沖縄で増えた兄弟墓。名義や継承で役立つ3つの基礎知識
沖縄でも兄弟墓を建てる方、検討する方が増えてきましたよね。「兄弟墓」とは、名前の通り兄弟で建てるお墓です。隣同士に並べて建てるものや、お墓の彫刻を「感謝」などの言葉にして、ひとつのお墓を建てることもあります。
沖縄でも数十年前から霊園が広がり始めた頃から、個人墓や夫婦墓など、一代限りのお墓も増えてきました。これは子や孫の代わりにお墓を見守ってくれる施設管理者がいるからこそできる、「永代供養」が出て来たことが大きな理由です。
そのなかで沖縄で増えてきた「兄弟墓」ですが、個人墓や夫婦墓と違い、必ずしも一代のお墓とは限りません。…お互いに結婚して子どもが産まれれば、その子ども達が継承することになるからです。
そんな沖縄の兄弟墓、後々までトラブルなく安心できるお墓を建てたいですよね。そこで今回は、沖縄で増えてきた兄弟墓の特徴や、知っておきたい5つの知識をお伝えします。
沖縄で増えた兄弟墓。
名義や継承で役立つ3つの基礎知識
沖縄で兄弟墓を建てた事例
門中墓が多い沖縄で兄弟墓が増えてきたこと自体、不思議に思う方も多いかもしれません。ただ、アンケートを見てみると「なるほど…。」と思える理由も数多くあります。
【 沖縄で兄弟墓を建てた事例 】
① 母親のお墓を兄弟で建てた … シングルマザーだった母親が亡くなり、納骨をしようとしたところ、母方の実家に断られました。
・ 離婚した父方にも断られ、予算の問題から兄弟でお墓を建てることにしましたが、自分達も入るお墓がありません。そのため兄弟とその家族、皆が入れるよう、沖縄の霊園で兄弟墓を建てることにしました。
② 門中墓から独立 … 両親の死後、長男が門中墓を引き継ぎました。最初は次男・三男家族も門中墓に入るつもりでしたが、長男家族とトラブルが続き、門中墓から独立することになったための決断です。
③ 姉妹で兄弟墓 … 姉妹とも50代で独身だった事例です。
・ 両親は亡くなり父方の門中墓に入りましたが、親族から「あなた達は自分達でお墓を作りなさい。」と言われましたが、お互いに独身だったため、沖縄の霊園で一代の兄弟墓(姉妹墓)にしました。
また、親族とのトラブルで門中墓から独立する若い世代は多いのですが、沖縄ではこの兄弟墓を、「小さい規模でよりしきたりの緩い門中墓」と言う感覚で捉える人もいます。
沖縄に多い兄弟墓のスタイル
このように沖縄の兄弟墓では「今の門中墓では、一緒に入りたい家族と入れない。」ために、門中墓から独立したケースは多く見受けられます。
例えば連れ子再婚同士の家庭で、「血縁関係のない連れ子も入れるお墓を建てたい。」と言う方や、「幼くして亡くなった娘と一緒に入りたい。」などの方々です。
けれども経済的な事情で家族墓が建てられず、兄弟が協力するケースもあります。
【 沖縄の兄弟墓に見られるスタイル 】
① 共同でひとつのお墓を建てる … さらに近年の沖縄の兄弟墓では、「入る人を限定しないお墓を建てたい。」とする希望も多い傾向にあります。
・ そのため「軸石型」など家名を彫るタイプのお墓デザインでは、「志」などの抽象的な言葉を彫刻に選ぶ事例が増えてきました。
② それぞれのお墓を並べる … 門中墓では共同でお墓を管理するために「模合」でお金を出し合う家も多いですが、これが原因でトラブルが起き独立したケースでは、隣りあわせでお墓を並べる事例がありました。
・ お墓の管理や修繕費の負担はそれぞれで責任を持ちつつ、毎年の御願行事や供養、管理などは兄弟で共同で行います。
沖縄で兄弟墓を建てる時の注意点
このように気のおけない家族で建てる兄弟墓は、後々の管理面でも経済面でもメリットが数多くありますが、二人共がお金を出しているからこそ、気になることや注意点もあります。
【 沖縄の兄弟墓、建てる時の注意点 】
★ 兄弟でお金を出し合ってお墓を建てても、名義人は一人です。そのため、同じ金額を出し合ったとしても、どちらか一人を選ばなければなりません。
・ 名義人を決めると、法的には名義人が決定権を持っています。修繕や改葬、墓じまいの他、そのお墓に入る時にも名義人の許可が必要です。
この場合、お墓を建てた一代目ではあまりトラブルにはならないものの、子どもの世代でお互いの家が疎遠になった家庭では、「お墓に入れない」「お墓の修繕が進まない」などの事例が見受けられます。
【 沖縄の兄弟墓、次世代トラブルを防ぐために 】
★ このような次世代トラブルを防ぐためには、「公正証書」の作成がおすすめです。
・ 公証役場で作られる公文書ですから、法的な証明ができます。名義人は長男が、次男は公正証書を作って代々残しておくことで、トラブルが泥沼化することが避けられます。
いかがでしたでしょうか、今回は増えて来た沖縄での兄弟墓を建てる際に、理解しておくと役立つ事柄をいくつかお伝えしました。
最後に名義人は一人のみ、とお伝えしましたが、名義人は一人でも、もちろん墓石には「〇〇年〇月〇日 O城一郎・次郎 建立」(名前は仮名です)などと彫ることはできます。
公正証書には例えば遺言証書などのさまざまな種類がありますが、沖縄での兄弟墓で扱う場合には、署名認証や宣誓証書なども良いかもしれません。
このような公正証書の作成が複雑に感じるなら、町の行政書士に依頼するのもひとつの方法です。公正証書をはじめとする、書類作成のプロですので、頼りになる存在です。
また、継承者がいない時のための永代供養も安心できます。沖縄の兄弟墓は自分達世代だけで終わるものではないお墓が多いので、ぜひ、後々まで考えて書類を揃え、後々まで安心できるお墓を建ててみてはいかがでしょうか。
まとめ
沖縄で兄弟墓を建てる基礎知識
・門中墓から独立して建てる事例などがある
・兄弟でお墓を並べて建てる例もある
・ひとつのお墓の兄弟墓が多い
・二人で建てても、名義人はひとり
・墓石には二人の名前を彫ることができる
・後々のトラブルを防ぐためには公正証書が有効