沖縄の喪中、旧正月の迷い事。四十九日前と後の違いとは
沖縄では喪中の旧正月では、判断に迷うこともありますよね。「四十九日が年を超えるけれど、どうすれば良いの?」「忌中と喪中の違いは?」との相談も多いです。
年末前に家族が亡くなった場合には、年を越してのスーコー(法要)は良しとしないため、繰り上げナンカスーコーで四十九日まで法要を済ませてしまうのが習わしです。
けれどもスーコーを終えたとしても、四十九日前の忌中であることに、変わりはありません。
そこで今日は、沖縄で迷いやすい喪中や忌中、旧正月の過ごし方をお伝えします。
沖縄の喪中、旧正月の迷い事。
四十九日前と後の違いとは
忌中と喪中の違いとは
「忌中」は「きちゅう」、「喪中」は「もちゅう」と呼ぶのですが、同じ意味合いではありません。沖縄の喪中に関わる旧正月の迷い事も、この違いに少し関わってきます。
【 忌中と喪中の違い 】
・ 「忌中(きちゅう)」 …
故人が亡くなってから四十九日までが忌中です。沖縄の御願文化や神道などでは「死」を「穢れ」と捉えるため、この時期のご遺族は「穢れある存在」となります。
・ 「喪中(もちゅう)」 …
沖縄では地域によって期間に違いがあるものの、主には故人が亡くなってから一年間を差しています。故人の死と自身を慎む期間です。
忌中は死の穢れを避ける期間ですから、特に遺族は周囲の人々に、その穢れを移さないよう、注意をしなければなりません。
喪中も「喪に服す」、同じような意味合いがあるのですが、どちらかと言えば、ご遺族が身を慎みながら「故人を偲ぶ」、悲しみを癒す期間でもあります。
【 宗旨宗派によって違う「忌中・喪中」 】
★ 現在では忌中や喪中が一般に広がっていますが、実は浄土真宗など、一部の宗旨宗派では「人が亡くなるとすぐに成仏する」、…とされるために、死に穢れはありません。
・ ただ、神道に近い沖縄の御願文化では、「死は穢れ」としています。
また、全国的に喪中は一年としていますが、沖縄では地域によっては喪中が三年など、長い期間としている地域や家庭も見受けられます。
四十九日前のナンカスーコー
沖縄では家族が亡くなってから四十九日の忌中の間に、旧正月を迎えることを良しとしません。
【 沖縄の喪中:四十九日前の旧正月 】
★ ですから、旧正月前に繰り上げナンカスーコー(週忌焼香=週忌法要)を行い、四十九日までのスーコー(焼香=法要)をまとめて済ませてしまいます。
・ けれども焼香客は呼ばないものの、本来のナンカスーコーの日取りには、家族のみでしめやかにナンカスーコーを執り行うのが、昔ながらの習慣です。
もちろん忌中ですから、お祝い事や初詣、年賀状も喪中ハガキを出す余裕のないケースもありますが、避けてください。
前述したように「穢れ」の概念が沖縄の御願文化や神道によるところも多いため、なかには「お寺は行ってもよい。」とする方もいます。
沖縄でも、喪中よりも忌中に注意
「死を穢れ」とする考え方が色濃く残る沖縄では、特に忌中は注意が必要です。遺族が故人を偲び慎む喪中はOKでも、穢れの残る忌中は禁忌とされる事柄が多くあります。
【 沖縄の喪中と忌中、避けるべき事柄の違い 】
① お飾りやしめ縄 … 沖縄では喪中も忌中もNGです。
② ハレの膳(旧正月料理など) … 沖縄では喪中はOK(家族のみの儀式として)、忌中はNGとするものの、喪中でも法事用の盛りつけを行う家庭が多いです。
③ 年賀状 … 沖縄では喪中なら、事前に喪中ハガキを出して控えます。喪中ハガキが間に合わない忌中であれば、寒中見舞いハガキを出してください。
④ お歳暮 … 基本的にお歳暮は、旧正月のお祝いとは関係がありません。一年の労を労い、感謝を伝えるものなので、出しても問題はないのですが、忌中はお歳暮や贈り物は避けた方が無難です。
お歳暮に関しては、相手が沖縄の喪中の家庭であれば、水引き・のしなどの祝い物は避けてください。家庭によってさまざまなので、「お歳暮」としてではなく、時期を避けてお送りする方が良いのかもしれません。
沖縄の喪中、忌中の神様
旧正月をまたぐ場合、沖縄では喪中や忌中の神様のお飾りの取り換えなどが気になる方もいますよね。こちらも、沖縄では喪中と忌中で違いがあります。
【 沖縄の喪中と忌中の神様 】
★ 忌中の間、沖縄ではお仏壇などを「封じる」慣習がありますので、旧正月のお飾りなどの交換や掃除はできません。ですから、忌中は控えてください。
・ 一方、沖縄では喪中であれば(忌明けであれば)、旧正月の掃除は問題ありません。
沖縄の喪中、グソー(後生)の正月
ただ、沖縄には喪中でもお祝いができる、グソー(後生=あの世)のお正月がありますよね。旧暦1月16日の「ジュウルクニチ=十六日」です。
【 沖縄の喪中に行う、ジュウルクニチ 】
★ 八重山諸島では清明祭(シーミー)以上に、重要なお墓参り行事の日ですが、沖縄本島でも喪中の家庭では、ミージュウルクニチ(初十六日)と言って、お墓参りに行きます。
・ 沖縄では喪中で旧正月を控えた家族や親族が、ミージュウルクニチに集まって墓前で拝み、お正月を報告するのが慣習です。
お墓参りの仕方は、清明祭(シーミー)と同じですが、お祝いのジューバク(重箱)ではなく、お餅は白餅など、法事用のジューバク(重箱)料理のウサンミ(御三味)を用意する家庭が多い傾向にあります。
いかがでしたでしょうか、今日は沖縄の喪中での旧正月の迎え方について、お伝えしました。沖縄でも喪中と忌中で捉え方や、避けるべきことが大きく変わるので、ここはぜひ、注意をしてください。
また沖縄では喪中の場合、旧正月でのお祝いの言葉は避けます。新年の挨拶でも「明けましておめでとうございます」は控え、「今年もよろしくお願いします」くらいが安心です。
また、いくら沖縄で喪中とは言え、子どもへのお年玉がないのは、少し可哀そうにも思えますよね。
そんな時には「お小遣い」などの名目で包んであげてみては、いかがでしょうか。
まとめ
沖縄の喪中、忌中の過ごし方
・忌中は「穢れ」、喪中は「慎む」
・四十九日をまたぐ時は、繰り上げる
・繰り上げても家族のみの焼香は行う
・喪中ハガキが間に合わない時は寒中見舞いも
・お歳暮は本来大丈夫だが、時期をずらす方が無難
・神様の掃除は喪中はOKだが、忌中は避ける
・沖縄ではジュウルクニチのお墓参りを行う