ナンカスーコーで供える重箱。施主が押さえる5つの基本
ナンカスーコーでは重箱料理をお供えしますよね。そもそも「ナンカスーコー」は漢字で書くと「週忌焼香」で、四十九日まで一週間毎に行う法要を差しています。
沖縄では奇数週のナンカスーコーである「ウフナンカ」では、焼香客が訪れるため、施主はお供え物やふるまい料理で、失礼のないよう、気遣わなければなりません。
ただ、このナンカスーコーでの重箱料理は、日ごろの重箱のお供え物との違いがあります。そこで今日は、ナンカスーコーの重箱料理の習わしを5つ、お伝えします。
ナンカスーコーで供える重箱。
施主が押さえる5つの基本
ナンカスーコーの重箱料理とは
ナンカスーコーではお供え物として重箱料理を準備します。早朝に家族で行くお墓参りでのお供え物の他、家でも仏前にこの重箱料理を供えてください。
【 ナンカスーコーの重箱料理 】
★ ナンカースーコーでは早朝から家族でお墓参りをします。(沖縄では葬儀の日に納骨を済ませることが多いためです。)
・ この時、お墓の神様であるヒジャイガミ様、墓前へ重箱料理を供えるとともに、帰宅後にはお仏前にもお供えします。
お墓と仏前に出すナンカスーコーですが、重箱は1セット用意すれば問題はありません。お墓では並べた後にお皿に取り分け、新しくおかずを補充して使用します。
清明祭(シーミー)とナンカスーコーの重箱の違い
清明祭(シーミー)はお墓行事ではありますが、名前からも分かるように、お祝い行事です。そのため弔事であるナンカスーコーの重箱料理とは違います。
清明祭(シーミー)だけではなく、25年忌以降の年忌焼香「ウフスーコー」も、沖縄ではお祝いの意味合いを持ちますので、注意をしてください。
【 清明祭とナンカスーコーの重箱の違い 】
★ 祝い事を示す作り方や詰め方を避けます。
・ そのためナンカスーコーの重箱では、①結び昆布ではなく返し昆布、②赤かまぼこは避けて白かまぼこ、③もち重は全て白餅の餡なし、が決まり事です。
また、豚の三枚肉の煮つけは定番の重箱おかずですが、こちらも清明祭では豚の皮を下に詰めるのに対して、ナンカスーコーの重箱では豚皮が上になります。
マドゥナンカとウフナンカの重箱の違い
ナンカスーコーは奇数週の「ウフナンカ」と、偶数週の「マドゥナンカ」がありますが法要の規模も違い、それによりナンカスーコーの重箱も変わるのです。
【 ナンカスーコーの重箱 】
★ ウフナンカは焼香客が訪れる法要、マドゥナンカは身内のみで執り行うため、それに合わせて重箱の段数が変わります。
① ウフナンカ … おかず重、お餅重、それぞれ二段の四段で、「チュクン」と呼ばれます。
② マドゥナンカ … おかず重、お餅重、それぞれ半分の二段で、「カタシー」です。
ただ、これはあくまでも昔ながらの慣習で、今では焼香客が少なくなったナンカスーコーに合わせ、重箱もウフナンカでもカタシーの家が見られるようになりました。
ナンカスーコーの重箱の詰め方
ナンカスーコーに限らず、重箱の詰め方は地域によっても違い、家(人)によっても違います。ただ、沖縄では奇数を良しとする考えがあり、重箱のおかずの品目も奇数品目が基本です。
ちなみに旧暦行事が今にも残る糸満地域では、5品目とする家が多くなりますが、全体的にはキレイに分けられる9品目が人気です。
【 ナンカスーコーの重箱おかずの詰め方 】
★ また多くの地域で見られるのは、「昆布はお仏前側」と言う習わしです。
・ 9品目を詰めるとして、中央のお仏壇側には昆布(ナンカスーコーの重箱なので返し昆布)、中央に白かまぼこを置き、手前に豚の三枚肉の煮つけとする家も多く見られます。
他のおかずは最近では、子どもも食べられるようなおかずをチョイスする家もありますが、ごぼうの煮つけや魚の天ぷら、こんにゃくの煮つけなどが多いです。
お坊さんに読経供養を頼むなら
ひと昔前までは自分達で御願儀礼を行ったり、親族のユタさんにお願いをする家が多かったのですが、最近ではナンカスーコーでも、お坊さんに読経供養を依頼するケースが増えてきました。
この場合には、少し注意点があります。
【 ナンカスーコーの重箱、読経供養がある場合 】
★ お坊さんは仏教徒ですから、弔事の席で殺生を連想させる肉や魚はご法度です。
・ 沖縄ではナンカスーコーでも重箱おかずには、豚の三枚肉や魚の天ぷらなどが入りますよね。お坊さんを呼ぶ場合には、避けると安心です。
沖縄ですからお坊さんも理解があることがほとんどですし、今では重箱おかずをウサンデーしませんが、精進料理にこだわる方もいます。初対面のお坊さんでしたら、注意しておくと安心かもしれません。
いかがでしたでしょうか、今日は沖縄のナンカスーコーでお供えする重箱料理についてお伝えしました。
仕出し料理店などに依頼をすることもできますが、一度作ってみるとそんなに難しいおかずはありません。毎週のことですので、自分で手作りできれば費用も押さえられます。
お餅は大きいし数も多いので、購入することが多いですね。餡がないので今では食べきる家も少ないようですが、賞味期限が長いお餅も増えました。
まだまだ施主としては体力的にも精神的にも負担の大きい時期のナンカスーコーですので、重箱もムリない方法で準備して四十九日まで乗り越えてください。
まとめ
ナンカスーコーでの重箱の基礎知識
・ひとつの重箱でお墓とお仏壇に供えて良い
・お祝いと弔事の重箱のおかずには違いがある
・奇数週は四段、偶数週は二段を準備する
・昆布はお仏壇側、豚の三枚肉は手前に詰める
・お坊さんによっては肉や魚のおかずを避ける