葬送方法を終活で決める。考えたい5つの事柄
葬送方法を終活で決めることは、大切な柱のひとつです。それが終活を進める魅力でもあり、相続などの難しい項目に対して、楽しみさえ見出せる項目なのです。何も準備をせずに亡くなると、病院などに提携した葬儀社が従来の葬儀を行いますよね。
自分でも葬儀に参列しながら、ふと思うことはないでしょうか。例えば「白装束は嫌だな。」「もっと明るく、穏やかな葬儀にしたいな…。」などなど。このようなふとした希望が、終活で葬送スタイルを決めることで、実現するかもしれません。
ただし自分亡き後に執り行われる葬儀や葬送ですから、やはりそれなりの注意点や、配慮は不可欠。できればスムーズに、自分らしい葬送を進めたいですよね。そこで今回は、終活で葬送方法を決める際に、意識したい5つの事柄をお伝えします。
葬送方法を終活で決める。
考えたい5つの事柄
家族の同意を得て決める
終活で葬儀にしろお墓にしろ、自分の葬送方法を決めるのであれば、残される家族の同意が欲しいもの。現在では「家族に内緒で」生前契約をしたり、終活を進める方々も多いのですが、実際にその時に対処するのは残される家族なのです。
【 家族の同意が必要な理由 】
■ 葬儀社に事前に費用を支払い、契約をしている場合には、訃報の一報で葬儀社が動いてはくれますが、当然のことながら家族も、葬儀について考えているはずです。
・ 「私達には何も教えてくれなかった!」などの感情的な意味合いも相まって、大きなトラブルになることもあります。
遺族に頑なに拒否されて、希望の葬送方法ができなかった事例や、実はあまり信頼できる葬儀社ではなかったために、追加追加で高額の葬儀を強いられた、と言う事例もあるので、やはり1人ではなく、家族合意の上での契約が望ましいのです。
宗旨宗派を決める
終活で葬送方法を決めるからこそ、意識してみたいのが宗旨宗派ではないでしょうか。何も考えずに葬儀や納骨を進めて行くと、一般的には仏教式で進められるのがほとんど。代々墓があることも多いので、菩提寺は仏教であるケースが多いです。
【 近年多い、無宗教葬 】
■ 最も多いのが「ともかく、仏教以外の葬儀、納骨方法を選びたい」と言うもの。そのニーズに応えて生まれたのが「無宗教葬」の葬儀プランです。
・ 無宗教葬を選択する方々は、葬儀自体を楽しむ傾向が。お経の代わりが必要になるのですが、そこにオリジナリティーを出すことができるからです。
例えば「音楽葬」では、自分が好きな音楽をお経の代わりに流して欲しい、自分の生前の映像を流して欲しい、などなどの要望が見受けられます。すでに親族が残っていないため、檀家から離れたいなどの理由で、無宗教葬を選択する方も多いです。
生前契約の場合、お金の所在を決める
生前契約で葬儀や納骨方法を選択する場合、多くが終活のなかで葬儀社などと生前契約をしますよね。お墓であれば土地やお墓を建てるので、生前に確認することもできますが、葬儀はあくまでも自分亡き後に執り行われるもの。
できるだけ余計なトラブルを少なくするためには、お金の所在をハッキリとさせ、その時まで安心して残しておける方法を選ぶことが得策です。
【 葬儀代金のお金の所在 】
■ 保険を利用する方法が多いですが、そうではない場合、「葬儀信託」を利用する方法があります。葬儀社に事前に支払うことはできるだけ避けたいところ。
・ と言うのもいくら信頼できそうな葬儀社だからと言って、その葬儀社が倒産してしまえば、当然預けたお金は戻ってこないことになります。
将来何か起きるかわかりませんから、自分名義で残しておくことが安心のひとつなのです。また、家族の理解がある場合は特に、後払いの方法がおすすめです。全ての葬儀を確認してから納得して支払うことができるからです。
生前葬って本当に役立つ?
