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沖縄の納骨式で欠かせない、ヒジャイガミの作法とは

沖縄の納骨式で欠かせない、ヒジャイガミの作法とは
沖縄の納骨式では、本来の納骨ももちろん大切な儀式ですが、その前に沖縄のお墓にいらっしゃる「ヒジャイガミ」への祈願を先に行います。例えば他の地域から沖縄に嫁いだ場合など、一般的な納骨マナーや流れは理解していても戸惑いますよね。

 

沖縄は納骨に限らず、その独特なお墓の様子からも分かるように、ことお墓事に関しては独自の風習を持っています。お供え物から一連の流れ、日取りの決め方まで、多くの違いがあるので、沖縄の方自身も、自分が施主となると戸惑うことも…。

 

けれども大切な故人をしっかりと弔うためにも、墓主としての責任としても、きちんと理解して沖縄の納骨を執り行いたいですよね。そこで今回は、沖縄の納骨式のなかでも、独特である「ヒジャイガミ」への祈願の儀式を詳しくお伝えします。

 



 

沖縄の納骨式で欠かせない、
ヒジャイガミの作法とは

 

沖縄で納骨が行われるまでの遺骨


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沖縄の納骨式、ヒジャイガミへの祈願の前に「沖縄で納骨式が執り行われるまで、遺骨はどこに保管するのだろう…。」と、疑問に思う方々も多いですよね。

 

実は沖縄の納骨は主に告別式後に行うことが多いのですが、門中墓に入らないなどの選択から、なかにはお墓の準備ができていないケースも多くなりました。

 

【 遺骨の保管 】

■ 新しくお墓を建てる場合など、長く遺骨を納める場所がない事例が多くありますが、現在では遺骨を自宅で供養する「手元供養」にして、納骨の日を待つ家庭が増えています。

 

・ お墓を建てるなどの理由から、長い期間遺骨を納めたい時には、納骨堂と言う選択も。納骨堂であれば長く安置できるので、一周忌や三回忌に合わせてお墓を作ることもできます。

 

ちなみにお墓は、沖縄では告別式に、全国的には四十九日で納骨される事が多いのですが、「いつまでに納骨しなければならない。」と言う規定はありません。

 
最近では長年連れ添ってきた夫婦など、なかには心の整理がつくまで遺骨を自宅に置いて、毎日手を合わせる人もいます。
 
ただし、故人を慕うからと家の庭に埋葬することは、法的に禁じられており「遺体遺棄罪」にも成りかねません。
 
心の整理がつくまで、もしくはお墓を建てる費用が用意できるまで…、自宅に故人の遺骨を置いて供養したいと言う場合には、自宅に祭壇を設けて遺骨を祀る「手元供養」の方法もありますので、こちらで検討をしてみてください。
 
ちなみにこの場合には、従来の骨壷で安置するだけではなく、粉骨して小さな骨壷に入れ、部屋のインテリアと違和感のないような骨壷を安置することもできますので、手元供養を扱うギャラリーなどを訪れてみるのも、どのような葬送を行うか…、決断のきっかけになるかもしれません。
 

沖縄の納骨で見られる「野辺送り」


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沖縄の納骨を知るには、まず沖縄ではその昔、風葬の習慣があったことを理解しなければなりません。その風習の名残りとして、大きなお墓や人目につきにくい場所のお墓、…などがありますが、「野辺送り」の習慣もそのひとつです。

 

【 沖縄の納骨で見られる「野辺送り」とは 】

■ 沖縄の納骨式では、お墓まで行列で(葬列)歩いて見送る儀式があります。それが「野辺送り(のべおくり)」。「野辺送り(のべおくり)」とも言われますが、「タビ」とも呼ばれています。

 

昔ながらの野辺送りでは、旗を持った人や松明を持った人々が先に立ち、続いて葬列を組んでお墓まで歩きますが、環境の変化や火葬への葬送方法への変化から、都心部などでは見られることも少なくなりました。

 

 

沖縄のお墓にいらっしゃる「ヒジャイガミ」


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さて、沖縄の納骨式の前に祈願する「ヒジャイガミ」ですが、漢字では「左神」と書き、その名前の通り、お墓の左側に位置します。沖縄の納骨式では、まず左神(ヒジャイガミ)への祈願から始まります。
 
ヒジャイガミは左側ですが、拝む側からすると向かって右側に位置するお墓を守る土地神様で、ヒジャイガミ様への拝みでは、「今日は何のためにお墓にきたのか」その理由を報告します。
 
地域によってはお墓の敷地内に入る前に、入り口左側(向かって右側)に、ヒジュルウコー(冷たい平線香=火を付けていない平線香)を立てかけてから、ヒジャイガミ様へ向かって手を合わせ、右側(向かって左側)からお墓の敷地内へ入る…、と言う風習もありました。
 
けれども今では、敷地内に入る時には手を合わせるのみで、左側の足から入り(入る位置は同じく向かって左側)、最初にヒジャイガミ様の前で手を合わせる拝み方が一般的です。

 

【 沖縄のお墓にいらっしゃる「ヒジャイガミ」 】

■ 左神(ヒジャイガミ)は、言わば沖縄のお墓の守護神です。沖縄では納骨に限らず、お墓参りなど、全てのお墓事の際にまず祈願する神様でもあります。

 

・ 間違えやすいのがお墓の「左側」と言うことです。つまり、お墓に向かっている人間にとっては、向かって「右側」に左神(ヒジャイガミ)がいらっしゃる、と言うことになります。
 
→ ヒジャイガミ様への拝みでは、七夕(タナバタ)や清明祭(シーミー)など、その時々の御願の規模によって違いがありますが、小さな御願であれば、半紙を四つに千切ってさらに二つ折りにした「シルカビ」の上にヒジュルウコー(※)を拝し、拝む方法です。

