遠い沖縄のお墓を引き継ぐ。遠方でも継承した体験談とは
遠い沖縄のお墓を継承しなければならない…、そんな子ども世代が増えてきましたよね。少し前のお墓の継承問題が解決されないまま、両親が高齢になって、管理が難しくなった事例などです。
今、沖縄では高齢になった墓主による墓じまいの依頼が増えています。「今まで守ってきたお墓を無縁仏化したくない。」「子どもや孫にお墓の継承問題で負担を掛けたくない。」と言う想いから、自分で墓じまいを決断することが多いのです。
ただこれは、終活などに興味のある高齢の人々が中心で、一般的には遠い沖縄でもお墓の継承問題が解消されないまま、うやむやに時を過ごしてきた家庭が多いのではないでしょうか。
そうなると突然、遠い沖縄のお墓を継承して戸惑う子ども世代も多いですよね。そこで今回は、遠い沖縄のお墓を突然継承しなければならなくなった、いくつかの体験談をお伝えします。
遠い沖縄のお墓を引き継ぐ。
遠方でも継承した体験談とは
個人墓地のお墓は、掃除・お参り代行
遠い沖縄のお墓を継承した体験談では、多くがその時を突然に迎えていました。何となくは理解していたものの、うやむやにしたまま時は流れ、親の死によって突然表面化するためです。
そんな時、後半はお墓参りもままならないケースも多く、いざお墓を見に行くと草木が茂り、個人ではどうにもできないほど荒れていることもあります。
【 遠い沖縄のお墓を継承、お墓の掃除代行 】
★ これはAさんの体験談です。突然母親が亡くなり納骨準備のために辺境にあるお墓まで足を運んだところ、お墓の扉さえ見えないほど草木に覆われていました。
・ そのため母親の納骨は一度延期し、お墓の掃除代行を依頼しました。父親の納骨から10年、後半は沖縄に残る親族も高齢になり、集まれないまま家のお仏壇で供養をしていたのです。
Aさんは無事に母親の遺骨を納骨し、本州へ帰省しました。その後も、お墓参り行事などで帰れる時には帰省するものの、家族も増えてなかなか毎年コンスタントに帰省することはできません。
そこでお墓の掃除やお参り代行業者に定期的に依頼してお墓を管理してもらい、帰省できない時には自宅のお仏壇で供養をしています。
個人墓地から霊園へ改葬する
前項のようにお墓の見る影もないほど墓地が荒れるのは、遠い沖縄のお墓で、立地条件が悪かったためでもあります。昔から続く沖縄のお墓は辺境にあることも多いため、高齢になると足場が悪くお参りに行けなかったのです。
そのため、遠い沖縄のお墓を継承した後、そもそもその環境を変えようと親族にも了解を得て、個人墓地から霊園へ改葬する事例があります。この方法は最近増えている選択です。
【 遠い沖縄のお墓を継承、霊園に改葬 】
★ 沖縄では霊園は新参者で、約20年前後前までは集合墓地と言えば公営墓地くらいでした。けれども新しく民間霊園が増えてから、個人墓地からの改葬相談が増えています。
・ 霊園にお墓を改葬すると、その施設によりサービスはさまざまですが、最近では「永代供養」を付加してくれることが多いです。永代供養は子どもや孫に代わって永代に渡り管理や供養をしてくれるシステムで、遠方の墓主にはとても助かります。
施設管理者に依頼するので、沖縄に残る高齢の親族にも大きな負担を掛けません。親族や門中でお金を出し合い管理費(施設によって異なりますが、年間1万円台~5万円台)を毎年出して、日々の管理や供養をお願いするのです。
門中墓の行事は持ち回り
大きな門中墓の場合、遠い沖縄のお墓を継承することは大変です。人数が多くなればなるほど、多くの意見がありますし、墓主は一年に数多くある年中行事の度に、多くの人々をもてなさなければなりません。
【 遠い沖縄のお墓を継承、形だけ引き継ぐ 】
★ C子さんの旦那様は長男で、親族の強い願いがあり、本州に住みながら遠い沖縄のお墓とお位牌を引き継ぎました。ただ形だけ引き継いだものの、実際の日々の管理は、沖縄に住む次男一家が行っています。
・ けれどもいざ引き継いでみると、年中行事で帰省しても次男のお嫁さんとのトラブルが絶えません。ただよく考えてみれば、日々の管理や行事の負担が、全て次男のお嫁さんに向かっているので当然です。
そのため門中で相談し、一年の行事の主催やお墓の管理は毎年の持ち回りとしました。兄弟や親族含めて、持ち回りをすれば10年に1度です。ですからこの年だけ家族で長期帰省をして、年中行事の準備をします。
さらに門中で集まるお墓参り行事は、年に1回のみとしました。昔ながらの伝統行事が少なくなるのは残念ですが、これでお仏壇のある家に住む、次男のお嫁さんの負担を軽減できるようになりました。
お位牌も一緒に永代供養
前項で次男一家がお仏壇のある実家に住んでいるのは、高齢の親族がC子さん一家が、お位牌を持ち出して継承することを反対したからです。また、霊園に改葬したB子さんの事例でも、お位牌(トートーメー)の県外への持ち出しが問題になりました。
とは言ってもC子さんは次男夫婦がお仏壇を預かってくれたものの、B子さんのケースでは、他にお仏壇を預けられる親族はいません。両親が亡くなり、実家自体も売却することになりました。
【 遠い沖縄のお墓を継承、お位牌も永代供養 】
★ そこでB子さんは、お位牌も霊園施設で永代供養を行うことにします。
・ お焚き上げではなく永代供養なので、家のスペースにお位牌が残るため、年間行事の際にはお墓と同じようにお位牌にもお参りに行くのです。
これで親族の誰にも迷惑を掛けることなく、必要な拝み行事の際にはお墓参りと同じように供養ができるようになりました。
日ごろは自宅に小さな仏壇を作り、そこに向かって拝みを捧げています。
いかがでしたでしょうか、今回は遠い沖縄のお墓を突然継承しなければならなくなった経験談から、参考になるいくつかの事例をお伝えしました。
何千人もの門中がいるお墓などでは、継承問題に悩むこともないかもしれませんが、小規模な門中墓などになると継承問題は深刻です。特に沖縄では女性や父方の血を引かない養子などは継承が難しく、引き継げる者が限られてきます。
けれども最近では、沖縄でも継承に寛容な門中が増えてきました。女性でもお墓やお位牌を引き継いでいたり、「子どもの世代まで預かり(アジカイグァンス)」として、女性が一時的に管理している門中も多いです。
無縁仏にせず大切に供養を続けるためにも、ぜひ誰もがムリのない方法を探してみてはいかがでしょうか。
まとめ
遠方のお墓を継承した体験談
・お墓の掃除代行を定期的に利用
・霊園へ改葬して永代供養を付加
・年中行事の主催は門中で持ち回り
・位牌もお墓と一緒に永代供養
・継承の条件がだんだんと寛容になっている