終活で「お墓」を決める。自分らしさを演出する選択
お墓は終活で進める、いくつかの柱の大きなひとつ。相続やお葬式スタイルについて決めることも、終活のひとつですが、「終活と言えば…」と言うと出てくるくらい、基本の柱となっているのが「お墓」ですよね。
お墓はいわば、自分亡き後の住まいのようなもの。自分の象徴であり、遺族はお墓参りをして話しかけることで、故人を偲ぶだけではなく、自分の気持ちも整理して、心を癒していきます。
さらに事前にお墓を購入することで、遺族にお墓を建てるための金銭的な負担を掛けずに済むのもメリットと言えるはず。しかも自分でお金を出すのであれば、ある程度の我がままも言えるかもしれません。
そんなお墓ですから、せっかく終活を始めているのならば、生前に希望の選択肢を選択して、自分らしいお墓にしたいですよね。そこで今回は、終活でお墓について検討する時に知っておきたい事柄をお伝えします。
終活で「お墓」を決める。
自分らしさを演出する選択
自分でお墓を決めるメリット
ひと昔前であれば、沖縄では門中墓、本土では先祖代々墓があるように、お墓を継承する長男などを筆頭にして、それぞれが特に考えずとも、自然と自分の骨が埋まるお墓は決まっていました。ところが、現代では昔ながらのお墓の概念はなくなりつつあります。
【 現代のお墓事情 】
■ 核家族化や一族が住むエリアが、日本全土や世界まで広がっているため、お墓の継承者の所在がうやむやになっています。
・ 実際に長男長女であっても、海外に在住していたりと、遠方に住んでいるのであれば、その管理や法要は困難ですよね。
結果的に無縁仏になる恐れもあるため、生前に自分で骨の行く先をハッキリとさせ、そして永代に渡り供養をしてくれる継承者や霊園、お寺を確認することができます。
反対に自分達の世代で門中墓や先祖代々墓を墓じまいして、自分達だけのお墓を建てる家庭は多くなりました。
永代供養墓を契約して数十年後には契約更新がなければ、自動的に合祀されるようなお墓を購入して、後々子どもや子孫の負担にならないように…、また無縁仏になることがなくなるように…、先々のことを考えて「先手を打つ」方々が増えています。
【 子どもに経済的な負担を掛けさせない 】
■ また、昔ながらのお墓は300万円~600万円と、マイホームの次くらいに高い買い物です。それが両親が亡くなった時、お墓がなければ突然入用になると考え、「子どもに余計な経済的な負担を掛けさせたくない」として、「生前に自分達で買う」とする方も多いです。
・ お墓購入のためのお金を残す方もいますが、お金で残すと相続税が掛かりますが、お墓を購入して残すことで、祭祀財産として扱われるため、相続税は掛かりません。
ひと昔前の経済に余裕があった時代の日本であれば、「お墓くらい…」ともなったかもしれませんが、現代の子ども世代には大きな経済的な負担です。
また、自分自身であれば多少安価でコンパクトなお墓を選ぶこともできますが、両親亡き後、子どもが自分で両親のお墓を選ぶとなると、あまり安くて小さなお墓を選ぶことも気が引けることも、想像できますよね。
「本人だからこそ」何の遠慮も罪悪感もなしに決めることが出来る…、として、数年~数十年で合祀供養されるコンパクトで安価な永代供養墓を選ぶ方も多くなりました。
お墓とともに考えたい、葬送方法
お墓を考えると言うことは、葬送方法も考える必要があります。もちろん一般的なお墓を建てて入る、と言う考え方が一般的ですが、なかには、生前長きに渡って抱いてきた希望がある方もいるのではないでしょうか。
例えば最も人気の自然葬である「樹木葬」のように、「どうせ自分で考えるなら。」と、できるだけ希望に近い葬送方法を選択する終活者もいます。
【 お墓の前に考えたい、葬送方法 】
■ 比較的安価に収まる合祀墓を選ぶ場合や、海に骨の粉を撒く海洋散骨、火葬場で遺骨を引き取らない0葬などになってくると、そもそも遺骨の存在がなくなってしまいます。
・ このような葬送を希望する場合、エンディングノートや遺書に希望を残す方法もありますが、本人の希望を叶えようと子どもが奮起することで、他の遺族や親族と大きなトラブルになるケースも少なくありません。
→ 最終的には「親のために…」と奮起した子どもが、他の遺族や親族から「親不幸者だ」「心のない子だ」と揶揄されてしまい、苦しんだ事例や相談も多いです。
経済的なばかりではなく、精神的にも孤立無援で奮闘してくれる子どもに、大きなストレスを掛けたくないですよね。この時、助けたくても自分はいません。
そのために「これは自分の意思です」とハッキリとした意思表示として、希望の葬送が実現するお墓の契約を生前に行って、「遺族に悪人を作らず、自分の死後も仲良く生きて行けるために…」とする声もありました。
ただ一点、このように他の遺族や親族から賛否両論が出るような葬送方法を選ぶ場合、注意して欲しいポイントがあります。
【 賛否両論が起きるであろう葬送を選ぶ場合の注意点 】
■ 比較的安価に収まる合祀墓を選ぶ場合や、海に骨の粉を撒く海洋散骨、火葬場は、ちろん本人にとって納得できる方法だからこそ選ぶ選択肢です。
・ ただ、一度実行してしまうと取り返しがつきません。そのため全てを独りで決めてしまわずに、後々「手を合わせる場所が欲しい」と家族が思ってはいないか…、話し合ってみることをおすすめします。
