【沖縄の御願】マンションで行う、屋敷の拝み方
沖縄の御願では、ヒヌカンへの日々の拝みもありますよね。ヒヌカンは屋敷を守る神様への「お通し」をしてくれる火の神様で、沖縄の女性は御願を通して、日々の家内安全や健康を祈っています。
とても身近な存在であるヒヌカンや屋敷の神々、毎年旧暦二月・八月・十二月にはヒヌカンだけではなく、それぞれの神々に拝みを捧げて日ごろの感謝をお伝えするのが習わしです。
ただ、昔から続く沖縄の屋敷への御願は一戸建てでの拝みであるため、近年のマンションやアパート暮らしでは拝み方に戸惑う方も多いですよね。
そこで今回は、マンションやアパートなどの集合住宅で行う、屋敷の御願(ヤシチヌウグァン)の方法をお伝えします。ヒヌカンを仕立てていない家でもできる方法なので、ぜひ参考にしてください。
【沖縄の御願】
マンションで行う、屋敷の拝み方
沖縄の屋敷の御願とは
マンションなどで行う沖縄の屋敷の御願の前に、昔から伝わる屋敷の拝みについてお伝えします。
日ごろは屋敷の神々へ連絡をしてくれる、ヒヌカンへの拝みだけですが、毎年旧暦の二月・八月の他、年末となる旧暦十二月二十四日には、ヒヌカンの掃除とともに屋敷全体への拝みを行い、これが「ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)」です。
【 沖縄の御願、ヤシチヌウグァン 】
★ 屋敷には①ヒヌカンの他に、②ユンシヌカミ(四隅の神様)③ジョウヌカミ(門の神様)④フールヌカミ(トイレの神様)⑤ナカジンヌカミ(中陣の神様)がいます。
・ ヤシチヌウグァンの日は、毎月の拝みと同じくヒヌカンとお仏壇に最初に拝んだ後、これらの神々を回って拝むのです。
ただ、ジョウヌカミ(門の神様)は門前の神様なので庭に出て拝みます。
同じくユンシヌカミ(四隅の神様)は庭の東西南北の四隅、ナカジンヌカミ(中陣の神様)は、玄関と門の間で拝みを捧げるので、集合住宅には難しいと考える方も多いのではないでしょうか。
集合住宅で拝む「トゥパシラヌカミ(戸柱の神様)」
そこでマンションやアパートなどの集合住宅で、沖縄の御願の拝みの対象となるのが、「トゥシパラヌカミ(戸柱の神様)」です。
【 沖縄の御願、トゥシパラヌカミ 】
★ トゥシパラヌカミ(戸柱の神様)は、集合住宅に住む方々が多い現代、玄関を守る神様として家を見守っています。(昔は庭側の出入り口を守る神様として知られていました。)
・ そのため拝む時には玄関で行い、外側を拝みの対象としてセットし御願を行います。
集合住宅での沖縄の御願、お供え物
「集合住宅での」とお伝えしていますが、基本的には一般的なヤシチヌウグァン(屋敷の御願)でのお供え物と変わりありません。
ヒヌカンへのお供え物の他、屋敷の神々への拝みでは、携帯用の御願セット「ビンシー」で準備するのが理想的です。ただ、ビンシーのない家では「仮ビンシー」として、お盆に揃えれば問題ありません。
【 沖縄の御願、お供え物 】
① ヒヌカン …
お酒・洗い米・花米(一対)、ウチャヌク三飾り、果物の盛り合わせとシルカビを準備してください。ヒラウコーはタヒラと半分(お線香十二本と三本)です。
② トゥシパラヌカミ …
ビンシーにお酒と洗い米・花米を準備します。その他、ウチャヌクは二飾り、果物の盛り合わせとシルカビです。ヒラウコーはタヒラ(お線香は十二本)を用意してください。
トゥシパラヌカミ(戸柱の神様)へのグイス
沖縄では御願を行う際、「グイス」と呼ばれる言葉を唱えて拝みますが、ユタさんなどの唱えるグイスは覚えきれません。一般家庭では拝むグイスの内容や言葉同じく、細やかな部分は違ったりもします。
【 沖縄の御願、トゥシパラヌカミへのグイス 】
★ 「ウートートゥ トゥシパラヌカミガナシー、本日の果報な日に、○月の屋敷の拝みをいたします。」
・ 「ニヌファ(北)ウヌファ(東)、ウマヌファ(南)トゥイヌファ(西)、ジョウヌカミ(門の神様)フールヌカミ(トイレの神様)ナカジンヌカミ(中陣の神様)の神々様。
トゥシパラヌカミ(戸柱の神様)を通して拝みを捧げますので、どうぞお受け取りいただけますよう、よろしくお願いいたします。
神々の皆さまのお力で、この家の家族が皆、健やかに幸せに暮らしていけますよう、これからもどうぞお見守りください。」
…最後に「ウートートゥデービル」で締めくくります。
沖縄の御願で燃やすシルカビ
ヤシチヌウグァンでグイスを唱えたら、シルカビを燃やして一連の拝みは終わります。「シルカビ」は神様へ捧げるお金です。「税金」とも言われています。
【 沖縄の御願、神様に捧げるシルカビ 】
★ シルカビは漢字で書くと「白い紙」です。半紙を三枚重ねて縦半分に折り、さらに横に四つに折ったら、横の折り目に合わせて手でちぎってください。
・ グイスを唱え終えたら、このシルカビをボールなどの中で燃やして、煙にして天界へ届けます。
シルカビが燃え尽きたらお酒を掛けて(三滴)、ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)は終了です。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄の女性には馴染みの深い、沖縄の御願行事である「ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)」を、マンションやアパートで行う時の方法をお伝えしました。
トゥシパラヌカミ(戸柱の神様)は、集合住宅において、家を守る神々様へ「ウトゥシ(お通し)」をしてくれる存在です。そのため玄関へ向かってトゥシパラヌカミへ拝めば、他の屋敷の神々にも伝わります。
日ごろは毎月の一日と十五日にヒヌカンへ拝めば問題ありません。旧暦の二月と八月は、この一連の屋敷の御願を行ってください。
ただ、旧暦十二月の拝みは大切な沖縄の御願行事です。旧暦十二月二十四日~旧暦一月四日まで、ヒヌカンは天界へ帰り「ウティンヌカミ(天の神様)」へ一年の報告をします。
そのため旧暦十二月二十四日には、このヤシチヌウグァン(屋敷の御願)を終えた後、ヒヌカンを掃除して沖縄では「ウグァンヌトゥチ(御願解ち)」を行い、ヒヌカンをお見送りするのです。
ぜひ住む場所関係なく、日ごろの家内安全や健康を神々様へ感謝する沖縄の御願を行ってみてください。
まとめ
集合住宅で行う、屋敷の御願
・旧暦二月八月十二月に屋敷の神々へ拝む
・集合住宅では戸柱の神へ向かって拝む
・戸建ての時とお供え物は同じ
・戸柱の神を通して拝んでいる事を伝える
・グイスを唱えたらシルカビを燃やす
・旧暦十二月は二十四日に拝みを行う