弔辞を頼まれて困ったら。敬意と心を込める5つの流れ
弔辞を頼まれたら、でき得る限りマナーを守りながら、心のこもった弔辞を準備したいですよね。
「私には荷が重い…。」と躊躇する方も多いですが、マナーとしては弔辞を頼まれたら、断ることはできません。
また、それだけ故人と近しいからこそ依頼を受けたと思えば、誠意を持って返したいですよね。
とは言えどこから書き始めて良いのか…、大切な役割だけに戸惑うのではないでしょうか。
そこで今日は、初めて弔辞を頼まれた時に役立つ、弔辞の基本と心を伝える例文をいくつかお伝えします。
弔辞を頼まれて困ったら。
敬意と心を込める5つの流れ
本来、決まり事はないけれど…
故人を偲ぶ気持ちを伝える弔辞、基本的な決まり事はありません。けれども多くの人々の前で伝えるだけに、長さや基本マナーは押さえておくと、ご遺族にも失礼にならずに済みます。
【 弔辞の基本マナー 】
① 長さは3分~5分 … 3分~5分の長さを原稿にすると、400字詰め原稿用紙で3枚~4枚が目安です。
② 原稿は巻紙に清書しておく … 弔辞は原稿を読みながら述べても問題はありませんが、弔辞後に霊前に供えるため、相応の体裁にしてください。
巻紙に書く原稿の準備の仕方は、後でまた詳しくお伝えします。まずは、原稿用紙3枚ほどの弔辞の内容を考えるのが先決です!
書きやすい、弔辞の構成
弔辞は挨拶と違い、自分の気持ちを素直に故人へ伝えれば、問題はありません。そのため、故人への手紙のような文面で綴る弔辞は多いです。
…ただ、突然弔辞を書こうと思っても、「どう書いていいのか…。」戸惑うもの…、そんな時には定番の構成に倣う方法もあります。
【 弔辞の定番の構成 】
① 冒頭は自己紹介と故人を偲ぶ言葉
② 訃報を知った時の気持ち
③ 自分の立場から見た、故人の人柄や業績、思い出話
④ 現在の心境
⑤ 故人への別れの言葉
…この流れのなかで、自分なりのエッセンスを加えると、マナーも良く、気持ちも伝わりやすいです。
ただし、葬儀の席ですので故人の人柄や業績、思い出話は良いものを選ぶことは大切…、「愛嬌のつもりだったのに、笑いがない席だけに、微妙な空気が流れてしまった…。」との反省談も多く聞きます。
原稿の書き方
少し触れたように、原稿を読みながら弔辞を述べても問題はありませんが、霊前に供えられるよう、正式な場では巻紙に書いて包んでください。
【 原稿の準備 】
☆ 社葬などの大きな葬儀では、巻紙に「薄墨」で原稿を書き、さらに奉書紙に包んで、「弔辞」の表書きを書きます。
・ 小さい規模の葬儀であれば、便箋に原稿をしたため、白い封筒に入れて「弔辞」と書いでも、大丈夫です。
…どちらにしろ、弔辞の後に霊前に供えた原稿は、葬儀後には遺族の元へ行きます。それを念頭に準備をしてください。
弔辞の前後
弔辞の原稿準備もさることながら、葬儀当日、弔辞を述べる前後のマナーも大切です。そこで、弔辞を読む時の一連の流れをお伝えします。
【 弔辞を読む時の流れ 】
① 呼ばれたら周囲に軽く会釈をしながら静かに席を立ち、御霊前まで進みます。
② お坊さんへ礼をした後、ご遺族へ向かって一礼、続いて遺影に一礼をしてください。
③ 弔辞を読み始めます。この時、故人と二人で対話をしている気持ちで、丁寧に伝えるように述べると、気持ちが伝わりやすいです。
④ 弔辞を終えたら原稿を再びまとめて、御霊前へ供えます。この時、御霊前へ表書きの「弔辞」の文字が向くように供えます。
⑤ 再び遺影に向かって一礼、お坊さんとご遺族へも一礼をして、席に着いたら終わりです。
弔辞の前後でお坊さん・ご遺族・遺影へ一礼をすること、弔辞の原稿を祭壇へ向けて供えることを意識すれば、一般的にはそんなにマナー違反にはなりません。
弔辞の例文
それでは、ここで弔辞の例文をお伝えします。例文を参考にしながら、その時々の状況に合わせて、自分なりの変更を加えてください。
【 弔辞の例文 】
①「幼稚園からの旧知の友人として、弔辞を承りました、〇〇〇〇と申します。」
②「つい3か月前、電話で学生時代の話をしていたのに…、突然のことで、まだ心の整理が付けられずにいます。」
③「○○(故人の名前)との出会いは幼稚園…、気が付けばいつも傍にいる存在でした。大人になって、お互いに家族が出来てからも、お互いの家でお酒を酌み交わしてきましたね。
○○は幼い頃から何も変わらず、私にも仲間にも誠実な人間でした。
今では私にとっては兄弟のような存在として、支え合いながら今まできました。
④「○○、今はゆっくりと休んでください。天国でまた、お酒を酌み交わしましょう。それまではお別れですね。
⑤「今まで、いつも私の傍にいてくれて、心よりありがとう。」
…このようになります。とは言っても弔辞には決まり事はありません。定番の構成はヒントとして、故人と二人で話すように書いてみてください。
いかがでしたでしょうか、今日は初めての弔辞で「何から書けば良いのか…。」と戸惑っている方々に分かりやすく、基本のまとめ方をお伝えしました。
「決まり事はない」と言っても、立派な葬儀の場ですから、重ね言葉を使わない、忌み言葉を使わないなどの、一定のマナーを守りながら、自分の伝えたい言葉を散りばめる方法だと、敬意と心が伝わりやすいです。
弔辞を頼まれるだけに、故人と近しい関係のはずですから、当日は気持ちが高ぶり、上手く伝えられないかもしれません。
それでも、皆気持ちは理解しているので、丁寧に最後まで読み上げれば、大丈夫です。ぜひ、故人へ伝えたい想いを言葉にしてください。
まとめ
弔辞の基本マナーとは
・3~5分、原稿用紙3枚程度が目安
・定番の構成に倣うと書きやすい
・大きな葬儀では巻紙に薄墨で書く
・巻紙に書いたら奉書紙に包む
・葬儀によっては手紙に白い封筒でも良い
・弔辞を終えたら御霊前に供える
・弔辞の前後にお坊さん、家族、遺影に一礼
・忌み言葉は避ける
・故人へ語り掛けるように話す