【沖縄の御願】沖縄で旧正月1。ヒヌカン・お仏壇への拝み方
沖縄では旧暦で御願行事が行われるため、今では新暦の年末年始も祝われますが、旧正月も大切ですよね。2020年度の旧正月は1月25日(土)、一か月30日で構成される旧暦は、新暦とは大きくズレが生じます。
一か月以上の違いがあると戸惑いますが、糸満など今でも昔ながらの沖縄の御願行事が活発な地方では、新暦に飾った正月飾りを、旧正月まで飾り続ける光景も見られるほどです。
都心部の若い世代の核家族や、転勤などの移住者が多い地域では、旧正月の存在感は随分と薄れてきましたが、それでも若い世代にも馴染み深く、スーパーに行けば沖縄の旧正月御願のためのお供え物が、並びます。
せっかく沖縄にいるのなら、昔ながらの方法で丁寧に旧正月の沖縄の御願を行いたいですよね。そこで今回は、沖縄で馴染み深い御願、旧正月のヒヌカンとお仏壇への拝み方をお伝えします。
【沖縄の御願】沖縄で旧正月。
ヒヌカン・お仏壇への拝み方
沖縄の旧正月、供え物は元旦早朝?
沖縄ではヒヌカン(火の神)やお仏壇へは、トゥシヌユール(大晦日)にも供え物をして拝みますから、沖縄の旧正月の供え物は、元旦に行います。
【 沖縄の旧正月、供え物の流れ 】
① まず、若松を飾ります。門に一対、続いてヒヌカン(火の神)へ置いてください。
② お仏壇と床の間には南天(なんてん)などの縁起の良い、若木などを飾ります。
③ ヒヌカンへ沖縄の旧正月のお供え物をし、拝みを捧げます。(お供え物と拝み方は、以降の項目を参考にしてください。)
④ お仏壇へ移ります。トゥシヌユール(大晦日)の膳を下げ、沖縄の旧正月のお供え物をして拝んでください。(こちらも、以降の項目を参考にしてくださいね♪)
⑤ お仏壇で拝んだ際に火を付けたヒラウコーが燃え尽きる前に、お仏壇と床の間に「花米(カラミハナ・ハナグミ=※1)」を供えます。
※ こちらも供え方は後ほどお伝えします。
⑥ 床の間で、ウカリー(※2)の上に鏡餅を飾ってください。
…こちらが、ひと通りの沖縄の旧正月、供え物の流れです。家庭によって順番や勝手が違うかもしれませんが、沖縄の旧正月の供え物は、この形が多いのではないでしょうか。
(※1)の「花米」は、米びつの「お米」です。何もしていないお米を差しています。
(※2)の「ウカリー」は、上から赤・白・黄色の三色を重ねた、色紙です。沖縄の旧正月で、供え物の下に敷くなどして使います。
沖縄の旧正月、ヒヌカンの供え物
沖縄の旧正月はヒヌカンの供え物は独特かもしれません。上の絵を見ると分かりやすいので、見て確認しながら読んでみてください♪(簡単な絵でスミマセン)
【 沖縄の旧正月、ヒヌカンの供え物 】
① ウカリーの上にウチャヌク(※3)・昆布巻きの炭(※4)・みかんを置きます。→これを3セット。
② 赤ウブク(赤飯)を小さなお椀に3膳。
③ チャーギやクロトンなどの常緑樹を入れ替え、基本のお供え物として、若水(※5)、お酒、塩。
(※3)のウチャヌクは、白餅の三段重ねが一般的です。白餅自体はもち米を水で溶き、蒸して作ります。
(※4)の昆布巻きの炭は、今では旧正月前になるとスーパーで用意されていますね、コチラの写真が旧正月用の昆布巻きの炭です。
(※5)の「若水」は、元旦の朝一番に井戸で汲んだ、生命力を持つ新鮮な「水」です。ただ、今では井戸もないので、朝一番に用意したお水をお供えしてください。
ヒヌカンの拝み言葉
…ヒヌカンにはハレの膳(お祝いの膳)は供えません。地域や家によっては前項でお伝えした「花米」を供えることもあります。お供えをしたら、旧正月の御挨拶をしてください。
【 ヒヌカンへの旧正月の御挨拶 】
★「サリウートゥートゥ、ヒヌカンガナシー、
チューヤ〇〇トゥシヌ ウチナーショーグァッチ ナトービデー。
(あな尊きヒヌカンの神様、今日は○○年の旧正月です。)
お蔭様でこの家に住みます家族みな、無事に良い正月を迎えております。
新しい年も、家族みな、健やかに穏やかに過ごすことができますよう、そして果報訪れますよう、お見守りください。
ウートゥートゥ。」
ヒラウコー(沖縄線香)はタヒラ半の二枚と半分、日本線香では12本と3本を拝します。
床の間へのお供え物(ウサギムン)
