葬送のさまざまな形。自分達らしさで選ぶ、7つの選択
葬送と言えば日本では疑うことなく、火葬した遺骨を建てたお墓(もともとあったお墓)の元に埋葬することをイメージします。今はほとんどありませんが、土葬なども想像の範疇ではないでしょうか。
けれども最近では従来の埋葬による葬送だけではなく、より自由でバラエティーに富んだ葬送方法を発見できます。注目されている納骨堂はもちろん、樹木葬や海洋散骨、時には宇宙葬まで見受けられるのです。
葬送のセレモニーに、ヘリウムガスで飛んでいくバルーンを見送っている遺族の姿…。何も知らないまま、その風景を見ていると、以前では想像できなかった光景です。
故人の遺志を汲みたい遺族はもちろん、「終活」をしている方々にとっては、死生観が変わるきっかけにもなっています。具体的にどんな葬送方法やサービスがあるのか、気になりますよね。
そこで今回は、現代の多様なニーズを反映した、葬送サービスの数々をお伝えします。
葬送のさまざまな形。
自分達らしさで選ぶ、7つの選択
一般的な埋葬での葬送
最も一般的な葬送方法が、遺骨の埋葬ですよね。仏教では「納骨式」神教では「埋葬祭」を行って、建てたお墓に埋葬をします。
簡単なように思えますが、代々墓などもともとあるお墓に入るなら関係ないものの、墓地を探したり、墓石を選んだり、と納骨式までには、いくつもの手順があります。
【 お墓を建てて埋葬する 】
■ まず探すべき墓地ですが、寺院の他、行政や公益法人の霊園なども多くあります。寺院でお墓を建てる場合には、そのお寺の宗教とも関係し、檀家になることを求められることがほとんどです。
その他、公営墓地などは比較的安価ではありますが、購入する際に抽選が必要であったり、区画は自由に選べないなどは理解しなければなりません。公益法人の霊園や墓地は、宗教や宗派に捉われない、区画などは比較的、自由な部分がメリットです。
さらに現在、新しく造成・建立はできませんが、昔からお墓が建っている個人所有の墓地「みなし墓地」などもあります。※法律制定前からあるお墓なので「墓地とみなす=みなし墓地」
遺骨を納める、納骨堂
このような一般的なお墓を建てて埋葬する葬送の次に、近年になり注目されているのが霊廟や納骨堂と言われる、屋内型のビル納骨堂での葬送です。昔の納骨堂とは意味合いが違い、お墓の代わりのような役割を果たしています。
【 納骨堂での葬送 】
■ ビル納骨堂には宗教法人が運営している事が多く、こちらも墓地と同じく、寺院の納骨堂を選ぶ場合には、その宗旨宗派に準じる必要があります。
公益法人が運営する納骨堂(霊廟)は、宗旨宗派に関わらず入ることができ、檀家制度がない点が大きな違いです。また、納骨堂の多くが、永代に渡って施設や寺院が供養し、管理する「永代供養墓」であることも特徴のひとつです。
お墓ではなく樹木の元に…、「樹木葬」
霊廟や納骨堂とともに、最近注目されている葬送方法が自然葬のひとつ、樹木葬です。最近では自由葬とも言われ、お葬式のスタイルもその後の葬送も、それぞれの希望に沿った多様なプランが用意されています。
【 樹木葬による葬送 】
■ 山奥でより自然に近い樹木葬もありますが、霊園や寺院での樹木葬であれば、より従来のお墓での葬送方法に感覚が近いものがあるため、比較的遺族や親族からの理解も得やすくなります。
霊園内の一区画での樹木葬の他、樹木葬専用の庭園での葬送も見受けられます。
従来の葬送ではない場合
ここまでが火葬後に遺骨のまま、埋葬や納骨ができる葬送の方法なのですが、これからお伝えする海洋散骨や宇宙葬などのように、より自由な葬送を選ぶ場合には、法律上などの理由から、遺骨を粉骨してパウダー状にする必要があります。
【 遺骨を洗骨、粉骨する 】
