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沖縄位牌の呼び名。トートーメー、5つの呼び方の意味とは

沖縄位牌の呼び名。トートーメー、5つの呼び方の意味とは
沖縄位牌(ウチナーイフェー)は姿形はもちろん、その継承文化(トートーメー)から独特のしきたりがありますよね。門中の基本は父系の血族であると言うこと。そして沖縄位牌を継承する者は、父系の血族である男子、と言うもの。

 

その昔は沖縄の位牌継承でも、養子を迎え入れる門中もあったのですが、一時期から父系の血縁でない男子が継承することを「タチーマジクイ」と言い、大きなタブーのひとつとされるようになりました。

 

とは言え、近年は門中や位牌継承のしきたりも、ずい分緩くなってはきています。ただそれでも、位牌継承文化ではしっかりと学ばないと、意味が分からない言葉も多いですよね。

 

そこで今回は、沖縄位牌の継承の状態によって呼ばれる「呼び名」と、その意味合いをお伝えします。これで沖縄位牌の継承文化を、少し理解できるかもしれません。

 



 

沖縄位牌の呼び名。
トートーメー、5つの呼び方の意味とは

 

沖縄位牌=ウチナーイフェー


沖縄位牌を「ウチナーイフェー」と呼ぶことは、状態による呼び名ではありませんが、基本中の基本。沖縄の位牌は独特で、昔から続く大きなものだと上下に9枚ずつのお札が並ばれたものなどがあります。

 

【 沖縄位牌=ウチナーイフェー 】

 

★ 沖縄位牌は「ウチナーイフェー」と言い、上段に男子、下段にその妻が並ぶ形でお札が並んでいます。

 

・ 上段の中央には「帰眞」、下段に「霊位」と記され、戒名の上下に付ける言葉を表しているのです。

 

一般的に沖縄ではこのお札に名前を記すことで位牌となり、美しく書けるのであれば、自分でお札に書くことも。仮の位牌である白位牌(シルイフェー)を四十九日に墓前で焼く儀式があるため、この日までに準備しなければなりません。

 

 

継承者のいない位牌=ヒジュルグァンス


近年、高齢者で終活を進めている方々が心配しているのが、この継承者のいない位牌「ヒジュルグァンス」。沖縄の言葉でその意味合いは「冷たい位牌」となり、その言葉の響きからも、あまり良くない状態であることは推測されるのではないでしょうか。

 

【 継承者のいない位牌=ヒジュルグァンス 】

 

★ 継承者のいない沖縄の位牌は「ヒジュルグァンス」と呼ばれ、いわゆる無縁仏と同じ状態で避けられるものになってしまいます。

 

・ 近年特に多い沖縄の位牌継承の問題が、女性の子どもばかりだったケース。沖縄の位牌継承では、男子が継がなければなりません。

 

そのため一時期的に預かっていた位牌を、次世代に継ぐことができず、そのまま年月が過ぎてしまっている事例などがあります。預かっていた本人も高齢になり、何らかの解決策を検討している方は、意外と少なくありません。

 

 

預かっている位牌=アジカイグァンス


前項でお伝えしたように、沖縄で位牌の継承者がいない場合、一時期的にその位牌を預かることがあります。その位牌は「預かり位牌=アジカイグァンス」と呼ばれているのです。

 

【 預かり位牌=アジカイグァンス 】

 

★ この預かり位牌(アジカイグァンス)の場合には、預かっている家がすでに違う位牌を継承していることもあります。

 

・ 自分の家に位牌を持ち帰らず、その位牌の実家で安置することが多いのが特徴。

 

このように「預からなければならない状況」であることが預かり位牌(アジカイグァンス)の特徴であるだけに、実例では妻方の生家の位牌であるなどの事情が多いです。そのため、一時期的に預かる、と言う前提があります。

 

 

脇位牌=サギブチダン


沖縄の位牌継承では、「チョーデーカサバイ」と呼ばれるタブーがあり、このチョーデーカサバイとは兄弟が重なって祀られることを差しています。そのため、沖縄では本位牌に並んで祀ることが出来ないのです。

 

そこで、兄弟を祀りたい場合に行う安置方法が脇位牌=サギブチダン

 

【 脇位牌=サギブチダン 】

 

★ 沖縄の位牌継承では基本的には嫡男である長男が、位牌を継がなければなりません。その場合次男や三男は結婚をして子どもが出来たら分家し、自分が元祖(タチクチ)となって、新しく位牌を仕立てるのが通例。

 

・ けれども次男や三男などが、結婚をせずに亡くなったり、結婚しても継承できる子どもがいなかった場合には、沖縄の本位牌とは別に、位牌を仕立てることになるのです。

 

この他の例としては、娘が結婚せずに亡くなった場合や、離婚して戻ってきたものの、継承する子どもがいなかった場合などにも、脇位牌(サギブチダン)として祀られることが多い傾向にあります。

 

 

女性が元祖になる=イナググァンス


こちらは位牌自体の呼び名ではありませんが、女性が離婚した場合、必ず脇位牌(サギブチダン)として祀られる訳ではありません。

 

【 女性元祖=イナググァンス 】

 

★ 位牌を継承する嫡男がいる場合には、女性を元祖(タチクチ)とした沖縄の位牌を仕立てることができます。つまり、女性自身が家を持つことになるのです。

 

・ この他にも女性が継ぐこともイナググァンスと言いますが、この事例はあまり多くはありません。

 

 

 

いかがでしたでしょうか、沖縄の位牌継承(トートーメー)のしきたりは、全国的なものと比べても、複雑な事柄が多いため、これだけでは全容を理解することは難しいかもしれませんが、特徴は理解できるのではないでしょうか。

 

沖縄の位牌継承は門中のしきたりでもあるため、地域や門中によっても、その厳しさの度合いなどはさまざま。他地域の出身者にとって難しい点は、父系の血族でなければならず、女性は沖縄の位牌を継ぐことができないことかもしれません。

 

実はこのしきたりが、少子化や女系家族によって沖縄の位牌継承問題の原因になっていることも、少なくありません。現代では、沖縄の位牌継承を正しく行うには、難しい事情が増えているのです。

 

そのため近年では沖縄の位牌を霊園や寺院の位牌堂に安置する、位牌の永代供養などの選択肢も注目されつつあります。

 

 

 

まとめ

沖縄の位牌、呼び名の意味とは

・独特の沖縄の本位牌は「ウチナーイフェー」
・継承者がいない位牌は「ヒジュルグァンス」
・一時的に位牌を預かる場合「アジカイグァンス」
・本位牌の脇に祀られる位牌は「サギブチダン」
・女性が元祖になることを「イナググァンス」

 



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