民間の介護保険を選ぶなら。決断に役立つポイントとは
民間の介護保険は入った方が良いのか…、悩む方も多いですよね。生活の専門家となるファイナンシャルプランナーの間でも、意見は人によって違い、賛否両論、と言うところではないでしょうか。
ただ漠然と民間の介護保険加入の可否に悩み続けるだけではなく、やはり現代の日本の公的介護保険サービスや、高齢者の介護の実態を知っておくことが判断材料になります。
とは言っても、インターネットやワイドショーで時折聞こえる、介護地獄…などなどを聞いて、ただただ暗くなってしまっては、今現在の暮らしが、未来への不安に潰されかねません。
より具体的に、公的介護保険サービスの内容と、民間の介護保険の内容を確認して、いかに有事に補填するかを考えてみてはいかがでしょうか。
そこで今回は、悩むことの多い民間介護保険加入の可否と、もしも民間介護保険に入るなら、どのような種類があるのか…、決断のポイントをお伝えします。
民間の介護保険を選ぶなら。
決断に役立つポイントとは
民間介護保険に入るメリット
「民間介護保険に入った方が良い。」とするファイナンシャルプランナーの方々に多い意見は、公的介護保険の保障が現物支給であったり、保険外のサービスを受けたい時に役立つからです。
【 民間介護保険に入るメリット 】
★ 公的介護保険サービスは現物支給であり、要介護状態によって判断される、支給限度額分の訪問介護や訪問看護などの介護サービスを受けることができます。
・ ただし、支給限度額内であっても保険制度と同じように1割は自己負担となるため、ある程度の現金を支払わなければなりません。
さらに、支給限度額を超えるサービス(例えば日々の食事の宅配サービスなど。)を受けたい時に、民間介護保険の保障内容の多くが振込みなどによる現金支給となるため、助かるのです。
民間介護保険加入を決めるポイント
ただ、一方で同じく家庭経済の専門家であるファイナンシャルプランナーの方々のなかには、「民間介護保険に入る必要はない。」とする方々もいます。
これは、公的介護保険のサービス内で、充分に必要な介護サービスが受けられる、と考えるためです。とは言っても、一定の現金支出は出てきますので、ここでポイントとなるのが貯蓄となります。
【 民間介護保険に加入するポイント 】
★ やはり貯蓄に勝る保険はありません。そのため貯蓄が充分にある家庭であれば、民間介護保険に加入しなくても大丈夫です。
・ 介護に掛かる費用の目安として300万円と言われています。この300万円を超える貯蓄があれば、加入しなくても良し、それほどの貯蓄がなければ、加入しておくと安心、と考えてみてはいかがでしょうか。
さらに、被介護者が息子夫婦などと同居していれば、日ごろの食事や掃除などまで見込めますが、一人暮らしであれば、外部サービスで暮らしのサポートができると安心です。
高齢者の一人暮らし家庭の場合にも、民間の介護保険は有益かもしれません。
保障が下りる判断、2つのタイプ
それでは、民間介護保険のいくつかの種類を、大まかなタイプに分けてお伝えします。まず最初に選びたいポイントが、保障が下りる判断基準です。
【 民間介護保険、判断に関わる2つのタイプ 】
① 公的介護保険連動型
… 公的介護保険の審査基準に合わせて判断され、保障が下りるタイプです。ただし「要介護2以上」など、介護段階によって保障が下りる商品もあります。
② 独自判断型
… 保険会社が独自で定めた判断基準により保障の可否が決まります。この場合、契約時にその判断基準を確認してください。
ちなみに現在では、公的介護保険の審査基準に連動した保険が多いです。
保障の支払い方法、2つのタイプ
さらに保障が下りた時の支払い方法にも、いくつかのタイプがあります。
ちなみに、貯蓄性のある民間介護保険がありますが、これは他の保険制度と同じく、掛け捨ての方が月々の支払いが安く、貯蓄性のあるものはそれだけ高くなると考えてください。
【 民間介護保険、保障の支払い2つのタイプ 】
① 一時金支払い
… 保障金額を一度にまとめて支払うタイプの保障内容です。入所一時金が必要な有料老人ホームなどへ入所したい場合には、役立つかもしれません。
② 年金制支払い
… 給料(年金)のように毎月保障金額が支払われます。終身保障してくれるタイプと、支払期間が定められているタイプがあるので、こちらも確認してください。
民間介護保険と公的介護保険の活用法
このように、民間介護保険は公的介護保険のサービス、プラスαとして、貯蓄に不安がある家庭には、介護状態になった時の大きな助けとなります。
特に民間介護保険は現金支給なので、用途が自由なことも助かるのではないでしょうか。
【 民間介護保険の活用法 】
★ 一例として、公的介護保険内いっぱいで訪問介護を受けている、一人暮らしの高齢者のケースをお伝えします。
・ 訪問介護の時間が終わってからの暮らしが不安なため、公的介護保険外のホームヘルパーや掃除の依頼、毎日の食事の宅配サービスをお願いしました。
この場合、毎月の出費が明確になるため、年金制の民間介護保険を利用しています。
いかがでしたでしょうか、今回はもしものことを考えると不安になる方も多い、介護に関わるお金のやりくり…、特に公的介護保険と民間介護保険についてお伝えしました。
子ども達家族と同居している場合には、ある程度安心感もあるかもしれません。けれども現代では、高齢者の一人暮らしが増えて、孤独死なども問題となっています。
確かに公的介護保険サービスだけでも充分な介護サービスを受けられるはずです。さらに積極的に役所へ出向き、自分の現在の暮らしぶりや不安を相談することで、地域が行っているボランティア活動の恩恵を受けることもあります。
例えば(地域によって違いますが)定期的な訪問による見守りサービスや、傾聴サービスなどなどの活動も見受けられるので、一度相談してみるのも、良いアイデアです。
まとめ
民間の介護保険に入るポイント
・民間介護保険は現金支給のため補填ができる
・貯蓄額を目安に加入の可否を決める
・公的な判断に基づくものと独自の判断がある
・一時金タイプと年金タイプがある
・年金制の支払いは終身タイプもある
・高齢者の一人暮らしでは民間介護保険が助かる