喪主の挨拶の基礎知識。失礼にならない作法と例文
喪主の挨拶は、大切な家族を亡くして間もない時期でも、故人を想って駆けつけてくださった弔問客の方々を想うと、避けては通れない事柄ですよね。
時には喪主があまりのショックで挨拶ができず、親族などの代理人による挨拶も見受けられますが、ほとんどが喪主の挨拶であり、できる限り喪主自身が故人に代わってお礼の気持ちを伝えるのがベスト。
とは言え、精神的な部分だけではなく、喪主は葬儀の打ち合わせや手続きなどなど、やることがあまりにも多く、喪主の挨拶まで考えていられないことも、多いのではないでしょうか。
それでも、できる限り丁寧に故人を偲ぶ弔問客の皆さまに、失礼のない喪主の挨拶をしたいですよね。そこで今回は、年配の方々も多い葬儀の席で、失礼にならない喪主の挨拶、基本の例文をお伝えします。
喪主の挨拶の基礎知識。
失礼にならない作法と例文
葬儀が始まる前に、お坊さんへ
喪主が行う挨拶と言うと、弔問客の前でのスピーチをイメージしますが、葬儀前からお坊さんを出迎える際には、丁寧に喪主が挨拶をしたいところ。
葬儀当日にお坊さんが到着したら、喪主は挨拶をしながら、読経へのお礼としてお布施をお渡ししてください。家まで来ていただいた場合には、「御車代」も別封筒に入れて添えます。
【 喪主の挨拶、お坊さんへの挨拶 】
■ 「この度はご多用中のなか、早速ご足労いただき、誠にありがとうござます。
わたしどもは、何分不慣れでございますので、どうぞご指導いただきますよう、よろしくお願いいたします。」
一般的な定例文にはなりますが、この言葉を最初に伝え、それから盆か袱紗の上にお布施を置いてお渡しすると丁寧です。
ただし、地域によってはお布施をお渡しするタイミングが、葬儀後の場合もあるので、確認しておくとより安心かもしれません。
受付時に、弔問客へ
近年の葬儀では受付を葬儀スタッフが行ってくれるケースが多く、弔問客の方々へ直接喪主が挨拶をする機会も少なくなりました。
ただ、家族葬などの小さな葬儀などでは、お悔みの言葉を掛けられることも多いもの。この際、喪主の挨拶も定例文を踏まえながら返すと安心です。
【 喪主の挨拶、お悔みの言葉への返事 】
■ 「本日はお忙しいなか、ご足労いただきありがとうございます。」と伝え、記帳をお願いしてください。
・ お香典を弔問客からいただいた際には「ご丁寧に恐れ入ります。」と一言添えて、両手で受け取ります。
心のこもった一言をいただいたら、「故人も喜んでいることと思います。」を基本にして、感謝の気持ちが伝わるよう、自分の言葉で一言を添えても良いかもしれません。
出棺時の挨拶
喪主の挨拶と言えば、この出棺時のスピーチ。気持ちの在り方によっては身近な方が代理を務めることもありますが、極力、故人と最も身近な立場にいる、喪主による挨拶が求められます。
ただ、この喪主の挨拶は、その立場と故人の年齢や亡くなり方によっても、さまざまに変わってきますので、今回はその一例として、参考にしてみてください。
【 出棺時の喪主の挨拶 】
■ 「本日はお忙しい中、遠路母○○の葬儀にご会葬いただき、誠にありがとうございました。
大勢の方々より多くのお別れの挨拶を賜り、お見送りいただきまして、故人もさぞ、喜んでいることと存じます。
わたしどもは何分未熟者ではありますが、故人の教えを胸に、今後も日々精進していく所存です。
今後とも故人同様、変わらずご指導、ご鞭撻いただけますことを、よろしくお願い申し上げます。
改めまして、本日は心より、ありがとうございました。」
…などなどの例文があります。ここに故人が亡くなった時の様子や生前の様子を、伝えられる範囲でプラスするなどのアレンジがあっても、気持ちが伝わる喪主の挨拶になるはずです。
精進落としへのご案内
全国的な葬儀では、葬儀後に「精進落とし」と呼ばれる、会食の場が設けられることがほとんど。精進落としを準備している場合には、喪主の挨拶でご案内をしてください。
【 喪主の挨拶、精進落としへのご案内 】
■ 「この度は、母○○の葬儀に際し、皆さまには多大なるお力添えを賜り、誠にありがとうございました。
お蔭さまで無事に葬儀を終えることができました。
ささやかではございますが、隣りの会場にて、精進落としの膳をご用意いたしました。
故人を偲びつつ、ゆっくりとお召し上がりいただければ幸いです。
本日は、改めてありがとうございました。」
…などと伝えてください。ポイントは葬儀を無事終えたこと、弔問いただいた事へのお礼と、精進落としの準備があることをお伝えすること。
こちらも自分の言葉を少し添えるなど、アレンジも大丈夫です。
精進落とし、締めの挨拶
ある程度時間が過ぎましたら、精進落としの席は喪主の締めの挨拶により閉会になります。この時にも、喪主の挨拶には一連の伝えるべき事柄と構成があるので、これに沿えば大丈夫。
ここで一例をお伝えします。
【 喪主の挨拶、精進落とし締めの挨拶 】
「この度は改めまして、亡き母○○のためにお運びいただき、ありがとうございました。
ゆっくりと故人を偲びたいところではございますが、お忙しい方々、明日の仕事に差し障りがあっては申し訳ありません。
誠に勝手ではございますが、そろそろお開きとさせていただきます。
故人の生前でのご厚誼、心よりのお礼を申し上げます。
最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。」
…などなどの例文があります。
いかがでしたでしょうか、本日は葬儀の席で喪主が行う挨拶と、その例文をお伝えしました。自分の言葉添えれば、より参列者の皆さまに伝わりやすい喪主の挨拶になるもの…。
けれども、葬儀の席では長い挨拶は必要なく、むしろ短い言葉で伝えることが求められるため、基本の定例文を参考にしながら、自分の言葉はひと言ふた言添えれば大丈夫。
お通夜の後は告別式、告別式の後は初七日と、今後も法事法要が続く時期ですから、むしろ次への案内を忘れず、伝えるべき要所を押さえた喪主の挨拶が不可欠です。
例えば精進振る舞いで行う、喪主の締めの挨拶では、即日渡しの香典返しがあれば、その案内や、次回の法事の日程などの案内もできれば安心ではないでしょうか。
本記事を参考にしながら、喪主として故人に代わり、心がつたわる丁寧な挨拶をしてください。
まとめ
喪主の挨拶のポイント
・お坊さんへの挨拶も丁寧に行う
・受付でのお悔みの言葉への返事にも定例文はある
・出棺時の喪主の挨拶で、最も長く伝える
・精進落としがあれば、最後に案内をする
・精進落としは喪主の締めの挨拶で終わる
・香典返しが即日渡しであれば、案内をする
・次回の法要の案内も、挨拶で行う