→ 意見が食い違った場合には、「分骨」と言う解決策もありますので、決定前に家族も含めて葬送方法自体を検討してみることをおすすめします。
元気なうちに、先祖のお墓の改葬を考える
次男や次女などの理由から代々墓や門中墓には入らない、と言う方々が自分のお墓を改めて建てる事例も多いですが、一方で自分が入る前に、ずっと気になってきた「お墓の不具合」を改善することも、ひとつの終活ですよね。
【 お墓の改葬を考える 】
■ 今では墓地の法律も整い、霊園やお寺、公営墓地など、お墓を建てられる条件は限られていますが、昔ながらのお墓の場合には、驚く立地にあったり不便であることも多いです。
このようなお墓を後々の子どもや子孫も継承していくと考えると、どこかで苦労することは、目にみえています。ならば自分の世代で引越し、つまり改葬をすると言う選択肢もあるのです。
特に沖縄の場合には、昔から続くお墓にもなると、本州から来たお嫁さんが「これがお墓!」とビックリする…、と言う声も少なくありません。
これからお墓を引き継ぐ世代が、そのお墓がおどろおどろしくて「お墓参りに行くことが怖い!」となってしまえば…、足も遠のいてしまう様子は見えてきますよね。これは引き継ぐ次世代の問題ばかりではありません。
また、次世代へ引き継ぐ前に、自分自身もどんどん高齢になり足腰も弱まります。そうなると辺境地にあるような昔の沖縄のお墓では、今までのように元気に通うことが困難になるはずです。
自分が思うように動くことができなくなって、どうにもならなくなる前に、ムリなくお墓の掃除や管理ができて、子ども達や次世代の人々も気持ちよくお墓参りが出来る場所に改葬をするケースは、急増しています。
夫婦で考える「お墓」
最近では新しくお墓を建てるとなると、自分達からの代々墓ではなく個人墓が多く見受けられます。例えば納骨堂の場合には、お仏壇やコンパクトなお墓の下に骨壷を納骨していますので、個人墓と同じ扱いなのです。
【 夫婦で考えるお墓 】
■ 例えば納骨堂でも、別料金になりますが、後々夫婦で入るように予め契約することも可能です。
個人墓だけでなく、夫婦墓や家族墓と言った、あらゆる範囲でのお墓を作ることはできますし、実際に夫婦墓や家族墓は多いです。そもそもが実は、お墓を継承しているものが受け入れるか、受け入れないか、の問題なのです。
先祖のお墓に入れない場合
とは言え、長く続いているお墓の継承文化だけに、自分では願っていても代々墓や門中墓に入ることができない、と分かっている事例もあります。このような場合には、新しくお墓を建てたり、納骨堂などの選択をする場合がほとんど…。
【 先祖のお墓に入れない場合 】
■ この場合には新しくお墓を建てる選択肢もありますが、お墓はどこでも建てられるものではありません。
・ 最近では無縁仏の解消などの理由から、個人墓を新規で建てることができない地域も見受けられるのが、難しい点です。
もしも個人墓が手続き上建てられない、と言う場合には、霊園などでのお墓をおすすめします。すでにお墓建立の申請手続きを済ませている施設が多いため、希望のお墓を建てられる可能性が高くなります。
納骨堂の永代供養
個人墓を希望するのであれば、納骨堂に納骨するのも、ひとつの選択肢。納骨堂のほとんどが個人個人で納めて供養していますし、価格もコンパクトに収めることができる施設が多いのも魅力です。
【 納骨堂の永代供養が人気 】
■ しかも納骨堂はビルなどの屋内施設が多くあるため、都心近くに住む方々には、交通の便が良く、管理や供養がよりしやすい、と言った魅力もあります。
その代わり、前に少し触れましたが個人墓が基本。後々「家族や配偶者が入りたい」となれば、追加料金が掛かります。けれども納骨堂の多くが施設が継承者に代わり、永代に渡り管理や供養をしてくれる、永代供養が付いているのも嬉しい点ではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか、自分亡き後とは言っても、骨の行く先がなくなってしまったり、無縁仏になることは避けたいですよね。そんな気持ちも解消する方法が終活であり、生前契約でお墓を購入する方法です。
日本全国、あらゆる地域で民間霊園などによる「お墓ツアー」も見受けられます。キレイな施設ですっきりとしたお墓、実際に確認することができれば、安心できる、と言うもの。
しかも永代供養が付いていて、その施設やお寺が代々の子孫に変わって、キレイに管理し供養をしてくれる約束が付いているならば、こんなに心強いことはありません。終活でお墓めぐりをする理由も分かります。
本記事を参考にしながら、個人や家族墓であれば、最新のお墓はもちろん、自分らしい特注デザインなどもあるので、楽しくお墓を検討してください。
まとめ
生前にお墓を決める前の心得とは
・生前に自分の骨の行く方が分かるのがメリット
・葬送方法によっては、骨がなくなる可能性もある
・今あるお墓に入る場合も、改葬が必要か考える
・新しくお墓を建てる場合、入る家族の範疇を考える
・個人墓が手続き上難しければ、霊園を検討する
・人気の納骨堂は個人墓が多く、追加は別料金となる
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