沖縄での相続。それぞれの家庭での、5つの体験談
沖縄での相続トラブルは、思っている以上に身近に見られますよね。全国的な相続トラブルよりも複雑に見える理由には、沖縄ならではの考え方や慣わしが影響していることがひとつ、挙げられます。
例えば沖縄では、女性が家や位牌、お墓を相続すると、その家にあまり良くないことが起きる、などの言い伝えがあり、現代では門中によってさまざまですが、それを忠実に守っている家庭も少なくありません。
また、長男が家を継ぐもの、と言う考え方もあるため、両親の遺言書に全ての財産を長男に相続させる、とあったため、その遺言書が無効になった、などの体験談も。けれども、遺言書を書いた両親は単純に「長男が継ぐのが常識」だっただけだったりします。
事前に思わぬトラブルになった体験談を知り、自分達の時に回避できたら、ひと安心ですよね。そこで今回は、沖縄での相続トラブルで参考になる体験談をいくつかお伝えします。
沖縄での相続。
それぞれの家庭での、5つの体験談
「相続放棄の手続きして」と電話
沖縄の相続トラブルの事例では、しばしばこの「相続放棄の手続きをして」の電話から始めることがあります。例えば、姉弟の二人兄弟で、お互いに実家から車で数十分の距離で独立し、それぞれに子どもがいる、お姉さん側の体験談。
【 沖縄での相続トラブル、突然の電話 】
■ 父親の葬儀から数日経った日、突然「相続の手続きをしなくちゃいけないから、印鑑登録してある印鑑と署名を頂戴!」と弟から連絡が来た、とのこと。
・ どうやら弟とお母さんが二人で話し合った結果、長男となる弟が実家を相続することに決まったらしいのですが、お姉さんとしては寝耳に水。「話し合いの席にも呼ばれなかった!」とトラブルに発展しました。
この場合、法律的にはお姉さんが遺留分を主張する、などの方法はありますが、今回の体験談ではこのまま相続放棄に至りました。
お姉さんにも気持ち良く相続の手続きを踏んで貰うには、話し合いの場にお姉さんも必ず呼ぶこと(このケースでは話し合い、と言うよりは雑談のなかで決まったようですが)、そして相続財産の内訳をきちんと明示すること、がポイントです。
認知症だった母の遺言書
家長であった母親が亡くなってから間もなく、手書きの遺言書があることを知らされた、沖縄での相続トラブル体験談もありました。本来ならば遺言書があることが、最もトラブルを回避する方法なのですが…。
【 沖縄での相続トラブル、認知症 】
■ 手書き遺言書の日付を見ると、明らかに母親が比較的重度の認知症を患っていた時期。誰かが一緒にその手続きをしないと、遺言書を作成できない、と考えた兄弟が異議を主張してトラブルになった事例です。
・ 遺言書の内容では、当時同居をしていた次男夫婦が家と財産のほとんどを継承することに。
この事例では、二通りの解決方法があります。ひとつは認知症であったことを証明して、遺言を無効にすること。そしてもうひとつは、遺留分を侵害された、と主張して、遺留分減殺請求を行うこと…。
体験談では後者を選択し、相続を受けた次男から、現金で遺留分を受け取りました。
亡くなる直前の、納得できないお金の動き
高齢のご夫婦で夫を亡くした妻と、夫の兄弟との沖縄での相続トラブルの事例です。高齢により夫が病気になり入院し、三ヶ月ほどで亡くなりました。妻はそのまま夫の財産と保険金を相続できるものと思っていましたが…。
【 沖縄での相続トラブル、亡くなる直前のお金の動き 】
■ 遺産分割を考え、夫の口座を確かめたところ、貯蓄がほとんどありません。保険金の受取人も夫の兄弟の一人に、いつの間にか変わっていました。
・ 調べたところ、夫が亡くなる直前に銀行口座から大口の引き出し記録が認められ、保険金の受取人も同時期に契約の変更手続きがなされていました。
この場合、死亡直前に引き出されたお金に関しては、夫の財産が現金として残っている、とみなされることになります。このお金の出し入れはチェックされるので、口座財産の妻の遺留分は確保されました。
また、保険金は相続財産にはならないため、保険会社もしくは弁護士と相談しながら進めることになりますが、亡くなる直前の夫が、意思能力がなかったとして、その証明書類を集め、保険協会などと確認を取りました。
子ども達が皆、相続放棄
沖縄での相続は、単純に財産を取り合うトラブルとも言えません。沖縄での相続が複雑になる特徴は、位牌とお墓の継承問題が絡んでいること。そのため、反対に子ども達が皆本州へ移住している、などの理由で相続放棄を願い出るトラブルも多いのです。
【 沖縄での相続トラブル、相続する者がいない 】
■ この場合には位牌やお墓の継承者がいなくなるため、親族を巻き込んだトラブルになるケースも見受けられる問題。しきたりに厳しい門中であれば、父系の血族の男子でなければならないため、継承できる人物自体が限られているのも、ひとつの要因。
・ このトラブルを近年解決した体験談では、門中墓を墓じまいしたり、霊園へ改葬して永代供養、位牌もお焚き上げ、もしくは位牌の永代供養を選び、ムリのない管理状況で、お参りをしたり、手を合わせに霊園へ行く、と言う形を取りました。
いかがでしたでしょうか、沖縄での相続トラブルは全国的なものと比較しても一種独特。その背景には、位牌やお墓の継承や、昔からの慣わしが関係しています。
例えば、門中に代表されるように、昔からの慣わしとして、女性や父方の血族ではない子ども(母方の連れ子など)の場合には、お墓や位牌を継承できないことになり、本文でもお伝えしたように、継承できる人間が限られてくるのです。
また、長男が親の財産を引き継ぐことも、昔ながらの慣わしであり、昔から続く「常識」と現在の法律における相続の「常識」との食い違いによる、沖縄での相続トラブルは、思っている以上に多く見受けられるのが現状。
「争族」に発展しないためにも、お互いの考え方を理解しながら、多くの体験談や解決策を参考に、時には専門家の力も借りながら、皆が納得の行く相続をしてください。
まとめ
沖縄での相続トラブルの体験談
・相続放棄をお願いするなら内容を明示する
・認知症の母の遺言書に異議、遺留分減殺請求
・直前に見られたお金の移動は、相続財産と見なす
・子どもが皆相続放棄、位牌とお墓を永代供養