快適な遠距離介護のお金事情☆体験者が語る5つの注意点
遠距離介護を決断する時、その中心となる介護者にとっては、金銭面の不安は出てきますよね。日頃のケアや介護費用などなど、自分達で補填しようと思うと、かなりの負担になります。
けれども遠距離介護だからこそ、中心となる介護者ひとりに負担を集中させず、兄弟親族皆で見守ることができるのもメリットです。
そのため、一人が責任感や罪悪感にとらわれることなく、常に俯瞰した立場で、「被介護者も介護者も、皆が快適に暮らす方法」を検討することができます。
もちろん金銭的な面でも、介護者一人に負担を集中させず、適切な手順と注意事項を踏まえて、自分の暮らしも守らなければなりません。
そこで今回は、親の遠距離介護を決めた時に、介護者が理解しておきたい、金銭面に関わるいくつかの注意点や知識をお伝えします。
快適な遠距離介護のお金事情☆
体験者が語る5つの注意点
介護の基本、介護保険サービスを利用する
ごくごく基本的な事柄ですが、親の介護をしなければならない状態=要介護状態ではないでしょうか。この場合、要介護認定を申請して認定を受けなければなりません。
【 遠距離介護の基本、介護認定 】
★ 実は遠距離介護の場合、積極的に参加しないと要介護認定すら受けていないケースも見られますが、要介護認定を受けていなければ、自己負担となりますので、この差はかなり大きいです。
・ まずは要介護認定を受けて、介護保険サービスを利用してください。
要介護認定を受ければ地域のケアマネージャーと相談することができるので、介護保険の範囲内で受けられる内容の、今後の介護プランが立ちます。
その上で、毎日の見守りが欲しい…など、遠距離介護のプラスαが必要になれば、予算内の自己負担で民間サービスを利用するようにすると、やみくもに介護費用を掛けずに納まるのです。
親のお金を整理、把握する
遠距離介護を始めるなら、最初に親のお金の流れを把握しておかなければなりません。
【 遠距離介護を始める、お金の整理 】
★ 親の預貯金はもちろん、民間の介護保険加入の有無も確認してください。民間の介護保険がある場合、サポートしてくれる範囲内を確認しておくと、後々助かるかもしれません。
・ 公的な介護保険では賄えない出費…、例えば車椅子やバリアフリーのためのリフォームなどで役立つケースもあります。
また、遠距離介護をしているのであれば、救急時の支払いもできるよう、タンス貯金を残しておくと、本人達も安心です。遠方でもある程度の手続きができるよう、状況によっては親のお金を管理することも検討してください。
お金に関する事柄は、兄弟で確認する
ただし、お金の管理に関してはとても繊細な問題であることも、理解しておくことをおすすめします。常に風通し良く、兄弟で把握していると、さまざまな面でスムーズです。
【 遠距離介護、兄弟間での話し合い 】
★ 金銭面に関わること、管理状態は最初の決め事から経過まで、兄弟間で報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を徹底し、定期的な話し合いの場を設けてください。
・ 内容を知らないと「勝手に親のお金を使っている。」と思われたり、反対に一人の兄弟が自分のお金を出していると、特に相続時に大きな争い事に発展してしまいかねません。
イメージで言えば、会社の経理になっているような感覚で、金銭面の管理を進めて行くと、家族の遠距離介護とは言え、適度な距離感が生まれます。
介護に掛かるお金は、個人で負担しない
前項の内容に続く注意点ですが、遠距離介護で中心になってケアしている立場だと、ついつい自分の暮らしや経済を後回しにしてしまう方が多いようです。
確かに「大切な自分の家族。」と、優先するのは良いことなのですが、遠距離介護は「長く続く」ものであることを理解して、長続きすることを最優先しなければなりません。
【 遠距離介護では、自分のお金を混同しない 】
★ 小さなお金でも、積もり積もれば大きなお金にもなりますし、一度自分のお金を出してしまうと、ついついずるずると、続くことになります。
・ そのため不満が爆発してしまい、親族間と深刻な溝ができてしまった例も少なくありません。「こんなに自分を犠牲にしているのに、なぜ兄弟は…。」となってしまうこともあります。
さらには財産相続時に、均等に分けられることに不満を感じたり…、などとなって、遺産相続でトラブルになるケースも多いです。
リバースモーゲージも視野に入れる
「とは言っても、親には全くお金がなくて…。」と言う方もいますよね。
そんな場合でも、必ず誰もが入っている公的な介護保険サービスの範疇でも、ケアマネージャーに相談しながら進めれば、最低限の介護は期待できるのではないでしょうか。
【 遠距離介護、親の家が持ち家だったら… 】
★ それでも、親の毎日の暮らしぶりが気になり、より手厚い介護をお願いしたいのであれば、親の家が持ち家の場合なら、「リバースモーゲージ」と呼ばれる、介護貸付制度を利用する方法もあります。
・ 家を担保に入れてお金を借りる制度なのですが、介護を目的とした借入れの場合、親が生きている間は返済の義務がありません。親の死後、家を渡すことで返済となります。
元々は行政が施行している制度なので、安心できる制度であり、自治体の商品が多い一方、最近では民間企業でも受け付けている商品が多くなりました。
いかがでしたでしょうか、今回は遠距離介護を検討している家族に向け、金銭面で理解しておきたい事柄をいくつかお伝えしました。大切なことは、無理なお金遣いや借金で、自分の暮らしを持ち崩さないことです。
家庭事情の判断で仕事を辞めて介護に専念する方も多いですが、遠距離介護を決断したケースで多い理由は、介護者の社会的な立場を考慮したものが多くなります。
その事を鑑みると、上手に公的な介護保険サービスを利用しつつ、「できる範囲内で」民間サービスやプラスαーを利用しながら、自分の仕事を守ることができればベストではないでしょうか。
また、介護保険で利用できる老人ホームなどもあるので、老人ホームの入居も視野に入れても、お互いに快適な暮らしを実現してください。
まとめ
遠距離介護で理解したいお金の注意点
・要介護認定を受けて、介護保険を利用する
・最初に親のお金と流れを把握する
・親のお金の扱いは兄弟間で把握する
・親の介護費用は親のお金で補填する
・リバースモーゲージ制度もある