■ 確かに自分でも遺骨を粉骨することは、法律上の問題はありませんが、悲しみが伴ううえに、とても大変な作業です。
現在では海洋散骨などの葬送を、プランのひとつとしている業者も多いため、遺骨を粉骨するサービスは多く見受けます。
また、散骨も個人で行うことはできない訳ではありませんが、しっかりと供養するためにも、ルールを守りトラブルを回避するためにも、業者の葬送プランを利用することをおすすめします。
メモリアルクルーズとともに、海洋散骨
従来の葬送における価値観、「遺骨は残すべき」を覆した「自然葬」。最も人気があるのは樹木葬ですが、その次に利用されている葬送が海洋散骨です。海洋散骨は前項にあるように、遺骨を粉骨してパウダー状にして行われます。
【 メモリアルクルーズと、海洋散骨 】
■ 現在では海洋散骨は、ひとつのセレモニーとして扱われています。そのため全ての遺骨を散骨する遺族も多いのですが、分骨してその一部を散骨し残りを永代供養にて、故人を偲ぶ事例も増えています。
セレモニー終了後は、記念碑に名前を彫刻したり、海洋散骨の証書を発行するなどして、遺骨の代わりとして後々残るものを用意してくれる業者が多いです。
自宅に残す、手元葬
遺骨をそのまま自宅に残して供養する、手元葬という葬送方法もあります。故人への想いが癒えない時はもちろん、お墓をどこに建てるか…、選択しきれない場合なども、一時的な手元葬の選択があります。
【 自宅に残す、手元葬 】
■ いつでも故人を偲ぶことができる手元葬では、美しい遺骨を入れる器に入れて葬送したり、粉骨した遺骨をアクセサリーやダイヤモンドなどにして、日頃から持ち歩くことができる形に加工するプランもあります。
もちろん、このような手元葬の場合には、分骨などをして残りをお墓に埋める場合も多いです。ただしペンダントやアクセサリーは、なくなる可能性があることも、意識して選択する必要があります。
空高くに飛び立つ、宇宙葬
最後に粉骨した遺骨をパウダー状にして、宇宙に送る葬送方法「宇宙葬」もあります。「宇宙葬をすると、宇宙ゴミが増えてしまうのではないか…。」と、心配する声もありますよね。けれども、問題はありません。
【 宇宙葬の方法 】
■ 単体ではなく、大勢の遺骨をカプセルに納めて、人工衛星で打ち上げる宇宙葬が有名です。この人工衛星は地球の軌道を数百年間回り、地球に戻りますが、その時に人工衛星は燃え尽きるのです。
日本では最も新しい葬送方法で2013年頃からアメリカとの提携が行われていますが、あくまでもセレモニーのひとつ。遺骨の一部を利用したものです。
いかがでしたでしょうか。故人の遺志が反映される、従来の埋葬による葬送方法とはひと味違う葬送の数々。このような自由な葬送スタイルを目の当たりにすると、終活も決して暗いものではないことが分かります。
葬送方法と同じように、お葬式のスタイルも自由になってきました。葬儀社が生前の故人や遺族の要望や希望に合わせて、オリジナルのお葬式や祭壇を演出するプランも、数多く出ています。死生観が大きく変わるきっかけにもなりますね。
とは言え、日本古来のお墓による供養や埋葬も、遺族や後々の子孫にとっては、心が落ち着く葬送方法でもあります。
何度もお伝えしていますが、ひとつのセレモニーとして自由な葬送方法を捉えて、分骨などの方法で昔ながらの風習に並ぶ部分があっても、良いのかもしれません。本記事でお伝えした自由な葬送方法も、ぜひ覚えておいてください。
まとめ
現代のさまざまな葬送方法
・お墓を建てる時、宗教や檀家制度の有無を確認
・納骨堂で遺骨を納める方法もある
・樹木葬では、霊園や庭園に植樹する方法がある
・海洋散骨などを利用するなら、粉骨する必要がある
・パウダー状にした遺骨を海に散骨する、海洋散骨
・遺骨を手元に残して故人を偲ぶ、手元葬
・遺骨をカプセルに入れて打ち上げる、宇宙葬