【沖縄の御願】ヒヌカン(仏壇)への毎月の拝み方
沖縄の御願文化の中心となるのが、お仏壇(トートーメー)とヒヌカンですよね。ヒヌカンはお仏壇同様、親から子へと代々引き継がれています。
ただ、子どもの頃に親が拝んでいたり…と、何かと馴染みがあるヒヌカンですが、いざ自分の台所へヒヌカンを迎えると、「どんな風に拝むんだっけ?」と曖昧で、不安になるものです。
そこで今日は、ヒヌカンへ毎月行う「チィタチ・ジュウグニチの拝み」の方法を書きます。家や地域によって違うのが沖縄の御願文化なので、嫁ぎ先などで柔軟に変えながら、参考にしてください。
【沖縄の御願】
ヒヌカン(仏壇)への毎月の拝み方
毎月一日・十五日の拝み
沖縄の御願ではヒヌカンとお仏壇のある家では、毎月旧暦一日と十五日に拝む習慣があり、これを「チィタチ・ジュウグニチの拝み」と言います。
【 チィタチ・ジュウグニチの拝み、お供え物 】
★ 日ごろから供える基本のお供え物は、お酒・塩・お水の他、花生けに活けたチャーギやクロトンの葉です。
・ それでに加えて、白ウブク(白いご飯)を三膳並べて供えてください。ヒラウコーはタヒラ半(二枚と半分)を拝します。
ちなみにお仏壇がある家では、同じチィタチ・ジュウグニチの拝みをします。ただお仏壇へは白ウブクが二膳、拝するヒラウコーはタヒラ(二枚)です。
チィタチ・ジュウグニチに拝む内容
チィタチ・ジュウグニチの拝みでは、最初にヒヌカン→続いてお仏壇へと続きます。唱える内容があります。
【 チィタチ・ジュウグニチの拝みの内容 】
① ヒヌカン …
「ウートゥートゥー、ヒヌカンガナシー(あな尊き ヒヌカン様)
本日はチィタチ(ジュウグニチ)の日でございます。
いつも私たち家族をお見守りくださり、ありがとうございます。
お蔭様で家族みな、ウティン・ジーチ・リュウグの神様の恵みで、穏やかに円満に過ごしております。
ありがとうございます。ウートゥートゥー」
② お仏壇 …
「ウートゥートゥー、ウヤフジガナシー(あな尊き 御先祖様)
いつも私たち家族をお見守りくださり、ありがとうございます。
お蔭様で、クワックマガヌチャー(子ども・子孫)皆が健やかに穏やかに過ごしております。
ありがとうございます。
今後ともどうぞ、ミーマンティー ウタビミスーリー ウートゥートゥー」
昔ながらの沖縄言葉でのグイス(拝みの言葉)もあるけれど、内容は同じです。今では内容が同じであれば、現代の言葉で問題はありません。
ちなみに「ウートゥートゥー」は「御尊尊」と書き、本州の「なーむー」のような拝みの合図で、「ミーマンティー ウタビミスーリー」は「見守っていてください」の意味合いです。
チィタチ・ジュウグニチに掃除をする時
ヒヌカンの灰には神様が宿っていて、さらにその家の出来事を「記帳」しています。毎年年末にはヒヌカンの神様は天へ帰り、記帳した内容を元に、家族の一年を報告する役割です。
【 ヒヌカンの掃除をする時 】
★ このように灰は重要な役割を持っているため、日ごろむやみに掃除はできません。
・ 掃除をしたい時には、その前に「今日はお盆が汚れていますから、掃除をさせていただきます。」と理由を付けて報告をした後に、拝みの前に掃除をしてください。
前述したように、灰は家族の日々の出来事を「記帳」しています。なので、掃除は「不都合で事柄を隠している」と勘違いされる行為とされるとされてきました。掃除前の報告はその勘違いを防ぐためでもあります。
気になっていることは相談してもOK
台所を司るヒヌカンは、家事仕事を担う女性の味方!なので、毎月チィタチ・ジュウグニチの拝みの他にも、いつでも拝みを捧げたり、語り掛けても大丈夫です。
【 ヒヌカンは心の拠り所 】
★ 昔から母達は、何か家庭で悩み事があると、ヒヌカンに手を合わせて相談をしてきました。
・ ヒヌカンは「ウトゥーシドクル(お通し処)」とも言われ、その悩み事をさまざまな神様へ「通して」くれます。
ヒヌカンはとても身近な存在なので、日ごろ女性達は悩み事をここで吐き出して、家族や外へ穏やかに対応ができるようにしてきました。ただし、ヒヌカンへ日々手を合わせるためには、いくつかの「決まり事」があります。
ヒヌカンに拝む注意点
ヒヌカンは女性にとって最も身近な存在の神様です。悩み事も打ち明けて、時には家族のように接する神様ですが、いくつかの注意点があります。
【 ヒヌカンの注意点 】
★ まず、ヒヌカンの前で愚痴・悪口は厳禁!悩み事を話す時、ついつい悪口に移行しがちなので、特に注意をしてください。独り言でもNGです。
・ 男性や、他の家の者が触れることもNGです。虫などが上がった時には、ヒヌカンに伝えて掃除をし、拝んでください。
いかがでしたでしょうか、今日はヒヌカンを迎え入れた後から始まる、日々の拝み行事の習わしをお伝えしました。
ヒヌカンの掃除は報告して行うだけではなく、春と秋の彼岸の入り後と、旧暦12月24日の屋敷の御願前に行います。旧暦12月24日には、屋敷の御願の後にヒヌカンが天へ帰省しますので、特に掃除を丁寧に行うのが習わしです♪
そうしないと、灰のなかに「記帳」された、多くの家の事柄(良いことも悪いことも)が、そのまま報告されてしまうかもしれません!でも、大切なのは拝み手の心ですよね。
日々の拝みで、どうぞヒヌカンとの関係を築いてみてはいかがでしょうか。
まとめ
チィタチ・ジュウグニチの拝み方
・基本のお供え物の他、白ウブクをお供えする
・お仏壇がある家はヒヌカンの後に拝む
・日ごろ見守ってくれる恩恵を感謝する
・掃除をしたければ理由を報告する
・毎月二回の拝み以外でも気軽に話して良い
・ヒヌカンの前で、愚痴や悪口は厳禁!
・男性や他の家の者が触れるのはNG
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