ウサンミ(御三味)とは?沖縄の重箱料理の基本知識と準備の仕方をわかりやすく解説

「ウサンミって何?」
「重箱料理とどう違うの?」
——沖縄に移住してきた方や、清明祭(シーミー)に初めて参加することになった方から、こんな疑問をよくいただきます。
ウサンミ(御三味)とは、沖縄の御願行事に欠かせない重箱に詰めるご馳走のことです。
清明祭(シーミー)やお盆をはじめ、法要などさまざまな行事に登場しますが、実は行事によって中身が変わること、並べ方にも作法があることを知らない方も多いですよね。
本記事では、ウサンミ(御三味)の基本知識から、慶事・弔事による違い、手作りと購入の選び方、お供えの基本マナーまで、はじめての方にも分かりやすくお伝えします。
目次
ウサンミ(御三味)とは何か

名前の意味と由来
◇「ウサンミ」を漢字で書くと「御三味」。
…「三味」とは海の幸・山の幸・大地の幸、三種類の恵みを意味するご馳走のことです。ご先祖様や神様へ、この三種の恵みを心を込めてお供えするという意味合いが込められています。
沖縄では重箱に詰めたご馳走全体を「ウサンミ(御三味)」と呼びます。
「重箱料理」「ジューバク」と呼ぶ方も多いですが、呼び方は違っても意味合いは同じです。
どんな行事で使うのか
ウサンミ(御三味)は清明祭(シーミー)やお盆だけでなく、さまざまな沖縄の御願行事に登場します。
・清明祭(シーミー)…慶事用・チュクン(4箱)
・お盆…慶事用・チュクン(4箱)
・四十九日・一年忌などの法要…弔事用・チュクン(4箱)
・ジュウルクニチー(十六日)…弔事用・カタシー(2箱)
・お彼岸…弔事用・カタシー(2箱)
行事によって慶事用・弔事用の使い分けが必要です。
詳しくは後ほど解説しますので、どうぞ最後までお読みください。
カタシーとチュクンの違い
ウサンミ(御三味)はお餅重とおかず重で一対になっており、この一対を「カタシー(片方)」と呼びます。二対(4箱)になると「チュクン(両方)」です。
●カタシー(1組=2箱)
・お餅重1箱+おかず重1箱
・比較的小さな行事や法要
・お彼岸 など
●チュクン(2組=4箱)
・お餅重2箱+おかず重2箱
・大きな行事
・清明祭(シーミー)
・お盆 など
清明祭(シーミー)では墓前にチュクン(4箱)を供えるのが基本ですが、近年では家族単位の小規模な行事ではカタシー(2箱)で行う家庭も増えています。
「ウサンミ」という言葉を初めて聞いた、という方も沖縄では増えています。
でも「重箱料理」と言えばすぐにピンとくる方が多いですよね。
呼び方は違っても、ご先祖様へ心を込めてご馳走をお供えするという意味合いは変わりません。
慶事用と弔事用の違い

◇ウサンミ(御三味)は同じ重箱料理でも、慶事(お祝い)か弔事(供養)かによって中身が変わります。
…初めてウサンミ(御三味)を準備する方が最も戸惑うポイントのひとつです。
…そのためウサンミ(御三味)も慶事用を準備します。
重箱を開けた瞬間の「色」が慶事用の最大の特徴で、赤いかまぼこや色とりどりのお餅の華やかさが、ご先祖様への「子孫はこんなに元気に繁栄していますよ」という報告の形です。
一方、四十九日や一年忌などの法要、ジュウルクニチー(十六日)では、弔事用のウサンミ(御三味)を準備します。白を基調とした落ち着いた内容になります。
慶事・弔事の見分け方一覧
慶事用・弔事用の違いを一覧で確認しておきましょう。準備の際の確認ポイントとしてお役立てください。
・お餅:白もち+色もち
(アンコ・黒糖・よもぎなど)
・かまぼこ:赤いかまぼこ
・ラフテー(豚の三枚肉):皮を下にして詰める
・昆布:結び昆布
【弔事用ウサンミ(御三味)】
・お餅:白もちのみ
・かまぼこ:白かまぼこ
・ラフテー(豚の三枚肉):皮を上にして詰める
・昆布:返し昆布(ケーシ昆布)
慶事か弔事かで迷った時には「赤いかまぼこ・色もち・結び昆布」の3点を確認してください。この3点が揃っていれば慶事用、全て白・返し昆布であれば弔事用と覚えておくと分かりやすいです。
なお、ニジュウゴニンチ(二十五年忌)やサンジュウサンニンチ(三十三年忌)など、故人が亡くなってから25年以上経った「大焼香(ウフスーコー)」は、故人が成仏して神になったとしてお祝い扱いになります。
そのためウサンミ(御三味)も慶事用を準備します。
・沖縄のスーコー(焼香)。本州出身者が分かる5つの解説
ウサンミの準備方法

