弔辞の書き方に迷ったら。失礼にならない基本と例文
弔辞には書き方があると分かれば、筆不精で作文が苦手な方でも、その構成に従って書き進められるため、少しホッとしますよね。ご遺族に弔辞を頼まれたなら、よほどの事がない限りお受けするのが、基本のマナー。
弔辞は結婚式の祝辞とは違い、会社の上司や目上の方などにお願いする訳でもありません。ご遺族としては、本当に故人を想い、生前から深いお付き合いのあった方へ依頼するもの…。弔辞を受けたと言うことは、それだけ故人への想いもあるはずです。
それでも、もともと文章を書き慣れている方なら、二つ返事で了承出来ても、日ごろ人前で話す事が苦手な方だったり、文章を書き慣れていない方であれば、やはり不安は残りますよね。
そこで今回は、文章が苦手な方でも安心して準備を整えられるよう、基本的な弔辞の書き方の構成と、いくつかの例文をお伝えします。
弔辞の書き方に迷ったら。
失礼にならない基本と例文
弔辞の書き方、基本の構成
弔辞には書き方がある、とお伝えしましたが、実は基本の構成が一般的に伝えられています。この順序に従い、自分なりの言葉を当てはめれば、文章が苦手な方でも大丈夫。
【 弔辞の書き方、基本構成 】
① 始まりの言葉 … まずは自分の心情を述べて、始まりとしてください。(「今回は突然の事で、今でも驚きと悲しみでいっぱいです。」など。)
② 故人との関係性 … 参列者に分かるように、故人とどのような関係なのかをお伝えします。(「故人とは、小学生からの同級生で、ずっと親しくして参りました。」など。)
③ 故人とのエピソード … 故人との思い出を中心に、そのお人柄を褒め称える、仕事上の構成を伝えるなどしてください。(「私が困った時には、いつも親身になって相談に乗ってくれたのは、○○さんでした。」など。)
④ ご遺族への言葉掛け … ご遺族の方を向き、お悔やみの言葉をお伝えします。(「この度は突然のことで、ご遺族の皆様においては、いかばかりかと察しております。」などなど。)
⑤ 終わりの言葉 … ご遺族へのお悔やみの言葉から、そのまま哀悼の意を表し、弔辞を締めてください。(「謹んで氏の御冥福をお祈り申し上げます。」など。)
これが、一連の弔辞の書き方。大まかな流れは決められていますが、個々の項目において、故人への想いを伝えてみてください。
弔辞の書き方、基本マナー
弔辞の書き方で必ず押さえておきたいのが「忌み言葉」。これは広く知られる葬儀マナーであり、弔辞となればなおさら、「間違えました。」とはいかないNGワードです。忌み言葉の大きな項目は二つ、「重ね言葉」と「直接的な表現」。
【 弔辞の書き方、NGマナー 】
① 「重ね言葉」は「いよいよ」「重ね重ね」などの重複する言葉。
・ これは不幸が重なる事を意味し、同じように「長らく」など、悲しみが継続する表現も避けてください。
② 「直接的な表現」は「死亡」や「生きていた時」などの言葉。
・ 例えば「ご逝去された」「お元気だった頃」などの表現に置き換えて、言葉にする必要があるのです。
弔辞の書き方、長さに注意
弔辞の書き方で全般的に注意をしたいのは、その長さ。あまりに長いと参列者としては間延びしてしまいますし、短すぎるのも、なかなか気持ちが伝わらないもの。弔辞の書き方に限った話ではないのですが、人前で話す文章には、適切な長さがあります。
【 弔辞の書き方、長さ 】
■ 葬儀の席だけに、読む側もどのような感情が沸き起こるか分からないもの。「ゆっくりと読み上げて」3分~5分になる目安で、文章を組み立てておくと安心。
・ 一般的には3分~5分として、適切な長さの目安は原稿用紙で言うところの3枚手前くらい。800文字~1200文字前後で考えると、丁度良いかもしれません。
また、従来のスピーチでは元気にハキハキと伝えることで好印象も持たれやすいのですが、弔辞は別物。葬儀の席であまりに元気で、トーンの高い艶やかな声、笑顔では違和感が残ってしまいます。
緊張すると声が高くなってしまったり、早口になってしまう方もいますが、まずは落ち着いて、ゆっくりと故人に語りかけているように伝えられるよう、練習をしておくのも良い方法です。
弔辞の役割を、上手に果たすには
弔辞の書き方に倣って準備をすれば、まずは安心…、と言うところですが、それでも、思うように言葉が浮かばなかったり、当日読み上げる時には、相当緊張してしまいそうだ…、と不安に感じる方もいるかもしれません。
【 弔辞の書き方のコツ 】
■ 「○○さん、今日は呼びかけても、答えは返ってこないのですね。」などの弔辞を聞いたことがあるかもしれませんが、弔辞は本来、故人へ送る手紙。そのため、故人へ語り掛けるように、二人称で書くと、素直な気持ちが伝えやすくなります。
・ そして、弔辞の目的は二つ。一つ目は故人を想いたたえること…、そしてご遺族の悲しみに寄り添い、少しでも和らげられるような言葉掛けをすることです。
目的を常に意識しながら、長くなりすぎず、あまり自分の悲しみに集中してしまわないように気を付けて、故人に語り掛けるようにして行くと、文章を作りやすいのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか、今回は頼まれた際にも安心して準備ができるよう、弔辞の書き方とその構成の基本をお伝えしました。一般的にこの流れに沿えば、基本的なマナーを押さえた弔辞ができますが、故人への想いの伝え方は人によって違うことも…。
例えば、芸能人のタモリさんは赤塚不二夫さんの弔辞では白紙だったとも言いますし、いかりや長介さんの弔辞を受けた加藤茶さんは、「何も心配なくゆっくり休んでちょうだい。」など、本人に語り掛けるように、とても砕けた言葉遣いでもありました。
弔辞の書き方はもちろんですが、読み上げる際には、まず、名前を呼ばれたら遺族と参列者に一礼をして祭壇に進み、また一礼。読み終わりには封筒(奉書)に再びしまって、祭壇へお供えし、また一礼をするなどの作法もあります。
弔辞の書き方を把握して、伝えたい気持ちをぜひ、思い残すことのないよう、伝えてみてください。
まとめ
弔辞を準備する基本とコツ
・弔辞の基本構成に倣って組み立てる
・忌み言葉には気を付けて書く
・3分から5分、800文字~1200文字が目安
・故人へ語り掛けるように書くのがコツ