基本的にはヒヌカンと床の間への沖縄の御願方法は同じですが、床の間の場合、ウカリー(御嘉利)の上に置いた、ウチャヌク・昆布巻きの炭・だいだいやみかんのセットが一セットであることが多くなります。
【 沖縄の御願、床の間 】
★ その他のお供え物もお酒と若水を用意すれば、大丈夫です。若水はお茶碗に入れて供え(ヒヌカンも同じ)てください。
・ ヒヌカンでは拝するヒラウコーはタヒラと半分ですが、床の間へはタヒラ(2枚)で問題ありません。
また、子どもが欲しい家などではウカリーの上に、子孫繁栄の意味合いを持つ「ターンム」料理を供えることも多いです。ちなみに「ターンム」とは田芋を指ています。
お仏壇へのお供え物
一方、お仏壇への旧正月のお飾りでは、お膳まで入るランチョンマットほどの大きさのウカリーを2セット用意し、その上に炭の昆布巻きとだいだい(みかん)を置いてください。
【 沖縄の御願、旧正月のお供え物 】
★ その下に膳に並べた赤飯とお祝いの料理をお供えしながら、日ごろの沖縄の御願のようにウチャトゥ(お茶)やお酒、供え花まで供します。
・ お祝い料理には、豚肉やシイタケ、かまぼこなど具がふんだんに入った汁物「イナムドゥチ」や、豚肉のごぼう巻、「よろこぶ(昆布)」でおめでたい、昆布の炒め煮「クーブイリチー」なども多いです。
旧正月のウチャトゥ(お茶)は、新年に初めて汲んだお水「若水」で入れ、供え花には菊の他、南天などでも問題ありません。
旧正月の沖縄の御願
以上のお供え物の準備ができたら、旧正月の拝みに入ります。
この初拝みは「ハチグァン(初御願)」や「タティウグァン(立御願)」、「ニントゥウグァン(年頭御願)=願立て」と、さまざまに呼ばれるようになりました。
【 沖縄の御願、旧正月の拝み 】
★ 拝む順番は多くの家で、ヒヌカン(火の神)→床の間→お仏壇となり、沖縄では三か所の御願を済ませた後に、「ウビナディ」を行います。
・ 「ウビナディ」とは若水を使った儀式で、中指に若水を付けて額に付けるものです。
若水や若木は「生命」の象徴とされ、特に若水は「若返りの水」とも言われています。そのため額に若水を付けることで、「若返る」…つまり健康になるとして、この儀式が行われます。
沖縄の旧正月、御願のグイス
他の沖縄の御願でも同じように、旧正月の拝みで不可欠なのが、家の女性による拝みの言葉、「グイス」です。心がこもっていて内容が合っていれば、家によって違いも多く、問題はありません。
【 沖縄の御願、旧正月のグイス 】
① ヒヌカン・床の間 …
「お陰様で今年も正月の日を迎えることができました。家族みな健やかにこの日を迎えることができ、ありがとうございます。
今日から始まる一年も、この家の者みな健やかに家庭円満に過ごすことができますよう、どうぞお見守りください。」
② 仏壇 …
「今日から始まる一年も、家族みな笑顔溢れ、幸せな日々となりますよう、ミィマンティー、ウタビリスーリー、ウートゥートゥ」
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄の旧正月の御願、ヒヌカンやお仏壇、床の間への正月飾りやお供え物の準備と、拝み方までお伝えしました。
ウカリーの上に乗せる三段の白もち「ウチャヌク」は、「お茶の子」の方言です。白い三段もちが基本なのですが、近年では沖縄の伝統菓子「ターナファンクルー」の茶色いウチャヌクも、スーパーで見かけることができます。
さらに炭の昆布巻きですが、沖縄では特に地方へ行くと、新暦のお正月を迎えた頃から、スーパーで見かける方が多いのではないでしょうか。小さく200円前後で購入できます。
旧正月に行う「ウビナディ」は、沖縄の御願ではあらゆる節目で行われる儀式で、出産後の赤ちゃんの額に、結婚式では新郎新婦の額に、「ウビナディ」をするのです。
初めての旧正月では何かと戸惑うかもしれませんが、一度経験をすると翌年からは沖縄スタイルの御願がスムーズになるはずですので、ぜひ一度、行ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
沖縄の旧正月の御願行事
・赤・黄色・白色の色紙を重ねた「ウカリー」
・炭の昆布巻き、だいだい、ウチャヌクを供える
・床の間にもお供えをして拝む
・ヒヌカン→床の間→お仏壇の順番で拝む
・若水を額に付ける儀式が「ウビナディ」
・炭の昆布巻きやウチャワキはスーパーで買える