沖縄のお墓も霊園へ☆個人墓地にはない5つの決まり
個人墓地が多い沖縄のお墓も、今では霊園に新しく建てるケースが増えましたよね。沖縄県内の個人墓地に対する規制も、その理由のひとつです。
けれども今まで長く、個人が所有する墓地「個人墓地」に建てる風習があった沖縄では、お墓を霊園に建てるとなると、手順や決まり事にも慣れずに、戸惑う声も聞こえます。
沖縄のお墓は霊園ではない頃、個人で土地を購入して自治体に「墓地申請」をして、墓地としてきました。そのため個人の所有になりますが、沖縄のお墓であっても、霊園となれば違います。
そこで今日は、沖縄でお墓を霊園に建てる時、勘違いしやすい5つの決まりをお伝えします。決める前の資料として、ぜひ参考にしてみてください。
沖縄のお墓も霊園へ☆
個人墓地にはない5つの決まり
お墓に関する法律「墓埋法」
本来、お墓に関しする法律は「墓埋法(ぼまいほう)」と呼ばれる法律です。そのなかの「墓地、埋葬等に関する法律」では、お墓を建てる「墓地」に対して、下記のように定められています。
【 沖縄でお墓を霊園に☆墓埋法 】
★ お墓を建てることができる「墓地(墳墓=ふんぼ)」にするには、各都道府県知事の許可を得なければなりません。
…と言うことは、例え自分の土地であっても、許可を得ていない裏山や庭に埋めると、「遺棄罪」に当たり、埋葬・埋蔵はできないことになります。
これは沖縄でお墓を霊園ではなく、個人墓地に建てるケースであっても、土地を購入した後に、お墓を建てる前に「墓地」として申請をしなければなりませんよね。
ただ沖縄のように、個人で土地を「墓地」として申請すること…、またその申請が通ることは、全国的には珍しい地域です。
墓地に求められる「永続性」
…と言うのも本来の墓埋法では、墓地を運営できる者に条件があります。昔から個人墓地に建てる風習がある沖縄だからこそ、「例外」として許可されてきました。
自分達の世代だけではなく、子や孫まで永代に渡り維持管理が必要となり、また故人を供養するお墓には、「永続性」と「公益性」が不可欠とされています。
【 沖縄でお墓を霊園に☆墓地を運営する条件 】
★ そうなると、営利が絡む個人や民間企業では、現代の判断では「不安定」です。ですから、下記のような団体のみが運営・経営が許可されます。
① 宗教法人(寺院などを指します。)
② 自治体(市営や県営などが運営する公営墓地などです。)
③ 公益財団法人(行政から公益性を認められた財団法人を指し、民間霊園などがこれに当たります。)
ですから利益を追求する一般の民間企業などは、墓地や霊園を運営できません。
もちろん現在の日本では、個人が私的にお墓を建てることや、墓地や霊園の運営はできないことになります。
沖縄で「個人墓地」が多いのは…
「とは言っても、沖縄では個人墓地が多いけれど…」と言う声も聞こえてきますよね。一部大きな門中(父方の血族による一族)は法人化されて運営していますが、その規模は小さいものまでさまざまです。
離島地域では、地域の合同墓も見かけますし、全国的にも地方ではまだ、「実家の裏山に先祖のお墓がある」などのケースもあります。
ではなぜ、これらのお墓が今も残っているのでしょうか。
【 沖縄のお墓を霊園で☆個人墓地が残る理由 】
★ この「墓埋法」が現在の形に改正されたのは1968年です。ですから、それ以前からある集落のお墓や、門中墓は、そのまま残されてきました。
・ また沖縄は、もともとお墓を霊園に建てる慣習がありません。本州とは異なる文化の元、独自の供養をしてきましたから、全国的にも珍しく、個人墓地が許されてきたのです。
…けれども最近では沖縄も、「継承者がいない」「管理ができない」などの理由により、荒れ放題になっていたり、墓主の所在も分からないまま、無縁仏になっているお墓も増えました。
また、墓地申請をしてお墓を建てる昔ながらの建て方では、商業区域や住宅街のすぐ横にひょっこりとお墓が出てくる状況で、「その環境があまり良くない」とする人も増えています。
そのために、新しく沖縄でお墓を建てるなら霊園で建てるよう、進められるようになりました。
自宅に遺骨を置く「手元供養」は?
ここまでお伝えすると、最近人気が高い「手元供養」が気になりますよね。手元供養の場合は、小さな骨壺に故人の遺骨を納めて、自宅の祭壇などで供養をします。
【 沖縄のお墓を霊園で☆手元供養は? 】
★ そもそも「手元供養」が、日本では最近になって注目された供養の形、…と言うこともあり、埋葬・埋蔵をしない自宅での遺骨の安置は、違法にはなりません。
・ 同じく最近注目されている、「散骨(※1)」も違法ではありませんが、海域や周辺地域への配慮が必要なので、専門業者へ依頼する方法が安全です。
一般的には四十九日には納骨(沖縄では葬儀当日に納骨)をするとされますが、昔から、残った者の想いから遺骨を暫く自宅へ安置することもしばしばありました。
また、「お墓が建てられない」などの理由で自宅にしばらく遺骨を安置するケースも少なくありません。
沖縄でも霊園墓地は自由ではない
個人墓地に建てる沖縄のお墓は所有物ですが、霊園は違います。一般的に「お墓購入」などと言いますが、正確に買うのはその墓地の区画を「利用する権利」です。
【 沖縄のお墓を霊園で☆霊園の区画を買う 】
★ …これを「永代使用権」と言い、「所有」をしていなくても、契約が続く限り、先々の世代(子や孫など)まで継承ができる(永代)権利です。
・ ただし普通の宅地と違い、この区画(墓地)を勝手に他者(第三者)へ売ったり、貸したりできません。
もしも改葬(お墓の引っ越し)などを望む時には、契約を解除して墓地を返しますが、自分の所有物ではありませんから、その墓地を売ることはできませんし、改葬代金も改めて自分達で用立てます。
また、沖縄でもお墓を霊園に建てた場合には、大きな額ではありませんが、契約後も管理費が掛かる施設が多いです。
「墓地だけ購入してお墓は後で…」なんてケースでも、お墓がない区画にも管理費は掛かります。
いかがでしたでしょうか、今日はこれから沖縄でも増える、お墓を霊園に建てるケースについて、個人墓地に馴染みのある沖縄の人々が戸惑いやすい、いくつかの霊園ならではの決まり事をお伝えしました。
この他にも、霊園によってさまざまに規則がありますから、契約前にしっかりと確認し、購入を進めると安心です。
特に寺院墓地は宗旨宗派がハッキリとしていますから、民間霊園にはない規律も多く、一般的には墓主はその寺院の檀家にならなければいけません。
沖縄のお墓を寺院の霊園に建てるなら、沖縄ならではのお供え物(豚肉など)や、拝み方は許可されているのか…、まで、ご住職に確認しながら、お人柄を見て判断すると、安心ではないでしょうか。
まとめ
個人墓地と霊園の違い
・本来は個人の土地に遺骨は埋葬・埋蔵できない
・墓地運営には公益性と永続性が求められる
・自治体、宗教法人、公益財団法人が認められる
・沖縄は風習を鑑みて個人墓地が許可されてきた
・現在は新しく建てるお墓に対して厳しい
・手元供養は法的な違反に当たらない
・散骨も違法ではない
・霊園では墓地は「永代に渡る」「使用許可」を買う
・霊園の墓地は第三者へ売ったり、譲ったりできない
・改葬時も自費で石材の撤去などを行う
・多くの霊園で毎年管理費が掛かる