現代のハチナンカ(初七日)。施主が理解する5つの事柄
ハチナンカは漢字で書くと「初七日」、全国的にも行われる、葬儀後初めての焼香(法要)ですよね。沖縄ではハチナンカをはじめ、故人を弔う法要を「スーコー(焼香)」と呼び、独自の慣習を持っています。
けれども全国的に広がる葬儀社に依頼するようになり、都心部を中心に、沖縄のハチナンカも少しずつ変化してきました。
けれども施主としては、家族を亡くして初めてのことばかりですので、「何を選択したら良いのか…」迷いますよね。そこで今日は、現代のハチナンカで施主が理解したい、5つの事柄をお伝えします。
現代のハチナンカ(初七日)。
施主が理解する5つの事柄
ハチナンカの数え方
沖縄の昔ながらのスーコーでは、ハチナンカから始まる四十九日までの「ナンカスーコー(週忌焼香)」が執り行われてきました。
「初七日」と書くだけに「七日目」に行うのがハチナンカなのですが、日ごろあまり関わらない弔事だけに勘違いが多いのが、ハチナンカとナンカスーコーの数え方です。
【 ハチナンカの数え方 】
★ ハチナンカは故人のご臨終の日を含めた「七日目」を差します。葬儀から七日目…などの勘違いもありますが、ご臨終の日を基準にしてください。
・ ですから、仮に3月10日にご臨終を迎えると、翌日3月11日にお通夜・3月12日に葬儀を行ったとしても、数え始めは3月10日となり、3月10日を一日目として計算します。
一方、翌週のナンカスーコーとなる「タナンカ(二七日)」は、ハチナンカの焼香の翌日を一日目として数えるので、一日ずれるんです。
【 前述の事例(3月10日にご臨終)の場合 】
・ 3月10日 … ご臨終
・ 3月11日 … お通夜
・ 3月12日 … 葬儀(沖縄では)納骨式
・ 3月16日 … ハチナンカ(初七日)
・ 3月23日 … タナンカ(二七日)
…このような流れになります。
「四十九日までは毎週スーコーがあるのか…」と感じる方もいるかもしれませんが、タナンカに当たる偶数週は、身内のみで執り行うスーコーですので、規模も小さいです。
増えて来た「繰り上げ(繰り下げ)初七日」
ここで全国的な初七日では、「繰り上げ初七日」もしくは「繰り下げ初七日」の需要が高まっています。そのため沖縄でも、繰り上げ・繰り下げ初七日を検討する家が、都心部を中心に増えてきました。
【 繰り上げ初七日・繰り下げ初七日 】
① 繰り上げ初七日 … 「初七日法要を繰り上げる」ことを差し、葬儀当日に行われることが多いです。
② 繰り下げ初七日 … 「初七日法要を繰り下げる」ことを差し、次の法要(全国的には四十九日が多いです。)で一緒に行われます。
都心部でこの繰り上げ・繰り下げ初七日を選択する家では、ハチナンカはもちろん、四十九日までのナンカスーコーも繰り上げ・繰り下げるケースが増えてきました。
【 沖縄でのハチナンカ焼香の考え方 】
★ 家や地域によっても違いますが、スーコーの日にちをずらすなら、「後日に」行うことが好まれます。
・ 一方、全国的には法要の日にちをずらす場合には、「前に」行うことが好まれるので正反対になるため、注意が必要です。
ハチナンカで祭壇を片付ける
ハチナンカはお通夜・葬儀から続く法要でも、ひとつの区切り目となります。…と言うのも、ハチナンカの翌日には、祭壇を片付けるからです。
【 祭壇片付けと後飾り 】
★ ハチナンカの翌日に遺影を残して、祭壇は片付け、後飾りを配置します。
・ 後飾りでは四十九日までの仮の位牌である「シルイフェー(白位牌)」を置き、その他に供え花とウコール(香炉)、果物の盛り合わせを一対置いてください。
多くのケースで葬儀社が後飾りまで用意してくれます。
ハチナンカの供養、施主の選択
昔ながらの沖縄のハチナンカでは、施主や親類のユタさんの御願儀礼を行う家が多かったものの、近年では全国的な慣習に倣い、お坊さんを呼ぶ事例が増えてきました。
【 ハチナンカで読経供養 】
★ 檀家制度のない沖縄では、葬儀社からの紹介でお坊さんを手配したり、近所のお寺のお坊さんに依頼することが多いです。
ただ、お坊さんに読経供養をする場合、施主としてはまた違う準備をする必要があります。
【 ハチナンカにお坊さんを呼ぶ場合 】
★ お坊さんへは「お布施」を渡してください。
・ お坊さんへ読経供養を依頼するなら、「お布施」をお渡ししなければなりません。金額に決まりがなく戸惑う方も多いですが、3万円前後が目安です。
お坊さんへはお布施の他にも、状況によって「お車代」や「御膳料」をお渡しします。家まで来てもらうなら「お車代」、お食事にお招きして辞退されたら「御膳料」をお渡ししてください。
変化も見られる、ハチナンカのお供え物
また、沖縄ではお供え物に豚や魚を出しますが、読経供養を依頼するなら、(仏教ですから)お坊さんによっては精進料理にこだわることもあります。特に、おもてなしにお出しするお膳は、精進料理が好まれます。
【 ハチナンカのお供え物の変化 】
★ 昔ながらのお供え物は、昔の時代では御馳走でしたが、現代ではウサンデー(お下がり)せず、そのまま残ってしまうことも多くなりました。
・ そのため、規模が小さければ皆が食べるような御馳走をお重に詰めたり、そうでない場合には、「お供えとは別に」焼香客へふるまい膳や折詰を準備することが定番になっています。
いかがでしたでしょうか、今日は近年変わりつつある沖縄のハチナンカについてお伝えしました。特に那覇市の都心部では、全国的な法要の慣習に倣う家が多くなりつつあります。
特にお坊さんによる読経供養は、葬儀社が積極的に手配することもあり、那覇市都心部では80%以上の事例で選ばれるようになりました。
ただ地方では、まだまだ沖縄の昔ながらの葬儀・スーコーが続けられ、ウフナンカでは焼香客が多く訪れる家が多いです。
まとめ
ハチナンカの基礎知識
・ご臨終の日から七日目がハチナンカ
・ハチナンカの翌日から七日目がタナンカ
・ハチナンカで祭壇を片付け後飾りになる
・供養は御願で行う家、読経供養の家もある
・ふるまい料理はお供えとは別に準備する
・現代の嗜好に合わせたお供え料理もある