ごく最近から耳にするようになった「生前葬」。終活をしている本人としては、最期まで自分で見届けられる上に、死後に家族に葬儀などの余計な負担が掛からない、と考えて執り行うようですが、果たしてそうでしょうか?
【 生前葬を行う場合も、家族に同意を 】
■ 生前葬を執り行った事例の多くが、故人亡き後、改めて葬儀をしています。やはり、いくら生前葬を行っているからと言って、遺族としては心の整理のためにも、再度葬儀を執り行いたいのです。
このことを理解した上での生前葬なら、とても良い時間であるとも言えます。終活の一環として、本人が納得するための、ひとつのセレモニーとしての「生前葬」と捉えてはいかがでしょうか。終活では実際の葬儀について考えたり、配慮をすると言うのも一案なのです。
跡継ぎが必要か否か
次に考えたい事柄がお墓です。現代ではひと昔前のような世襲意識が薄れているため、個人墓や自分達の夫婦墓、家族墓と言った小さい規模でのお墓が増えているのが特徴的。
ただし個人墓を検討する際には、自分が今引き継ぐべきお墓があるか、檀家としての義務はないか…、再確認するとより配慮が行き届いています。
【 現代引き継ぐお墓がある場合 】
■ 現代自分達が引き継いでいる代々墓があり、それでも自分達はより気軽な個人墓や合祀墓を望む、と言った場合には、現在の代々墓が無縁仏になってしまう懸念があります。
・ これを解消するために、まずは現在引き継いでいる代々墓を閉め、ご先祖を供養することが大切です。生前を良く知る故人が眠っているのなら、より便利な場所や施設にお墓を引っ越す「改葬」と言う方法もあります。
現代人気の個人墓では、都心に多い屋内タイプの納骨堂や霊廟、永代供養が約束される価格もコンパクトな合祀墓などもあります。
残される者が、どのようにお墓参りをしたいのか
このように、あらゆるタイプが選択できるようになったお墓。永代に渡り子どもや子孫に代わって施設や寺院が供養してくれる「永代供養」のサービスが付いたもの、特に大勢が入る合祀墓タイプなどは、生前契約ができます。
【 残される者の心情にも配慮する 】
■ 自分亡き後の供養など、余計な負担を家族に掛けないように、と選択するケースが多いですが、家族の意識は違うことも多いです。
・ 自身が独身であったり、子どもがいない場合には、問題がないことが多いです。
自分自身でも「後々供養の手間が掛からないお墓を選んだものの、埋葬されっぱなしでお墓参りにも来てくれないとなると…。」などと感じる場合には、お墓を建てるプランも検討すると、スッキリと終活を進められるきっかけになります。
いかがでしたでしょうか、終活で自分の葬送方法を決めることは、最期の自分を演出できて納得しながら余生を送れるため、有意義なもの。ただ、主役は自分でありながら、その時にいるのは、愛する家族であることも忘れずに葬送方法を決めたいですよね。
全く家族が知らない状況で終活を進めたが故に、残された家族が悲しんだり、戸惑ったりするのは、本人にとっても本意ではないはずです。
なかには「今から葬儀やお墓について考えるなんて…。」と言う家族もいるかもしれません。特に配偶者となれば、お互いにあまり直視したくない夫婦も多いもの。けれども実際の終活は、決して悲しく死を捉えた、暗いものではありません。
むしろ、充実した老後を生きるためのツールにもなっているのが終活。夫婦で始めてみるなんてことも、ひとつのアイデアかもしれません。
まとめ
葬送方法を終活で決める際の注意点
・家族同意のもとで決めると、スムーズ
・終活では宗旨宗派を問わないプランも選べる
・葬儀信託にお金を預けて、金銭トラブルを防ぐ
・生前葬をしても後々葬儀を行う事例が多い
・現在の代々墓が無縁仏にならない配慮も必要
・残される家族や自分の心情を汲んだ選択をする