手作りする場合
◇昔ながらの清明祭(シーミー)では、朝からおばぁを中心に女性陣が集まり、手作りのウサンミ(御三味)を準備するのが習わしでした。
…今でも手作りにこだわる家庭や門中も多く、家庭の味として受け継がれています。
手作りの最大のメリットは、家族の好みに合わせた味付けができること、そしてウサンデーでより美味しくいただけることです。
基本の鰹出汁さえ仕込んでしまえば、昆布の煮しめ・大根の煮つけ・ゴボウの煮つけはほぼ同じ工程で作れます。
・ラフテー(豚の三枚肉の煮つけ)
・魚の天ぷら
・昆布の煮しめ
・大根・ゴボウ・こんにゃくの煮つけ
各おかずの詳しいレシピはこちらをご覧ください。
・清明祭(シーミー)のお供え、重箱料理|ウサンミ(御三味)の基本レシピ
購入・注文する場合
近年では仕出し料理店やスーパーでウサンミ(御三味)を購入・注文する家庭が増えました。
特に清明祭(シーミー)の時期が近づくと、沖縄のスーパーではウサンミ(御三味)用のセットがワゴンに並びます。
●仕出し料理店への注文
…ウサンミ(御三味)専門の仕出し店に前日までに注文する
…慶事用・弔事用の指定ができる
●スーパーでの購入
…清明祭(シーミー)の時期にはおかずセットが販売される
…かまぼこ・カステラかまぼこ・揚げ豆腐などが揃いやすい
●お墓参り向けセットの予約
…スーパーによっては、事前予約で受け取れる場合も
仕出し料理店への注文は清明祭(シーミー)の時期に集中するため、早めの予約が安心です。特に土日は注文が殺到することが多いので、日程が決まったら早めに問い合わせておきましょう。
手作りと購入を組み合わせる方法
◇全てを手作りする必要はありません。
…購入するものと手作りするものを上手に組み合わせるのが、現代のウサンミ(御三味)準備のスタンダードになっています。
かまぼこ・カステラかまぼこ・揚げ豆腐はスーパーで購入し、ラフテー(豚の三枚肉の煮付け)・魚の天ぷら・昆布の煮しめなど煮つけ類を手作りするだけでも、十分な品数が揃います。
●スーパーで購入
・かまぼこ(赤・白)
・カステラかまぼこ
・島豆腐の揚げ豆腐
●手作り
・ラフテー(豚の三枚肉の煮つけ)
・魚の天ぷら
・昆布の煮しめ
・大根・ゴボウの煮つけ
「全部手作りしなければ」と思わず、できる範囲で楽しみながら準備してみてください。家族で手分けして作るウサンミ(御三味)は、清明祭(シーミー)当日の楽しみのひとつでもあります。
仕出し料理店への注文は、清明祭(シーミー)の1~2週間前には済ませておくと安心です。特に混雑日(土日)に向けての注文は早めに。
スーパーのおかずセットと手作りを組み合わせる方法が、準備の負担を減らしながらご先祖様への気持ちも込められる、バランスの良い方法だと思います。
迷いやすい|お供えの基本マナー

