葬儀スタイルの選び方。葬家の事情に合わせた3つの事例
現代では葬儀の種類も増え、選び方に悩む方々も増えましたよね。ひと昔前であれば、ほとんどの人々が葬儀の選び方に悩むことなく、一般葬が定番でした。
ご遺族も病院に紹介されるまま、葬儀社と打ち合わせをして、全て任せる葬家も多かったのではないでしょうか。けれども近年では事情が変わってきています。
さらに民間霊園も増え檀家制度も希薄になったために、お坊さんを依頼する先がなく、「お坊さん派遣」業者の需要が高まっています。なかには読経供養などの宗教色を持たない「自由葬」も人気の出ている葬儀スタイルのひとつです。
このようなさまざまに広がった葬儀の種類、ぜひ選び方を理解して、トラブルや後悔のないように執り行いたいですよね。そこで今回は、数多くある葬儀の選び方が理解できる、いくつかの体験談をお伝えします。
葬儀スタイルの選び方。
葬家の事情に合わせた3つの事例
介護施設にいた97歳の母の葬儀
痴ほう症を患い10年以上介護施設で暮らしていたA子さんの母親が、97歳の高齢で亡くなりました。A子さんご自身もすでに75歳、夫婦共に現役を引退して長く、夫婦で旅行などにいそしみ、近所付き合いも希薄です。
高齢なので昔からの知人友人も亡くなっていたり、元気でも参列できる状態ではない方も多くなっています。さらに、長く介護施設で暮らしていたために、特別お別れをして欲しい知人友人も思い浮かびません。
【 葬儀の選び方:少ない人数での葬儀 】
★ そのため親族15人程度と、ごくごく親しいご近所の方5人ほどの、合計20人ほどで行う家族葬を選択しました。
・ ご近所の方々も高齢なので、弔問しやすくゆっくりとお別れできるよう、自宅で執り行う「自宅葬」です。さまざまなレンタル料金は必要だったものの会場のお金も掛からず、費用は合計で75万円でした。
菩提寺があったので事前に菩提寺に相談をし、お坊さんには出張に来ていただきました。最初はお香典はお断りする予定でしたが、ご近所の方々のたっての希望で、受け取ることにしています。
現役で亡くなったB子さん
お子さんが18歳・15歳・10歳の男の子3人、夫婦共働きで働き盛りだった45歳のB子さんは、健康診断で子宮がんが見つかり、すでにステージ4だったため、見つかって間もなく亡くなりました。
夫婦共働きで旦那様は地域の夜回り活動にも積極的に参加し、B子さんご自身も絵本の読み聞かせなどを行っていたので、地域内での知人友人も多くいます。
この場合、費用とのバランスを考えた葬儀の選び方のポイントは、棺・祭壇・供え花のランクです。
【 葬儀の選び方:現役世代の葬儀 】
★ このような事情から弔問客は多く予想され、親族だけでも50人、夫婦の会社関係者がそれぞれ50人で合計100人、地域ボランティアの知人友人50人の他、ご近所の方々も50人ほど想定しました。全員で250人です。
・ 病院から斎場の霊安室へ運び、翌晩にお通夜、次の日に告別式を行いました。棺や祭壇はさほど豪華ではないものの、B子さんはお花が大好きでしたので、供え花は多く注文しています。
葬儀費用は合計で350万円でしたが、供え花は高いので、一般葬の費用としては少し高めの設定でした。人数が多かったため、香典返しも当日にお渡しし、その費用も含まれています。そのため、350万円で350人前後の事例もあります。
ただしB子さんも菩提寺があり、読経の依頼や戒名などは別に行っているので、350万円にはお坊さんへ支払う費用は含まれていません。
80代の独身の兄を見送る葬儀
葬儀の選び方に迷うことが多い事例では、独身の兄弟の見送り方があります。
C子さんのお兄さんは生涯独身、実家に両親と住んでいましたが他界し、亡くなった時には一人暮らしだったため、妹であるC子さんが喪主を務めました。
現役引退後は一人、芸術活動や読書にいそしみ、一人の時間を愛していた兄だったうえ、後年は入院治療を続けたために付き合いがほとんどないようです。
さらに最近では兄の交友関係も分からず、高齢も相まって、弔問をして欲しい知人友人が思いつきません。
【 葬儀の選び方:家族のみで見送る葬儀 】
★ 自分自身も76歳、身内はC子さんのみでしたので、C子さんの家族(夫と子ども2人)、叔母さん1人の5人のみでの葬儀を選びました。
・ 火葬場で全てを済ませるごくごくシンプルな「直葬」でしたが、それでも家族葬専用の小さい部屋を借り、火葬まで故人との時間を過ごし、火葬場では読経供養を依頼しての葬儀です。
この事例では、それぞれでお供え花を用意したため、供え花の費用は差し引き、さらに戒名も別途除いた料金で、合計25万円でした。(読経供養のお布施は一律で3万円となります。)
いかがでしたでしょうか、今回は近年さまざまに広がった葬儀スタイルの選び方について、いくつかの事例をお伝えしました。特に自宅葬やリビング葬(家族葬)の他、一般葬や直葬のケースをお伝えしましたが、まだまだ多くの葬儀スタイルや事例があります。
特に近年ではシニア世代で「終活」が広がり、故人自身が生前に自分の葬儀の選び方を学び、自分で演出する方々が増えました。生前契約をしている方もいますし、そうではなくても「その遺志に沿いたい。」と奮起する遺族も多いです。
ただ、今回お伝えした直葬の事例では、小さいながらも落ち着いて故人を偲ぶことができる部屋も用意され、家族も満足できる丁寧なものでしたが、全ての直葬が同じとは限りません。
やはり葬儀社の選び方も大切ですので、打ち合わせの際には疑問は全て尋ねて納得して進めることをお勧めします。
まとめ
遺族の葬儀の体験談
・高齢の弔問客へ配慮した「リビング葬」
・一般葬は棺・祭壇・供え花がポイント
・直葬は供養の有無や丁寧さを確認する