【沖縄のお墓】個人墓地のお墓と霊園のお墓、現代事情
沖縄のお墓と言えば家のように大きなお墓ですよね。この大きなお墓も墓地が個人墓地だからこそ、建てられる大きさなのかもしれません。
本州各地ではしばしば家の裏山などにお墓がある様子も見られますが、基本的には霊園で建てるお墓がメインで、新しくお墓を建てるとなると、まず霊園見学ではないでしょうか。
一方沖縄でお墓を建てるとなると、墓地探しから始める家も少なくありません。そもそも沖縄の霊園の歴史自体が、20年前後と全国的なものと比較すると、ずっと新参者なのです。
とは言え、これから新しく沖縄でお墓を建てるとなると、やはり現代の事情や未来も考えて、より便利で安心できるものを建てたいですよね。
そこで今回は、沖縄のお墓の現代事情とともに、個人墓地や霊園で好まれるお墓のスタイルをお伝えします。
【沖縄のお墓】
個人墓地のお墓と霊園のお墓、現代事情
地方の沖縄のお墓では、個人墓地が主流
沖縄のお墓の歴史のなかでは、霊園は20年前後と新参者ながら、ここ数年でどんどん霊園墓地のお墓は広がっています。
けれども、もともとは個人墓地がメインの沖縄、地方ではまだまだ、個人墓地のお墓は需要が高いです。
【 沖縄のお墓、個人墓地 】
★ 昔ながらの沖縄のお墓購入では、まず個人墓地を購入、もしくは現存の土地を墓地使用申請をして許可を得て、石材業者を探してお墓を建てていました。
・ けれども最近では、新規の個人墓を建てる際には沖縄県自体が霊園などの集合墓地を進言しています。そのため、新規の個人墓地のお墓は例外措置として認められている状態です。
無縁仏の増加問題は沖縄では深刻で、自治体で毎年多くの無縁仏が撤去されていますが、そのほとんどが個人墓地に建つお墓となります。
そのため県では集合墓地に建てることを進言していますが、まだまだ、それに霊園が追い付いていない状況が続いてきたため、このような例外措置が取られるようになりました。
個人墓地だからこそできる、大きなお墓
それでもやはり、沖縄の方々はお墓を建てるなら個人墓地を好む傾向が残っています。その理由には、昔から残る沖縄のお墓は大きなものであり、広い敷地でお墓参りをする年中行事もあるからです。
【 沖縄のお墓、個人墓地を好む理由 】
★ 沖縄ではお墓参りの年中行事はとても重要なものであり、父方の血族が納骨される門中墓では、本州の家族や親族を越えた、多くの一族が門中墓の前に集結して、墓前で宴を楽しみます。
・ けれども、本州のお墓に倣った霊園の区画では、大勢の一族が集まって墓前で宴を楽しめるようなスペースも、大きなお墓もありません。
本州の法事では、法要の後に会食会場に移動するように、沖縄のお墓が変化することで、そのスーコー(法要)の伝統も消えてしまいかねないのです。
また、霊園は購入すると区画を永代に渡り借りる契約(永代使用権)となりますが、個人墓地は個人の土地になるため、祭祀財産として後々の子どもや子孫に残すことができるとの考えもあります。
都心部では霊園のお墓が人気
一方で都心部になると、霊園のお墓の需要が格段に高くなります。沖縄とは言え都心部に住む方々は、考え方や慣わしへの意識も、本州寄りになっている…、と言う方もいますが、そうとも限りません。
その背景には個人で土地を購入してお墓を建てる個人墓地のお墓と比べて、霊園のお墓は自分の予算に合わせたお墓を建てやすいことが挙げられます。
【 沖縄のお墓、霊園の需要 】
★ ひと昔前は門中墓の一族が皆で「模合」をしてお金を出し合い、大きなお墓を建てたり、その維持費を賄ってきました。
・ けれども今都心部では、門中自体も少なくなり、あっても多くの家が独立するなどして、人数が少なくなっている実情があるのです。
もともと大きなお墓を建てるだけでも、その石材(昔は安く仕上げるためにコンクリート造りのものも多くありました。)のコストはばかになりません。人数が少なければ尚更です。
一方、霊園であれば、墓地区画自体も小さいうえに、霊園で決まったデザインを使用することで、墓石自体が安くなることも期待できます。
沖縄らしさを残したお墓のデザイン変革
このように都心部では沖縄のお墓へのこだわりも変化しつつありますが、それでも「沖縄らしさを残したい。」と考える若い世代は多いです。
そこで近年の沖縄では、霊園の小さな区画に合わせた「沖縄スタイルの」お墓が多く販売されるようになりました。
【 沖縄のお墓、狭い敷地に収まるデザイン 】
★ 昔ながらの大きな沖縄のお墓と言えば、亀の甲羅のような形をした「亀甲墓」と、昔の家屋の屋根を象った三角屋根が特徴の「破風墓」の二種類です。
・ 本来は大きなものですが、これらのデザインをそのまま小さくしたような墓石が販売され、その需要は高まっています。
スーコー(法要)や沖縄のお墓参りの年中行事も、本州と沖縄を折衷したスタイルが増え始め、お墓参りは墓前で行いながら、人数が多いと霊園内の芝生や別会場を借りて行うことも増えてきました。
地下に埋葬しない、沖縄スタイル
このように沖縄のお墓は、近年になってどんどん変化してきていますが、それでも霊園を見回すと、本州に多い「日本墓」はとても少ない印象があります。
そこには本州のお墓は地下に遺骨を埋葬するのに対し、沖縄では遺骨を納める「部屋(室)」があり、そこに安置する、意識の違いではないでしょうか。
【 沖縄のお墓、日本墓と折衷した軸石型 】
★ そのため沖縄の納骨の風習と、狭いスペースに建てる日本墓の造りを折衷した「軸石型」が注目されるようになりました。
・ 軸石型は、下部分には遺骨を納骨する部屋(室)が設けられた沖縄スタイル、丈夫のみ家名などを彫刻する墓石を載せる日本墓スタイルです。
沖縄の納骨式では、干支などの関係性から故人と良い相性の人がお墓の扉を開けるなどの、沖縄ならではの儀式もあります。このような伝統をなくさない、沖縄の新しいお墓が出回りつつあるのです。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄のお墓が個人墓地が主流だった時代から、霊園のお墓が伸び始めた背景や、現代の沖縄のお墓の需要やその理由をお伝えしました。
また、沖縄県内に無縁仏が増え始めた問題は、ひとつに個人墓地のお墓であることが挙げられますが、さらに深く辿ると、個人墓地を管理しきれなくなる、「継承問題」も出てきます。
沖縄のお墓や位牌(トートーメー)の継承問題は、相続問題も絡んで複雑でもあり、誰かが気軽に管理する訳にもいかない家が多いのも実情です。
さらに全国的に先祖代々墓をはじめとした、子どもや孫・子孫へと続くお墓の継承が困難になっている時代の流れもあります。人が昔のように、一所で人生を過ごすことが少なくなってきたのです。
そんななかで霊園では、霊園施設が遺骨を永代に渡り供養する「永代供養」を付けるようになりました。そんなさまざまな事情を見ながらも、自分達の心が納得できるお墓を選ぶことが大切です。
まとめ
沖縄、個人墓地のお墓から現代までの流れ
・無縁仏問題から、お墓の在り方が変わり始めた
・沖縄県では現在、個人墓地を例外措置としている
・門中が少なくなり、安い価格帯の霊園お墓が注目
・霊園の区画に合わせた沖縄のお墓が登場
・埋葬せず室に遺骨を納めるお墓スタイルは続く