はじめてウサンミ(御三味)を準備する方が当日に戸惑いやすいポイントを、Q&A形式でお伝えします。
Q. おかず重ともち重、どちらを左に置けばいい?
A.墓前やお仏壇を正面にして、向かって左側がおかず重、右側がもち重が基本です。
…おかず重の中のラフテー(豚の三枚肉の煮付け)は、墓前(お仏壇)側に向けて置いてください。
またお重に家紋や文様が入っている場合には、紋も墓前(お仏壇)向きにします。おかず重の左上にお箸を置いてお供えするのも忘れないようにしましょう。
チュクン(4箱)の場合には、左からおかず重・もち重・おかず重・もち重の順に横一列に並べます。それぞれのおかず重の左上にお箸を置いてください。
Q. スペースが狭くて4箱並べられない場合は?
A. 霊園やコンパクト墓など、墓前スペースが限られる場合には、二列に並べても問題ありません。
…墓前側の列は左がおかず重・右がもち重、手前側(お参りする側)の列は左がもち重・右がおかず重と、交互(逆向き)に並べてください。
これはウサンミ(御三味)が墓前とお参りする人々それぞれに対してお重を広げている形を表しています。お箸も同じように、それぞれのおかず重の左上に置きます。
近年では霊園でのお墓参りが増えており、二列に並べる形が一般的になってきました。スペースに合わせて柔軟に対応してください。
Q. ウチジヘージーって何?準備が必要?
A. ウチジヘージーとは、ヒジャイガミ(左の神)へのお供えで取り出したおかずの分を補充するための、予備のおかずのことです。
…清明祭(シーミー)のお墓参りでは、まずヒジャイガミへウサンミ(御三味)をお供えし、おかずを取り出してお皿に盛り「ウハチ(お初)」としてお供えします。
その後、引き上げたウサンミ(御三味)の空いた部分にウチジヘージーのおかずを補充してから、改めて墓前にお供えする流れです。
前日までに補充用のおかずを別のタッパーなどに入れて準備しておきましょう。当日慌てないための大切な準備のひとつです。
お供えの作法や並べ方について、さらに詳しくはこちらをご覧ください。
・沖縄のシーミーに欠かせない重箱料理ウサンミ(御三味)。お供えの作法と並べ方
まとめ|ウサンミは心を込めたご先祖様へのおもてなし

ウサンミ(御三味)とは、単なる重箱料理ではなく、ご先祖様や神様への感謝と敬意を形にしたおもてなしの料理です。
慶事・弔事による違いや並べ方の作法には、沖縄の人々がご先祖様と向き合ってきた長い歴史と文化が込められています。
●ウサンミ(御三味)とは
・重箱に詰めるご馳走のこと
・お餅重+おかず重で一対(カタシー)
・大きな行事は二対(チュクン)が基本
●慶事用と弔事用の違い
・慶事:色もち・赤かまぼこ・結び昆布
豚の三枚肉は皮を下に
・弔事:白もち・白かまぼこ・返し昆布
豚の三枚肉は皮を上に
●準備方法
・手作り・購入・組み合わせの3択
・かまぼこ類はスーパーで購入が一般的
・仕出し料理店への注文は早めに
●お供えの基本マナー
・向かって左がおかず重・右がもち重
・ラフテー(豚の三枚肉の煮付け)は墓前(お仏壇)側に向ける
・おかず重の左上にお箸を置く
・ウチジヘージーは前日までに準備する
ウサンミ(御三味)についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
・沖縄のシーミーに欠かせない重箱料理ウサンミ(御三味)。お供えの作法と並べ方
・清明祭(シーミー)のお供え、重箱料理|ウサンミ(御三味)の基本レシピ集
・清明祭(シーミー)とは。沖縄のお墓参り行事の意味・時期・流れをわかりやすく解説
・沖縄のシーミー(清明祭)の進め方。施主・家長が知っておきたい準備・当日の流れ・グイス

公益財団法人 沖縄県メモリアル整備協会 終活支援部長
●経歴
19XX年、沖縄県名護市出身。
米国・南ユタ大学コミュニケーション学部卒業。
県内大手建設会社勤務を経て、2007年に公益財団法人 沖縄県メモリアル整備協会に入社。長年、お墓の企画提案や販売業務の第一線に従事し、中城メモリアルパーク所長を歴任。現在は終活支援部長として、沖縄の供養文化と現代のニーズを繋ぐ活動に注力している。
●資格・活動
・終活カウンセラー1級(沖縄県初取得者)
・一般社団法人 全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部 幹事
https://akiya-okinawanago.org/
●実績
県内各自治体、社会福祉協議会、医療法人、老人ホーム等での出張セミナーや講演を累計500回以上実施。沖縄タイムス等のメディア寄稿を通じ、相続や空き家問題、墓じまいに関する啓発活動を行っている。
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