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沖縄の法要。年忌焼香(ニンチスーコー)の基礎知識

沖縄の法要。年忌焼香(ニンチスーコー)の基礎知識
沖縄の法要はお墓参りと同じく独特の文化がありますよね。お墓参りでも、年間行事である春先の清水祭や七夕などがありますが、沖縄の法要としても年忌焼香(ニンチスーコー)と呼ばれるものがあります。

 

この年忌焼香は、本州で言うところの一周忌や三回忌にあたるもの。沖縄の法要である年忌焼香は、その呼び方から回数など、少し全国的なものとは違いがあり、沖縄の法要ではお墓参りもしながら執り行うのが恒例。

 

初めての沖縄の法要への参列なら、ある程度の基礎知識を持って望みたいですよね。そこで今回は、沖縄のお墓参り、法要となる年忌焼香の基礎知識をお伝えします。

 

知人や友人、遠い親戚として参列する場合にも、身内として参列する場合にも、ぜひ本記事を参考にしながら、準備を進めてみてください。

 



 

沖縄のお墓参り。
年忌焼香(ニンチスーコー)の基礎知識

 

年忌焼香(ニンチスーコー)とは


沖縄の法要に当たる年忌焼香(ニンチスーコー)は、冒頭でお伝えしたように、全国的な法要で言うところの、一周忌や三回忌、七回忌などに当たるものです。沖縄の法要では一年忌、三年忌、などと呼びます。

 

【 沖縄の法要:年忌焼香(ニンチスーコー) 】

 

★ 故人が亡くなってから比較的時期が早い年忌焼香が、若焼香(ワカスーコー)、二十五年忌を越えた、時期が経っている年忌焼香を、大焼香(ウフスーコー)と言うのです。

 

全国的な法事で言うところの「一周忌、三周忌、七回忌…」に当たる法要が、「年忌焼香」と言うことになります。「年忌」が「ニンチ」、「焼香」が「スーコー」で、「ニンチスーコー」です。

 

今では沖縄でも仏教が浸透してきたために、全国的なお坊さんがお経を唱える「法要」がほとんどですが、昔はユタさんやノロさんによる御願によるスーコーが主たるものでした。

 

ですから、お坊さんがお経を唱えて法要を行う一方で、お供え物は昔ながらの「チラグヮー(豚の顔)」であったり、豚の三枚肉の煮付けであったり…、と、仏教ではご法度とも言われる肉類が供えられるなど、「ちゃんぷるー文化」ではないですが、仏教と御願文化が混合されたようなスーコーが特徴的です。

 

若焼香(ワカスーコー)の基礎知識


沖縄の法要では比較的時期が早い若焼香(ワカスーコー)。十三年忌までを若焼香としている地域がほとんどですが、その時期は全国的なものとあまり変わりはありません。

 

【 沖縄の法要:若焼香(ワカスーコー) 】

 

・ 一年忌(イヌイ) … 亡くなった翌年
・ 三年忌(サンニンチ) … 亡くなった翌々年
・ 七年忌(シチニンチ) … 亡くなった年から六年後
・ 十三年忌(ジュウサンニンチ) … 亡くなった年から十二年後

 

 

こちらも全国的な法要と大きくは変わりません。一年忌(イヌイ)が一周忌三年忌(サンニンチ)が三周忌に当たる法要で、数え方(亡くなった翌々年)も同じです。

全国的にも七回忌(沖縄のスーコーで言うところの「七年忌(シチニンチ)」から先の法要はありますが、一方で現在では東京となどの都心部を中心にして、多くは七回忌をひとつの区切りとするようになりました。

けれども沖縄では今も七年忌(シチニンチ)以降も法要を続ける地域は多く残ります。…これは「十三年忌(ジュウサンニンチ)」まではワカスーコー(若焼香)としていることもあり、「まだまだ亡くなってから日が若い(経っていない)」と感じる沖縄の方々が多いようです。

 

大焼香(ウフスーコー)の基礎知識


大焼香(ウフスーコー)は、二十四年忌からの年月が経った沖縄の法要。若焼香では焼くウチカビの目安は一人につき3枚ですが、この大焼香からは年忌の数に合わせて用意することが多いのも違い。

 

【 沖縄の法要:大焼香(ウフスーコー) 】

 

・ 二十五年忌(ニジュウグニンチ) … 亡くなった年から二十四年後
・ 三十三年忌(サンジュウサンニンチ)… 亡くなった年から三十二年後

 

本州でも三十三回忌を最後に法要を終えたり、永代供養でも三十三回忌を目処として合祀墓に埋葬されることが多いですが、沖縄の法要でも、三十三年忌は「ウワイスーコー(終り焼香)」と呼ばれ、最後となるのです。

 

実は沖縄では「七年」を一巡りと考えて、七年経つとご先祖様として家を守ってくれる存在になり(ウヤフジガナシー)戻ってくるとし、「故人」から拝みの対象となる風習を持つ地域が数多くあります。

 

そしてさらに、この「ウワイスーコー(終わり焼香)」を終えると「神」となるとされ、「神」となるための特別な神札と儀式もあります。(地域によってさまざまです。)

 

ちなみにウワイスーコーで用意される「紙札」は「神札」とも言われ、地域によってさまざまに異なりますが、赤い紙に人型の絵を墨で描き、「紙(もしくは神)」と頭部部分に記す図柄などがありました。

 

 

