沖縄の位牌継承、トートーメー。基本の考え方とトラブル例
沖縄の位牌継承問題は、全国的にも知られるほど独特で難しい側面がありますよね。実際に「トートーメー問題」と言う言葉も出始め、沖縄県内ではこの沖縄の位牌継承に悩む高齢の方々も多いです。
その大きな理由のひとつは、沖縄の位牌継承における「四つのタブー」とも言われています。ただこの「四つのタブー」は戦後に解釈が変わって伝わったとされる人もいて、沖縄県内でも家や地域によって、その見解や「緩さ」はさまざま。
沖縄の位牌継承はお墓とならんで一族の問題、そのため自分の一存ではなかなか解決することが難しく悩ましい問題ですが、できればトラブルなく乗り越えたいですよね。そこで今回は、沖縄の位牌継承で多いトラブル例と、解決策をお伝えします。
なかなか沖縄で位牌継承が進まない時、参考にしたくなる他の家の体験談、ぜひ一読してみてください。
沖縄の位牌継承、トートーメー。
基本の考え方とトラブル例
四つのタブーとそれぞれに違う解釈
沖縄の位牌継承において、現在伝わっている「四つのタブー」を簡単にお伝えすると、①長男が引き継ぐこと、②弟の位牌と長男の位牌がひとつの仏壇に並んではいけない、③父系の血族以外の血が混じってはいけない、④女性が引き継いではいけない、の四つ。
けれどもこの「四つのタブー」については、一部では異論も出てきているなど、人や家によってさまざまともいえます。
【 沖縄の位牌継承、四つのタブーの解釈 】
★ 例えばある意見では、この四つのタブーは戦後に言葉が間違って解釈されただけ。兄弟の位牌が並ぶ「チョーデーカサバイ」は、それがタブーとしている訳ではなく、並んでいる状態を指した言葉に過ぎない、と捉える方もいるのです。
・ 戦前は民間の商いをしている家々を中心に、養子を取って引き継いだり、次男三男が引き継ぐことも多かった、と伝える方も見受けられます。
長男が全ての相続を受ける?
沖縄の位牌継承に付随して、しばしばトラブルになりやすいのが、沖縄では位牌やお墓を引き継いだ長男が、家の財産も全て相続する、と言う昔ながらの考え方。
【 沖縄の位牌継承、相続と絡む問題 】
★ けれども現代の全国的な法律では、相続権のある兄弟それぞれに、最低限の決められた相続分(遺留分)が認められています。ここで兄弟間のトラブルになりやすいのです。
・ とは言え全国的なものとは違い、沖縄では位牌やお墓の継承をすると言うことは、経済的にも精神・体力的にも、とても負担の大きい事柄。
そのため、お互いの主張が食い違ってしまうと、大きな相続争いにもなり兼ねません。軍用地など他の事情もありますが、この点も沖縄での相続が「争族」と言われてしまう理由のひとつです。
長男だからと言って、継承できない
また前項でお伝えした沖縄の位牌継承「四つのタブー」を忠実に守るとすれば、必然的に長男が必ず沖縄の位牌やお墓を引き継がなければいけません。けれども今の時代、その長男が必ず沖縄で一生を暮らすかと言えば、そう言う訳でもないのです。
【 沖縄の位牌継承、長男が継承できない 】
★ たとえ沖縄で位牌を引き継がなければならない長男であっても、東京などの本州で働きたい、海外で働きたい!と考える若い人々は多いもの…。中には移住した土地で結婚をし、居を構える長男もいます。
・ そうなると多くの方々が、沖縄の位牌を自分の家に移して、供養をしようかと考えるのですが、毎年の行事や供養を考えると、親族とのトラブルの種にもなり、供養自体も、なかなか自分達だけで行うのは困難であるため、諦めるケースがほとんど。
そもそもお墓ともなれば、そうそう簡単に移動はできません。このような事情から、長男継承は難しい…、と問題が解決しないまま、現在の位牌主が高齢になるまで、放置しているケースは多いです。
子どもが女性ばかりで継承できない
沖縄での位牌継承、四つのタブーでは女性が引き継いではならない、とありましたが、現代では全員が女の子の家もあるもの。
【 沖縄の位牌継承、子どもが皆女性 】
★ この場合には、娘を飛び越えて孫世代になってから、正式に引き継ぐケースが見られます。つまり娘が長男を出産したら、その子が継承するのです。
・ もしもその家の旦那様が、実家の位牌を引き継いでいれば、その長男は旦那様方の沖縄位牌を引き継ぐことになるので、次男が母親方の沖縄位牌を継承するケースなども見受けます。
少しややこしいのですが、次の世代に沖縄の位牌継承は取り置かれることになる、と言うこと。孫世代までは、母親が「アジカイグァンス」として、沖縄の位牌を預かることも多いです。
いかがでしたでしょうか、沖縄での位牌継承のトラブルは、そもそも沖縄の位牌継承におけるしきたりが現代の暮らしに添っていないことも大きな原因。そのため、解決するにはある程度、しきたりへの解釈を緩めたり、柔軟に変える家も増えています。
ただ、親族もいることですから、それも難しい家もあるもの…。このような場合には、問題を据え置いたまま位牌主が高齢になる家も…。
このような場合には、終活を通して、思い切って位牌のお焚き上げを決断したり、そこまでできない時には、沖縄の位牌を霊園などの施設で位牌堂に預けて、永代供養をお願いする選択も見受けられます。
行き詰っているかに見える問題でも、誰かに相談することで解決策が見えるケースもあるので、もしも問題を抱えているのなら、本記事を参考にしながら、霊園などの業者に相談してみるのもひとつかもしれません。
まとめ
沖縄の位牌継承でのトラブル例
・位牌継承のタブーは家や人で考え方が違う
・長男が全てを相続する考え方も、トラブルの原因
・遠方などに住み、位牌継承ができない事例が多い
・女系家族の場合、孫世代に引き継ぐ解決策が多い
・時には位牌のお焚き上げや永代供養の決断もある