直葬は最もシンプルな葬儀①。悔いを残さない基礎知識
直葬は一般葬が定番だった少し前には、名前も知らない方が多かったものの、現代では家族葬のひとつのスタイルとして、検討する方も増えましたよね。直葬は最もシンプルな葬儀で、火葬場のみで済ませます。
そのため葬儀費用を格段に抑えられることが最大のメリットで、その昔は遺族のいない故人に選ばれることが多いものでした。けれども今では、故人本人が生前に希望するケースが増えています。
終活で本人が葬送スタイルを選ぶようになり、この直葬の他、遺骨を火葬場に置いていく「0葬」、お墓を建てない「自然葬」などが注目されています。心を大切にする今、遺族も理解できますよね。
そこで今回は、近年増えてきた直葬の基礎知識と注意点をお伝えします。
直葬は最もシンプルな葬儀①。
悔いを残さない基礎知識
そもそも直葬とは
冒頭でお伝えしたように、火葬場で全てを済ませるのが直葬です。直接火葬場へ行くために、この名前が付けられました。そのため、「無宗教葬」と同じように供養の儀式は葬儀社に頼まなければ、基本プランにはありません。
【 直葬とは 】
★ まず通夜や告別式はなく、火葬場で全てを済ませるのが特徴です。「火葬式」「荼毘葬」などとも呼ばれていますが、全て同じです。
・ 冒頭でお伝えしたように、直葬を検討するには大まかにふたつの傾向があります。ひとつが経済的な理由から、そしてもうひとつが、故人の遺志です。
このようにごくごくシンプルな葬儀なので、そんなに多くの参列者はなく、家族葬よりも少ない人数が多い傾向にあります。家族のみの数人~10人までの葬送が多いです。
ただ「弔問をしたい」との申し出があれば、遺族さえ問題がなければ迎え入れることはできます。
直葬の費用
多くの直葬の費用目安は20万~30万円と言ったところでしょうか、その詳細は下記になりますが、これは葬儀社に多いセットプランです。事前に相談をすれば、プラスすることもできます。
【 直葬プランに含まれるもの 】
★ 寝台車、枕飾り、火葬料、ドライアイス、棺、遺影写真、骨壺、生花、火葬場の休憩室(貸出料金)、スタッフ料、などなど…。
・ ドライアイスはご遺体の保管時に必要なので、日数により料金が異なります。また、生花は「別れ花」であることが多いです。ただ、「格安の直葬プランにしたところ、あまりにも殺風景で生花を買いに走った…。」などの体験談もあります。
家族以外の弔問客が訪れる場合には、この他に香典返しがあります。多人数ではないので、後日返しが多いですが、当日返しも可能です。また火葬中にもてなす、お茶菓子や飲み物を調達することもあります。
直葬の流れ
火葬場のスケジュールにより違いますが、多くのケースで直葬は亡くなった翌日に執り行われます。今回は現代に多い病院でご臨終を迎えたケースで、流れをお伝えします。
【 直葬の流れ、通夜 】
① ご臨終後、病院の霊安室に運ばれるので、葬儀社を決めてください(事前に調べたり、病院の紹介もあります)。
② 病院ではだいたい1日くらいしかご遺体を安置できません。ご自宅か葬儀社が用意する霊安室などへ搬送します。直葬の場合には、火葬場が併設されている斎場が便利です。
③ ここで具体的な葬儀社との打ち合わせです。直葬とは言え、後々まで後悔のないように詳細を確認し、シンプルながらも押さえたい部分は依頼してください。
④ 葬儀社との打ち合わせ時に、火葬許可証の手配も依頼します。
⑤ 通夜の夜です。
【 直葬の流れ、葬儀 】
⑥ 翌朝遺族が集まった後に、納棺を行います。
⑦ 火葬場へ行きます。直葬ではほとんどのご遺族が自分の車を利用しますが、全員での移動を希望する場合、マイクロバスの料金も必要です。
⑧ 火葬をします。焼香は行われますが、読経供養が必要であれば、火葬場の前で読経供養が行われます。
⑨ 収骨をして終了です。
…以上が直葬の大まかな流れになります。沖縄で門中墓など、すでに入るお墓が決まっている場合には、そのまま納骨が行われることも多いです。
直葬の注意点
このようにごくごくシンプルな葬儀が直葬ですが、ほとんどの儀礼を省くため、後々まで後悔してしまうご遺族もいます。また親族が不満を感じて、後々まで響く溝が生まれることもあるので、しっかりと理解をしてもらって、決めてください。
【 直葬の注意点 】
★ 直葬を選んだご遺族は、思った以上に簡素で驚いた…、との意見が多いです。事前に体験談を見て、気になる部分は葬儀社との打ち合わせで確認し、必要があれば、オプションで依頼をしてください。
① 思った以上に簡素で後悔した … 「葬儀がないことは理解していたものの、棺が簡素だったり、供え花がなく驚いた…。」などの感想もあります。
② 読経供養が全くなかった … お坊さんの読経供養は依頼しなければ含まれないことが多いです。菩提寺がない場合には、葬儀社に依頼すれば、約3万円前後で可能です。
③ 葬儀社への依頼は必要 … 「直葬だから自分達で手続きをしよう。」と考えるご遺族がしばしばいますが、火葬場のなかには葬儀社でなければ受け付けない施設も多いです。
また、菩提寺がある場合には読経供養や戒名を依頼しなければ、納骨を受け付けてくれない寺院もあります。故人が亡くなった時、まずは菩提寺に相談をすると、後々まで安心です。
いかがでしたでしょうか、今回はシンプルながら近年少しずつ需要が増えてきた葬儀スタイルである、直葬についてお伝えしました。ただ、ひと昔前には考えられない選択だっただけに、親族や家族の理解は必須です。
もともとは直葬は予算との兼ね合いで選ばれることが多く、天涯孤独の故人への葬送と言うイメージも少なくありません。けれども近年では、終活によって故人本人に選ばれることも増えてきた葬送スタイルです。
特に火葬場に骨まで渡してしまう「0葬」(全くの0になるため)は、本が出版され注目されました。そうではなくても、「お墓を持たない」合祀墓や納骨堂を選ぶ故人も増えています。
故人の想いを実現したいと思う時、同時に自分達遺族も、後々まで悔いの残らないポイントを押さえると、お互いに納得できるのかもしれません。
まとめ
直葬で後悔しないポイント
・火葬場で全てを済ませるのが「直葬」
・直葬の予算は約20万円~30万円が目安
・押さえたい部分は事前に詳細に確認する
・供え花や棺は実際の質や量まで確認する
・読経供養が必要なら追加で依頼する
・直葬でも葬儀社へは依頼する
・家族や親族の理解は必須