深い関係性があった事を鑑みると、その気持ちをプラスする方も多くいます。
また、法要後に会食がある場合、その会食に合わせた金額をプラスするのも配慮。寺院で会場を設けていたり、仕出し弁当などであればプラス五千円もあれば大丈夫ですが、ホテルやレストランなどであれば一万円をプラスする方も多いです。
ぜひ、マナーに倣った丁寧な準備を整えて、故人を偲んでください。
まとめ
法事の香典準備での注意点
・法事の香典では「御仏前」
・葬儀では薄墨でも、法事では黒墨
・弔事では外包みは上を最後に畳む
・弔事でのお札の向きは肖像が裏側
・「皆様と共に偲びます」の言葉を添える