 

沖縄で納骨やお墓参りをする際には、真ん中(故人やご先祖様)へ向かって手を合わせる前に、必ず向かって右側にいる左神(ヒジャイガミ)へ手を合わせてください。
 
ちなみに「シルカビ」は、「ウチカビ」がご先祖様へ届けるあの世のお金(おこずかい)であるのに対して、神様へのお金「税金」と言われています。
 
(※)ヒジュルウコーは沖縄言葉で「ヒジュル(冷たい)」「ウコー(線香)」で「冷たい線香…」、つまり、火を付けていない平線香(沖縄の線香で日本線香6本がくっ付いているような、板状のお線香)です。
 
本来は火を付けて拝むようでしたが、山火事などを恐れ、いつしかヒジュルウコーで拝む方法が主流になりました。
 
けれども十六日(ジュールクニチー)七夕(タナバタ)、今回のような納骨式などでは、火を付けて拝むことも多いです。
 
火を付けて拝む場合には、火が消えかけた頃にカビバーチ(※2)にヒラウコーを入れてお供え物のミジティ(水)を掛け、しっかりと消すようになりました。この時、「神様へ届ける」として、カビバーチには続けてウサギムン(お供え物)やお酒も入れます。
 
(※2)カビバーチ … 本来はウチカビ(=カビ)を焚くための鉢(=バーチ)で、金属ボウルの中に網がある形状が多いです。ホームセンターなどで販売しているカビバーチでは、火箸も付いていて、地方によっては「カニバーキ」などとも言いますが、どちらも同じです。

 

 

沖縄で納骨前に行う、ヒジャイガミへの祈願


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では沖縄の納骨式の前に行うヒジャイガミへの具体的な祈願は、どのように進められるのでしょうか。基本的にはヒジャイガミへのお供え物と拝み(ウートゥートゥー)です。
 
地域によっては神様へのお供えが詰められた「ビンシー」を準備して、ヒジャイガミ様の前へ広げることもあります。
 
沖縄の人々のなかにはこのビンシーを「あの世の実印」と言う方もいますが、実際には歴史は浅く、庶民を中心に浸透しました。そのために単純に持ち歩くのに便利な道具だとも捉えられます。
 
どちらにしても、何かとお供え物や御願道具が多い沖縄の納骨式であれば、ビンシーは便利かもしれません。
 
ただしこのビンシーはあくまでも神様へのお供え物を供えた御願道具です。そのため、このビンシーをそのままご先祖様へ向けた墓前へ供えることはありません。ただし、沖縄県南部地方など、一部地域ではご先祖様用のビンシーも共に持っている門中もあります。
 
(けれどもほとんどが昔から持っている家です。現代においてまた購入しようと思っても、このご先祖様用のビンシーはレアすぎて、手に入ることは難しいかもしれません。)

 

【 ヒジャイガミへのお供え物 】

■ 地域によって違いはありますが、基本的なお供え物は以下の通り。

・ 沖縄のお墓事に欠かせない重箱料理
・ ウチカビと線香
・ お酒
・ 水
・ ウチャトゥ(お茶)

 

重箱料理はおかず7品から9品の重箱と、おもち9個から15個のもの、それぞれひと箱ずつ用意する「カタシー」で大丈夫です。あの世のお金「ウチカビ」と、沖縄の納骨式では線香も「ヒラウコー」で拝みます。

 

 

墓を開けるべき人とは


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さらに沖縄の独自の文化として、沖縄のお墓を開ける人が決められている、と言うものがあります。故人の干支に「相(そう)」を合わせる必要があるのですが、実はこの相合わせ、地域によって大きく違う点がややこしい側面でもあります。

 

【 お墓を開ける「相(そう)の合った人」 】

■ 例えば沖縄のある地域では、故人の干支からの数えで判断し、交互に「フミ」と「ハナシ」とに分けられる風習があります。「フミ」はこの世に近く、「ハナシ」はあの世に連れて行かれやすい、とされるのです。

 

・ そのためこの地域では「ハナシ」がお墓を開けることは避けられます。つまり、「フミ」の干支に産まれた人がお墓を開けるのです。

 

とは言え「お墓を開ける」と言っても、実際にはカロートは重いので、石材店の業者が開けるもの…。儀式としてカロートをたたいたり、墓地の草をむしるなどをする役割です。

 

 

いかがでしたでしょうか、ここまでお伝えしましたが、本記事ではまだ沖縄の納骨式の始まりである、ヒジャイガミへの祈願までしか書かれていません。そのことからも分かるように、沖縄ではお墓事がとても大切なものとされているのです。

 

…とは言え、沖縄の納骨式に限らず、日本では仏教の教えを基本として、広い地域や人々の心のなかで、お墓やご先祖様を大切にしています。他の地域の風習が身に付いている時、新しい風習は複雑で難しくも感じますが、その基本の心は同じ。

 

もしも沖縄のお墓事に慣れていないのであれば、ご先祖様や神様を敬う気持ちを大切に、その行事の時々で分からないことは、素直に聞くことで、問題なく解決することも多いはず。

 

気負わず素直に、沖縄の納骨式を乗り越え、ひとつひとつの法事をこなしていきましょう。

 

まとめ

【沖縄の納骨式】ヒジャイガミへの祈願とは

・納骨式まで遺骨は自宅で供養する事例が多い
・葬列を組んでお墓まで見送る「野辺送り」(タビ)
・ヒジャイガミはお墓の左側にいる、お墓の守護神
・納骨の前にヒジャイガミにお供えをして拝む
・「相の合った人」がお墓を開ける



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