沖縄での相続、継承問題☆お墓を継承する時に理解したい事柄
沖縄では相続問題が良く取り沙汰されていますよね。これもお墓や位牌(仏壇)を継承するトートーメー文化が、現代にもしっかり根付いているからです。確かに、長男継承は全国的にもありますが、沖縄では特別なきらいもあります。
若い内は人事でも、ある程度の年齢になって来ると気になる沖縄の相続問題。最も焦点となりやすいお墓などの「祭祀財産」は、実は生前贈与が出来ないものなので、故人亡き後に相続の行方を決めるしかありません。
もちろん、もうひとつの方法として高齢になった際に、遺言書を作成し、希望の継承者を指定しておくことはとても有効で、最も効力のある方法。もしも自分が継承したなら、手続き前に理解したい知識もありますよね。
そこで今回は、お墓を継承するとなれば、理解しておくと役に立つ、5つの事柄をお伝えします。
沖縄での相続、継承問題☆
お墓を継承する時に理解したい事柄
そもそもお墓は相続財産?
終活をしているなど、意識して相続の勉強をしないと、いざと言う時に疑問に思うのが「お墓は相続に入るの?」と言う疑問。「いや、ちょっと待てよ…。」と思った感覚は正解です。
【 沖縄での相続、お墓は祭祀財産 】
★ お墓など先祖代々受け継ぐことになった祭祀財産は、相続税が掛かりません。
・ お墓を継承する際に(特に沖縄では個人墓地での門中墓が多く、土地も広いため、この点を気にする方は多くいるのが特徴。)気になる方もいますが、税金が掛からない「継承」と考えてください。
「祭祀財産」は一人が担う
祭祀財産は毎年恒例のお墓参りや、三年忌、十五年忌などの法要などなど、後々まで法事法要を執り行わなければなりません。
【 沖縄での相続、一人で継承する 】
★ そのため、法事法要の際に滞りが出ないよう、基本的には分担するものではなく、一人が継承するもの。
・ ただし沖縄の相続問題では、お墓や位牌(仏壇)の継承に「長男が継ぐ」と言う意識が強いため、遠方に住んでいて墓守が出来ないなど、全てを担えないためのトラブルも多い傾向に…。
その解決策として、位牌は遠方に住んでいる長男が形上は受け継ぎ、実際は実家で同居している弟夫婦が「預かる」形で世話をする、などの解決策を取ることがあります。
祭祀財産と相続の関係
ここが沖縄での相続トラブルの争点となる部分。確かにお墓や位牌(仏壇)継承は、特に沖縄の相続問題において、本人にとって大きな負担になるものではありますが、本来法律的には祭祀財産と相続財産は別物。
【 沖縄での相続、相続財産の分割に影響はない 】
★ 祭祀財産を継承して負担が増えたからと言って、相続財産の分割の割合が、特別に増える訳ではありません。それぞれの遺留分にしたがって、分割協議を行う必要があります。
・ とは言え、沖縄のお墓や位牌(仏壇)継承は全国的なものとは比べ物にならない、経済的、体力的な負担が付き物。ここも理解した遺産分割協議が、後々トラブルに発展しないためのポイントです。
相続財産に負の遺産
時々、沖縄でも相続財産に借金などの負の遺産を発見した際に相続放棄をしたいため、お墓の継承も拒んでいる事例がありますが、これは勘違い。
【 沖縄での相続、相続放棄をしてもOK 】
★ と言うのも前述したように、祭祀財産と相続財産は全くの別物、と言うことです。実は相続放棄の手続きを取っても、お墓は継承できます。
・ ただし、お墓を継承すると言うことは、お墓を維持するためのお金(例えば霊園であれば管理費がある他、法事法要の際の料金など。)は必要。
この辺りも理解して心構えを持って継承することで、突然のことに慌てる事態にはなりません。
お墓を継承しても「儀式」は自由
沖縄の相続に関するしきたりは一度置いておいて、法律的側面から話していくと、お墓の継承はしなければならなくても、年間行事や法事法要と言った祭祀を執り行うか否かは、継承者の自由です。
【 沖縄での相続、継承後の自由 】
★ 極端に言えば、嫌々継承して祭祀を執り行いたくないから、と言って、墓じまいや位牌のお炊き上げをするのは、法律的には、継承した本人の自由となります。
・ 近年では高齢になった祭祀財産の継承者が、次の継承者になる者がいないために、生きている内に墓じまいやお炊き上げ、もしくは霊園に改装したり、位牌は預けたりして、永代供養を選択する事例もグンと増えてきました。
門中や親族皆で話し合って決めるのなら問題はありませんが、心配であるのなら、信頼の出来る人に継承してもらうと安心です。
いかがでしたでしょうか、沖縄では相続にお墓や位牌(仏壇)の継承は付き物。そしてそれが沖縄での相続トラブルの理由のひとつになっています。沖縄では祭祀財産を相続するのは長男であり、祭祀財産を継承する時に、全ての財産を継承する風習も。
「お墓を継承したからと言って、全財産を相続するのには反対!」と言う兄弟もいるかもしれません。一方で長男としては「お墓や位牌(仏壇)と言った、負担が大きい祭祀財産を継承しなければならないのだから、均等では割に合わない!」と感じる事例もあります。
そんな時、まずは全国的な法律を理解しつつ、沖縄ならではの相続の難しさ、お墓や位牌(仏壇)継承の負担を理解しながら話を進めることは大切です。門中でお金を出し合い管理する、などの事例もあるので、相手の立場に立って、円満に相続を進めてください。
まとめ
知っておきたいお墓継承の豆知識
・お墓は祭祀財産、相続税が掛からない
・祭祀財産は一人が継承する
・祭祀財産と相続財産は別枠
・相続放棄しても祭祀財産は継承できる
・祭祀財産はしても儀式の有無は自由