お墓を建てる人々の不安や悩み。アンケートに見る優先順位
お墓を建てるにはそれなりの費用も掛かるだけに、決断までには不安や疑問もありますよね。改葬とは違い、新規でお墓を建てるとは言っても、それぞれに事情もあるのではないでしょうか。
ただ、お墓を建てることは日頃そんなに意識していないですから、いざお墓を建てる時になって、「何から手を付けて良いのか…。」と漠然と不安になる方も実は多くいます。
「お墓を建てる時に相談したいこと」や「現在のお墓の有無」、「お墓を建てる時の優先順位」などなど、周囲の人々の意識や意見も聞いておくと、自分達は気付かなかった所まで行き届きそうですよね。
そこで今回は、お墓を建てる人々に聞いたアンケートから、現代の傾向や意識したいポイントをお伝えします。
漠然としていた疑問や悩みも解消されるかもしれません。ぜひ、一読してみてください。
お墓を建てる人々の不安や悩み。
アンケートに見る優先順位
お墓の専門家に相談したいこと
「お墓の専門家に相談したいこと」のアンケートでは、霊園探しのアドバイスが30%、お墓の改葬(引越し)に関わる相談が25%と、大きな割合を占めていました。
続くお墓の修理や建て替えに関する相談でも、細かく書いていただくと「現在のお墓が老朽化しているのですが、修理・建て替え・改葬のどの方法を取ろうか迷っている。」と言う答えが多く見られます。
【 お墓を建てる、専門家に相談したいこと 】
① 霊園探しのアドバイスや紹介
② お墓の改葬(引越し)の方法
③ お墓の建て替え時期の判断
④ お墓の修理修繕の方法
⑤ お墓の管理がしきれない(お墓の掃除)
⑥ お寺との関係性
…の項目が挙げられました。
ここで、お墓の管理やお寺との関係性は全体の5%前後で、あまり多くの方が悩んでいる訳ではありません。
ただ、お寺との関係性に至っては、お墓を建てる前のアンケートよりも建てた後のアンケートで目立ちます。お寺は住職さんがいて、個人の個性が色濃く出ることもあるので、住職さんとの相性は大切です。
【 お墓を建てる、寺院墓地の場合 】
★ また、民間霊園や公営墓地などの場合は宗教色はありません(自由なことが多い)が、寺院墓地の場合には特定の宗旨宗派があります。
そこまであまり考えずに寺院墓地にお墓を建てることを決め、後で後悔する方や、改宗によって改葬(引越し)する事例もあるので、寺院墓地ならば事前の知識や理解を得てから決めてください。
お墓を建てる時に気を付けたいこと
次にお墓を建てる時の優先順位のアンケートでは、全体の40%もの方が「自宅からの距離」を挙げました。新しくお墓を建てると言っても、なかには改葬の方もいることも一因です。
お墓の改葬を検討している方々の多くが、「遠方に家墓があり、墓主として継承したものの、充分に管理ができない。」と言う悩みを挙げていました。
そうなれば、おのずと自宅からの距離にこだわることも頷けます。
【 お墓を建てる、最も高い優先順位 】
① 霊園の自宅からの距離、交通の便
② 予算に見合ったお墓
③ 霊園との相性
④ 霊園や霊園施設の様子
⑤ 周辺の環境(景観の良い場所)
…などの回答がありました。
今回は墓石を建てるごくごく一般的な「お墓」を検討している方々を対象としていますが、実は現在、自宅からの距離や交通の便を重要視している方はどんどん増加しています。
予算もひと昔前は600万円などを見積もっていましたが、現在では「できるだけ少ない予算で」お墓を建てることが重要(アンケートでは2位)です。
そのため都心部では、予算と優先順位(自宅からの距離と交通の便)を考慮し、お墓を建てずに納骨堂などに安置する家族も増えています。
家墓の現状
ひと昔前までは家の墓に入る方も多かったのですが、近年になって新規のお墓を建てる方が増えてきました。では、今までの家墓はどのような状況になっているのか、気になるところです。
【 お墓を建てる、現存の家墓の状況 】
① 次世代の継承者がいない(遠方)
② 誰も管理ができていない(遠方)
③ 寺院との関係が面倒
④ 自分が継承し、自宅近くに改葬したい
⑤ 夫の家墓があるが、入りたくない
⑥ 家墓はあるが、自分達家族で建てたい
…などなどがありました。
なかでも次世代の継承者がいないと答えた方は全体の約30%、管理ができていない方は30%と、継承や管理がスムーズに行われていない現状が浮き彫りになっています。
その後のお墓との関係性(全体の15%)も含めて、今ではお墓事や法事に関わる人間関係は希薄になり、「自分達だけのお墓」を建てる若い世代が増えているのです。
お墓を建てる時の希望
ひと昔前までは地元のお寺の住職さんと良い関係を保ち、周辺の家々との「隣組」でお手伝いをして、お寺の会場を借りて法事(三回忌や七回忌など)を、地域の皆で執り行ってきました。
けれども今の世代では、それぞれが都心部へ上京するなどして、地域の関係性も希薄になり、そもそも「隣組」の存在自体がなくなっている地方も少なくありません。
そして、昔ながらのお墓や法事の形を求めるシニア世代も少なくなりました。
【 お墓を建てる、希望する事柄 】
★ そのため近年では、ともかく「子や孫に余計な負担を掛けないようなお墓」を求める傾向が目立っています。
① ムリに供養を行わなくても良い(永代供養墓など)
② 後々の管理費が掛からない(一度の契約で済むお墓)
③ 管理者との関係性に悩まずに済む霊園
…などで解決しようとするシニア世代が増えてきました。
お墓を建てる決断の理由
ただ、形式的な法事や供養、人との関係性は希薄になりつつある一方、近年の特に都心部に住む若い世代の方々は、「思い立った時にフラっと立ち寄りたい。」と言う意見が目立つようになっています。
【 お墓を建てる若い世代 】
★ 「遠方にあるお墓を自分の暮らしの圏内に移して、気が向いた時に立ち寄れる、よりカジュアルなお墓にしたい。」とお墓を建てる方が増えました。
いかがでしたでしょうか、今回はお墓を建てる方々には興味深い、検討中の方々に行ったアンケートの内容をお伝えしました。世代によって目的や悩みは違うものの、「お墓」の存在自体は変化しつつあるのが分かります。
今の若い世代はお墓を「祖霊」として扱っている昔とは少し違い、生きている頃を偲ぶ「個人」としての認識がある方も多くなりました。
そのためか、家名が彫られた家墓よりも「愛」や「空」などと家名とは関係のない言葉を彫るお墓も増え、永代供養の広がりによって、個人が入るお墓も需要が高いです。
個人墓ではなくても、お墓を建てる仲間同士ではいる「墓友」や、夫婦それぞれのお墓を管理するための「共同墓」を墓じまいして、言葉のみの彫刻によって、家や血筋にこだわらないひとつのお墓に改葬する事例も見られます。
今はあらゆるお墓の悩みを解消する自由さがあります。ぜひこの機会に、悩みや不安が解消できるスタイルを選んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
現代のお墓選びの傾向とは
・霊園探しと改葬の相談をしたい方が多い
・自宅からの距離と予算が最優先事項
・家墓が遠方でお墓の管理ができない
・子や孫に負担のないお墓を希望する方が多い
・気軽にお参りできる環境を好む若い世代が多い