再婚家庭に多いお墓の継承問題☆トラブル勃発の体験談
再婚家庭では継承問題も複雑になり、なかなか解決しないことが多いですよね。
もちろん、相続財産でもトラブルは多いですが、こちらはお金に関する問題も多く、法的にも子どもは皆均等に分割して相続できます。けれどもお墓はそうは行きません。
再婚家庭間のお墓の継承問題で難しいのは、それが「心」の問題であることと、お墓の所有権は分配できない点です。
そこで今日は、再婚家庭に多いお墓の継承問題の事例をお伝えします。トラブルを防ぐための方法もお伝えしますので、ぜひ、参考にしてください。
再婚家庭に多いお墓の継承問題☆
トラブル勃発の体験談
父親が再婚したAさん
「先日亡くなった母親を父の家墓に入れたいと、弟が言っているのですが…。」と相談に来られた墓主のAさん、本来であれば、ごく当たり前の流れです。
けれどもAさんとしては、「家墓に母親を入れたくない。」と弟と揉めています。これは、兄弟共に両親を想うからこそのトラブルでした。
【 再婚家庭の継承問題:墓主Aさんの事例 】
☆ よくよく聞くと、先日亡くなった母親はAさんの父親の後妻でした。Aさんの実の母親は、Aさんが高校生の頃に亡くなっています。
・ 弟のBさんは後妻の母親と父親の間に産まれた、異母兄弟です。ですから、後妻となる母親も家墓に入る権利はあります。
けれどもAさんとしては実の母親を想うからこそ、「実母が嫌がるから…。」と、実の両親が眠る家墓に「後妻の母親を入れたくない。」と言うのです。
Aさんは墓主ですから、お墓事に関する権限があります。Aさんが承諾をしない限り、後妻のお母さま(異母兄弟Bさんの母親)は、家墓に入ることができません。
Aさんの独立
とは言え、異母兄弟となる弟のBさんとしても、両親を一緒のお墓に入れたいため、親族で話し合うことになりました。結果、後妻である母親も家墓に入ることが決まります。
けれども実の母親の生前、すでに後妻の母親と父親がお付き合いをしていたこともあり、Aさんはこれを受け入れることができません。
【 再婚家庭の継承問題:Aさんの独立 】
☆ そこでAさんは、母親と共に新しくお墓を建て、独立することを決めました。両親が共に入ることはできませんが、後妻の母親との確執もあったようです。
・ そのため、昔ながらの慣習で言えば、本来であれば長男が家墓を引き継ぐのですが、次男にお墓を継承してもらうことになりました。
Aさんはまだ独身だったため、後々の継承問題まで考慮して、宗旨宗派やお付き合いの縛りのない、民間霊園で永代供養墓を建てます。
永代供養墓ですから自分の子どもがいないために、継承者が見つからなくても、無縁仏になる心配はありません。
増えてきた、死別再婚家庭の継承問題
実は、高齢化が進み死別後の再婚ケースが増えてきた現代では、このような再婚家庭の継承問題が増えています。
今までは男性が先に亡くなり、女性が供養をするケースが多かったのですが、近年少しずつ、女性に先立たれた男性のおひとり家庭が増えてきたのも、その一因です。
【 再婚家庭の継承問題:男性のひとり暮らし 】
☆ 平成二年の国税調査の結果によると、50代前半で妻、妻子のいる男性はほぼ100%(90.9%)でした。
・ 一方、平成22年度になると、50代前半で妻、妻子のいる男性が75.1%にまで下がり、その後もこの傾向が続いています。
男性の場合は、女性に先立たれることで日常の暮らしリズムが崩れる傾向にあります。その上、仕事がない男性の場合、女性よりも社会との繋がりが薄れがちです。
そのため淋しさも重なって、一人で生きて行くのではなく、新たなパートナーを求める傾向があるためです。
再婚家庭の継承問題を未然に防ぐ
実は、このような再婚家庭の継承問題を防ぐ民法があります。けれども、後々の死後まで想像することは少なく、対処をしてきていないことが、トラブルに繋がる一因です。
【 再婚家庭の継承問題:民法第769条 】
☆ 民法第769条では、墓主となった後で夫婦の離婚や死別、再婚などの状況の変化があった時には、改めて親族間で話し合うように定めています。
・ ですからAさんのケースでは、父親が再婚をした時に、今後の協議も行うべきでした。
父親が生きている時点でお墓事まで話し合っておくことで、残された兄弟間のトラブルは少なくなります。
いかがでしたでしょうか、今日は再婚家庭に多いお墓の継承問題の体験談と、未然に防ぐ解決法についてお伝えしました。
今回は近年多い、死別後の父親の再婚ケースについてお伝えしましたが、女性(母親)の場合でも同じです。特に女性の場合は、再婚することにより苗字も変更するケースが多いですよね。
女性の場合、再婚先の家墓に自分が入るケースがほとんどです。元夫のお墓を継承しているのであれば、再婚時に元夫のお墓の継承先を話し合う必要があります。
家庭事情が複雑になると、継承問題も解決が難しくなりがちですが、先延ばしをすることで、より複雑になりがちです。ぜひ、早い段階で話し合ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
再婚家庭のお墓の継承問題
・義母と実母を同じ墓に入れたくない
・実母と共にお墓を建て独立したAさん
・Aさんは継承していた家墓を弟に託す
・男性の再婚による問題が増えて来た
・民法第769条に従い、早い段階で話し合う