沖縄で増えた家族葬のニーズ③。執り行った家族の体験談
沖縄でも小さい家族葬を検討する喪家が増えましたよね。一般人でも荼毘広告を出して、大勢の人々が参列する告別式が沖縄式でしたが、今では那覇市を中心に家族単位でゆっくりと進行する、小さな葬儀が注目されています。
沖縄では早々に火葬し、告別式では骨壺で執り行う葬儀も多いですよね。そして多くの人々が参列に集まって、立派な葬儀を行うことこそが、故人への弔いでした。
けれども最近では「最期の時くらい、故人との時間をゆっくりと過ごしたい。」と家族やごく親しい知人友人などが棺を囲んで過ごす葬儀など、「小さいながらも心を込めた時間」を大切にする葬儀が選ばれつつあります。
そこで今回は、近年沖縄で需要の高い家族葬について、特に選んだご家族の体験談をお伝えします。
沖縄で増えた家族葬のニーズ③。
執り行った家族の体験談
故人の遺志により決めた、沖縄の家族葬
A子さんは父親の危篤時、以前に終活らしきことをしていたと思い出し、父親の机を確認しました。すると引き出しからエンディングノートを発見したのです。
エンディングノートには、家族葬を希望することが記されており、参列を希望する親しい知人友人の名前まであります。
【 沖縄での家族葬の体験談① 】
★ エンディングノートには相談した葬儀社も残してあったので連絡をしたところ、生前契約が交わされていました。さらに遠方に住む親族や友人に連絡したところ、沖縄で本人が家族葬を希望することを知っていました。
・ そのため、葬儀社とも内容を確認するだけで、支払いや打ち合わせはほとんどなく、沖縄の親族も家族葬への理解があり、とても穏やかな葬送を進めることができました。
故人が契約した斎場では、小さい部屋ながらもリビングやバスルームまで完備され、家族は故人が亡くなった夜から告別式まで、一緒に過ごすことができたのも、良かったと言います。
また、「もともと『何かと段取りがいいね。』と言われていた故人らしい…。」と、集まった親族や知人友人で話題になりました。
高齢で兄弟もすでに他界
近年、沖縄で家族葬が注目されるようになった背景には、故人の高齢化があります。故人だけではなく、子どもである喪主もシニア世代となり、故人・喪主共に、社会的な繋がりが薄く、参列者も少なくなるためです。
今回の沖縄で行った家族葬のケースでは、故人は長い間入院生活をしていました。すでに87歳で、元気に参列できる知人友人も少なく、親はもちろん兄弟も皆、すでに他界していました。
【 沖縄の家族葬の体験談② 】
★ さらに生前は故人本人が、「入院生活で痩せ細った姿を見せたくない。」と、一般葬を嫌がるような発言がしばしばありました。そのため、家族は故人の気持ちを汲んで、ごく親しい人のみ、沖縄で家族葬を選んだのです。
・ 自宅葬を選び枕経や通夜の読経は行わず、通夜の夜は家族が代わる代わる付き添いました。棺を取り囲んで、ひとりひとりの家族が順番に手紙を読み上げ、棺に入れるセレモニーをしています。
沖縄では菩提寺を持たない家が多く、その時のみ近所や葬儀社に紹介してもらったお坊さんに読経供養を頼むことが多いですが、この家族も菩提寺はありません。
そのため菩提寺に相談したり気兼ねをする必要もなく、家長を中心として進行する「自由葬」となったのです。
香典なし、会費制のお別れの会
那覇市に在住のC子さんは、本州出身の45歳の女性です。8月に癌が見つかったものの末期と診断され、発見から僅か2カ月で帰らぬ人となりました。子どももおり、知人友人も多くいる女性です。
多くの人々に参列してもらいたい一方、家族はC子さんとの最期の時間を、ゆっくりと穏やかに過ごしたい想いがありました。
【 沖縄の家族葬の体験談③ 】
★ そのため、まずは家族と本州から駆け付けた親しい親族、友人のみで葬儀を執り行い(家族葬)葬儀後に広く訃報のハガキを出し、「お別れの会」を改めて開くことにしました。
・ 子育て真っただ中で貯蓄も少なく、今後の教育費も気になります。そのため、家族葬は会場費の掛からない自宅葬で通夜を行わない一日葬で済ませました。親族は飛行機の費用があるので、お香典は辞退しています。
お別れの会はホテルで行われ、こちらも香典を辞退して、代わりに会費制にしました。沖縄の方々と本州の方々でお香典の費用目安が変わるため、戸惑う参列者も多いため、会費制は分かりやすく、ムリなく理解を得られました。
いかがでしたでしょうか、今回は最近増えてきた沖縄の家族葬、選んだ家族の体験談をお伝えしました。本文中にもあるように、沖縄で家族葬のニーズが高まった背景には、故人の高齢化もある点は、納得できる方も多いのではないでしょうか。
故人が97歳など高齢になると、喪主となる子ども達も現役を退いたシニア世代です。そうなると故人・喪主共に社会との関わりが以前よりも薄くなります。
そのため、あまり世間に気兼ねをせずに葬儀を執り行えるうえ、知人友人もすでに高齢となり他界していたり、参列したくても体の不調で思うように参列できない人も増えてくるからです。
ただ、社会との関わりの広さは人によって違いますし、「お別れを言いたい」と言う人も多いですので、体験談にあるようなお別れ会を開いたり、暫くは自宅への弔問を受け入れるなど、葬儀に参列しなかった人々への配慮も欠かせません。
まとめ
沖縄での家族葬の事例
・故人本人が生前に終活をしていた
・エンディングノートに全て記されていた
・葬儀社との契約、周囲への連絡も済ませていた
・本人の希望を汲み、家族のみで行う
・お坊さんを呼ばない自由葬
・喪服も着ず、棺を囲んで一晩を過ごした
・家族葬の後、会費制でお別れ会を行った
・子育て真っただ中で会費制は助かった
・お別れの会はホテルの会場を借りる