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沖縄の浜下りにまつわる昔話。潮水で穢れを落とす理由とは

沖縄の浜下りにまつわる昔話。潮水で穢れを落とす理由とは
沖縄では浜下り(はまうい)と呼ばれる女の子の節句が、旧暦3月3日に行われます。沖縄の浜下りと言えば「潮干狩り!」と思う方も多いですよね。現在では家族で潮干狩りを楽しむ行楽行事として、暮らしに根付いています。

 

この沖縄の浜下りでは、昔から女性達は皆で潮水に手足を浸して穢れを落とす儀礼を行ってきました。その昔は男性は一緒には行かなかったのですが、今は行楽としての意味合いが強くなり、家族行事となったのです。

 

もともと沖縄ではヒヌカンなどの神具も潮水(塩水)で洗って清めるなど、潮(塩)は重要な役割を担ってきました。ただ、女の子の健やかな成長を祈願するこの行事ですが、「なぜ穢れを落とすの?」と疑問に思う方もいますよね。

 

そこで今回は、沖縄の浜下りで潮水に浸り、女性が穢れを落とす由来となった昔話をお伝えします。少し衝撃的な昔話ですが、興味深い話でもあるので、ぜひ参考にしてください。



 

沖縄の浜下りにまつわる昔話。
潮水で穢れを落とす理由とは

 

城下町の娘と青年


その昔、琉球王朝が栄えた時代、その城下町に一人の美しい娘が生まれました。この娘が年頃になった時、毎晩娘の元に一人の青年が訪れるようになります。

 

最初は娘も青年が家に上がるのを拒んでいましたが、あまりにも熱心に通うためにとうとう、家に入れるようになり、ついには両親に内緒で毎晩会うようになりました。

 

【 沖縄の浜下りの由来、身元の分からぬ青年 】

 

★ 二人の仲も親しくなった頃、何度も娘は青年に「どこから来た人なのですか?」と尋ねたのですが、青年は一向に答えてはくれません。

 

・ そしてとうとう青年の身元も分からぬまま、娘は二人の子どもを身籠ることになりました。

 

そんなある日、娘と青年が毎晩密会をしていることに母親が気づき、「あの青年は何者か?」と娘に問いただしました。けれども身元が分からぬ娘は、ただただ泣くばかりです。

 

 

青年の身元を辿る母娘


娘が泣き止むのを見計らい母親は事情を聞き、一計を案じます。「いいかい、この長い糸を通した針を、今晩青年に分からぬように襟元に差しなさい。そうすれば糸が青年の身元を教えてくれるだろうさ。」と言いました。

 

【 沖縄の浜下りの由来、青年の身元 】

 

★ その晩、娘は母親に言われた通りに青年の襟元に針を刺しました。青年はそうとも気づかず、いつものように夜明け前に娘の家を後にします。

 

・ すっかり日も上がった頃、娘と母親は糸を辿って行きました。糸は城下町を抜け山へ辿り着き、とうとう山のなかのほら穴まで来たのです。

 

二人はいよいよ「どこへ着くんだろうね?。」と不安に駆られながら、ほら穴を覗き込みます。するとどうでしょう!そこには「アカマター」が、不気味はいびきをかきながら眠っていたのです。

 

※「アカマター」とは沖縄の言葉で「大蛇」ですので、大きな大蛇の妖怪だったのではないでしょうか。

 

 

ユタさんの元へ駆け込む母娘


青年の正体を知った母は腰が抜け、娘はガタガタを足を鳴らしました。けれども娘にはお腹にこの「アカマター」の子がいます。恐れおののいた母娘は、慌ててユタさんの元へ駆け込んで今までのことを話しました。

 

【 沖縄の浜下りの由来、ユタの助言 】

 

★ ひと通り聴いた後にユタさんが言うことには、「旧暦三月三日になったら浜に下りなさい。」と言うのです。

 

・ 「浜に下りたら砂を踏んで、それから娘の体を潮水で浸して穢れを落としなさい。」

 

母娘は次の旧暦三月三日が来ると、ユタさんに言われた通りに浜に下り、砂を踏んで潮水に娘の体を浸しました。娘が腰まで浸かっていくと、娘から七匹のアカマターの子どもが流れ落ちたのです。

 

こうして娘はアカマターの穢れを落とすことができました。

 

 

沖縄の浜下り伝説に繋がる、漲水御嶽の物語


実はこのような蛇を化身とした昔話は数多くあります。古事記や日本書紀でも見られる「蛇の婿入り」伝説では、大国主なども蛇として登場していました。

 

さらに「糸を通した針で身元を探る」伝説は数多くあるのです。沖縄の浜下り伝説に最も近しい存在が、宮古島の漲水御嶽の物語ではないでしょうか。

 

【 沖縄の浜下り伝説に繋がる、宮古の物語 】

 

★ その昔、ある娘の元に毎晩訪れる美しい青年がおりました。娘はいつしか恋心を抱き、青年の子を身籠ります。それを知った両親が娘に、長い糸を付けた針を、青年の髪に気づかれぬよう刺すように言うのです。

 

・ そして翌朝糸を辿ると、漲水御嶽の祠にいた白蛇に針が刺さっていました。白蛇は漲水御嶽の神様である「コイツノ」でした。

 

そこでコイツノは娘に言います。「お前はこれから三人の子どもを産む。その子達が3歳になったら、子らを連れて漲水御嶽に訪れなさい。」

 

やがて子ども達が3歳になった頃、娘が漲水御嶽を訪れると大蛇が現れ、三人の子ども達は首と腹と尾にしがみつき、御嶽の奥深くへ消えていきました。

 

漲水御嶽の伝説の場合、沖縄の浜下りの物語とは違い、神を象徴する「白蛇」だったので、このように子どもが生まれ、漲水御嶽の神となったのかもしれません。

 

 

 

いかがでしたでしょうか、今回は「なぜ沖縄の浜下りでは、女性が潮水で穢れを落とすのか。」の答えとなる昔話をお伝えしました。少し衝撃的な内容に驚かれる方もいたかもしれません。

 

沖縄の浜下りの伝統儀礼は、「フーチムチ」と沖縄で呼ばれるよもぎ餅やおにぎりを作り、ヒヌカン(火の神)とお仏壇にお供え物をして、これから浜へ行くことをお伝えしてから始まります。

 

フーチムチやおにぎりは浜まで持っていき、沖縄の浜下り儀礼の後に皆で美味しくいただいてください。

 

沖縄の浜下り儀礼は昔話にあったように、まず丁寧に砂浜を踏みしめて、潮水を手足に浸して穢れを落とすのが習わしです。最後に指に付けた潮水で額に三回濡らす「ミジナティ」を行ってください。

 

沖縄の浜下りの時期は干満の差が大きく、遠浅の海岸で潮干狩りを楽しむことができるので、ぜひ、旧暦3月3日には浜を訪れてみてください。

 

 

 

まとめ

浜下り儀礼の由来となった沖縄の昔話とは

・娘の元に夜な夜な青年が訪れる
・娘が青年との子を身籠る
・糸を通した針を青年の襟元に刺し、身元を探る
・糸を辿ったら、大蛇のほら穴に辿り着いた
・恐れた母娘はユタに相談する
・ユタは旧暦3月3日に潮水に体を浸すように言う
・娘が潮水に浸ると、大蛇の子が7匹流れ出た

 



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