若焼香と大焼香の違い


沖縄の法要では、若焼香までは追善供養の意味合いがあり、用意するお供え料理などもナンカスーコー(初七日)などに倣いますが、二十五年忌からの大焼香には、お祝いの意味合いが出てきます。

 

そのため、大きく違う特徴として、沖縄の法要でのお供え物の違いがあります。

 

【 沖縄の法要:若焼香と大焼香の違い 】

 

★ 若焼香、沖縄の法要での供え物

 

・ かまぼこは
・ 昆布は返し昆布
・ 豚の三枚肉は、皮を上向きに飾る。

 

★ 大焼香、沖縄の法要での供え物

 

・ かまぼこは
・ 昆布は結び昆布
・ 豚の三枚肉は、皮を下向きに飾る。

 

…以上が若焼香と大焼香の大きな違いですが、大焼香はお祝いですので、地域によっては豚の顔(チラガー)や鳥の丸焼き、豚の丸焼きなどが出てくることもあります。

御前も旧正月などに見る「ハレの膳」が主たる料理で、かまぼこの赤だけではなく、供えるお菓子も桃色などカラフルになるのが特徴的です。

集まる人々も喪服ではなくなる法要も多く、ウサンデー(お供え物を下ろして共食)では、三線とカチャーシーで盛り上がるウワイスーコー(終わり焼香)も多くありました。

ただ最近では、地方ではまだまだ色濃く残る地域もあるものの、那覇市など都心部ではウワイスーコーもしめやかに執り行うようになりました。また、二十五年忌で三十三年忌(ウワイスーコー=終わり焼香)まで繰り上げ焼香を行い、一度で終わらせる家も増えています。

 

本州と沖縄の法要の違い


本州の方々が沖縄の法要について間違えやすい事柄が、法要を行う日取りです。できることなら忌日当日に執り行うことが理想的であり、昔は当日の法要も多かったのですが、忙しい現代、集まりやすい週末などに移動する事が多くなりました。

 

【 沖縄の法要:日取りの決め方 】

 

★ 本州の法要の多くが、命日当日に執り行われない場合には「日にちを早めて」設定しなければなりません。例えば、2月19日が命日であれば、2月19日よりも前の週末などに設定するのが基本。

 

・ 一方、沖縄の法要では「日にちを延ばして」設定します。前例と同じケースでは、2月19日より後の、次の週末に設定するのです。

 

本州から嫁いだ場合などは正反対ですので驚くのも当然ではないでしょうか。事前に知っておくことで戸惑うことも少なくなります。

 

本州の法要では、日取りが延期されると「故人が寂しがる」「故人をないがしろにする」として、日にちをずらすのなら早める方が良いとしていますが、沖縄の高齢者の方の話では「早く進めてしまうと故人が驚く」などの声もあり、前倒しにすることを良しとしない風習がありました。

 

沖縄の法要では、お墓参りが基本


本州の法要では、三回忌や七回忌など、お寺の本堂や自宅を利用してお坊様を呼び、読経をお願いして法要を済ませた後、用意していた会食会場へ移動して、会食をするのが風習。けれども沖縄では少し違います。

 

【 沖縄での法要:お墓参り 】

 

★ 沖縄の法要では、お墓参りをして故人を家へ迎え入れ、お仏壇にお供え料理であるウサンミなどのお供え物を準備します。

 

…と言うのも、沖縄ではもともと「仏壇とお墓は繋がっている」とされていて、反対に本州のように気軽にお墓参りへ出向くことはしません

 

沖縄では決められたお墓行事の日取り(旧暦の日取り)にお墓参りに行くのみで、その他の日取りは「行かない方が良い」とされてきました。

 

沖縄の高齢者の方々の声では「周りのお墓の人々が寂しがるから」などもありましたが、歴史から鑑みると、風葬の歴史があるために、その昔のお墓はあまり衛星的に良い場所ではなかったことが想像できます。

 

また、(同じく風葬の意味合いから)「あの世」と呼ばれるように、人々が住む地域とは離れた辺境な場所にあったお墓も多く、現代の霊園のように、そうそう簡単に行ける場所でもなかったのかもしれません。

 

 

いかがでしたでしょうか、沖縄の法要は呼び名からしきたりまで、全国的なものとは大きく違うため、例えば本州から嫁いだ場合などには、学ぶこともたくさんあり、戸惑うかもしれません。

 

けれども実際にその日を迎えると、例え家の者であっても皆で集まって一斉にお供え料理を作りますし、必死に動いて終わることもしばしば…。年上の親族の指示を仰いで必死に動いているため、「難しいことが考えられない!」などの声も聞くほどです。

 

沖縄の法要では若焼香まで、特に三年忌までは親族やゆかりのある方々が大勢集まり、故人を偲んで語り合いますが、三年忌を越えると年数に比例して、規模も小さくなる傾向にあります。本州も似ているかもしれません。

 

本記事を参考にしながら基本を押さえ、当日は素直に親族の指示に倣いながら、自然に慣れて行ってください。

 

 

まとめ

沖縄の年忌焼香の基礎知識

・沖縄では若焼香と大焼香に分かれている
・一年忌、三年忌、七年忌、十三年忌が若焼香
・二十五年忌、三十三年忌が大焼香
・若焼香は追善供養、大焼香からは祝儀の意味合いがある
・沖縄では命日に行わない場合、延ばすのがならわし

 



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