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火の神(ヒヌカン)は本州にもいる?沖縄との違いとは

火の神(ヒヌカン)は本州にもいる?沖縄との違いとは
沖縄では火の神(ヒヌカン)はどこ家の台所にもいる、身近な神様ですよね。火の神(ヒヌカン)の存在を知り、興味を示す本州の方々は少なくありません。
 
一方、本州では神社はあるものの、日々の暮らしでは仏教が浸透しているため、火の神(ヒヌカン)を知らない方が多くなりました。けれども、本州にも火の神(ヒヌカン)がいる…、と聞けば、興味深いですよね。
 
そこで今日は、本州でもいる火の神(ヒヌカン)についてお伝えします。
 



 

火の神(ヒヌカン)は本州にもいる?
沖縄との違い

 

ヒヌカンは琉球独自の信仰だけど…


沖縄の信仰は「琉球神道」とも言われ、独自の世界観を持っていて、そのなかには超自然の神々の国である「ニライカナイ」が海の底にあります。
 

【 沖縄の「ヒヌカン」自体は独自のもの 】
 
★ 沖縄の火の神である「ヒヌカン」は台所を司る「かまどの神」ですが、もうひとつの役割があります。
 
・ それがニライカナイの神々との連絡係である「ウトゥーシドクル(お通し処)」です。

 

このような沖縄独自の信仰まで考えると、沖縄の火の神(ヒヌカン)は、独自の神様と言えます。ただ「琉球神道」とあるように、日本に昔から伝わる「神道」と沖縄の信仰は、似通っている部分も多いのです。
 
そのなかで日本の神道では、火を司る神様が存在します。
 

 

日本に広がる「火の神」とは


本州の昔ながらの信仰を見て行くと、民衆信仰に見る「火の神」と、神道における「火の神」がいます。このなかで沖縄のヒヌカンの存在に近い「火の神」は、「かまどの神様」ではないでしょうか。
 

【 日本に広がる「かまどの神様」信仰 】
 
・ 関東から東北地方に広がる「おかまさま」
・ 近畿地方が中心の「三宝荒神(さんぼうこうじん)」
・ 日本西方に広がる「ドクウサマ」「ロックウサン」
 
…などがこれに当たります。

 

このなかで最も全国的に広がっている火の神様が「三宝荒神(さんぼうこうじん)」で、一般的にはそのまま「竈(かまど)の神」と呼ばれています。
 

 

神道に伝わる「火の神」


神道で言えば、ヒヌカンに当たる神様に「火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)」がおり、こちらも火事を防ぐ神様としてお札などで祀られることがあります。
 

【 神道に伝わる、「火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)」 】
 
★ 「火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)」は「軻遇突智神(かぐつちのかみ)」とも言われ、古事記にも日本書紀にも登場します。
 
・ 日本開闢の祖である夫婦神、イザナミ・イザナキは有名ですが、イザナミが最後に産み落とした神様が、この火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)です。

 

火の神である火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を産み落としたことで、イザナミは陰部を火傷し、亡くなってしまうことがきっかけで、黄泉の国を司る神様となります。
 

★ かまどの神様と同様、家庭の台所に祀られることもありますが、どちらかと言えば、より大きな火災などの大事から家を守る印象の強い神様です。

 

 

全国に広がる「三宝荒神(さんぼうこうじん)」


「三宝荒神」の「三宝」は仏・法・僧とされ、もともとは悪人や罪を罰する神様です。罪を裁くことで信心深い人々を守ります。
 

【 火の神「三宝荒神」の性格 】
 
★ この不浄を嫌う正義と、悪人を罰する時の激しい忿怒(ふんぬ)の形相から「火の神」とされるようになりました。
 
・ そのため「三宝荒神」は名前の通り「荒ぶる神様」として有名なので、「荒神(こうじん)様」が愛称です。

 

「荒神様の前で悪口・陰口をたたいてはならない」とか、「荒神様(かまど)を粗雑に扱ってはならない」などと言い伝えられてきました。沖縄のヒヌカンもその前で愚痴や悪口は厳禁な点が共通しています。
 

 

祟りが起きる「ドグウサマ」、穏やかな「おかまさま」


同じように「ドグウサマ」も「かまど(台所)を汚すと祟りが起きる」と言い伝えられてきた神様です。もともとドグウサマは陰陽道の「土公神(どこうじん)」でした。土公神は土を担う神様です。
 

【 穏やかな火の神「おかまさま」 】
 
★ そんななかでホッとする穏やかな「母」のような神様が、「おかまさま」で、正に昔ながらの女性であり、家を守る存在として、主婦に寄り添ってきました。
 
・ 神話では神様が一同に出雲に会するために神々がいなくなる「神無月」にも、おかまさまは家に残り、その不在を守るとされています。

 
 

 

いかがでしたでしょうか、今日は沖縄の御願文化の主軸ともなっているヒヌカンにまつわり、全国的に広がる日本の「火の神」についてお伝えしました。
 
例えば前述した荒神様では、奥津比売(おきつひめ)奥津日子(おきつひこ)の二神を祀ります。沖縄のヒヌカンは独特で、全国的にはコンロ(かまど)の近くに神棚を設け、お札を祀る方法が一般的です。
 
ただ、沖縄同様に独自の文化を辿る地域が東北のとある地域にあり、そこではお面が祀られるのだとか…。「かまぼとけ」「ひおとこ」と呼ばれ、「ひおとこ(火男)」は「ひょっとこ」の語源であるように、格好悪い表情が特徴です。
 

 

まとめ

全国の「火の神」とは

・沖縄のヒヌカンは独自のもの
・全国的には「おかまさま」「荒神」「ドグウサマ」
・神道では「火之迦具土神」がいる
・荒神様は正義感が強く、厳しい神様
・ドグウサマを粗雑に扱うと祟りが起きる
・おかまさまは主婦に寄り添った穏やかな神様
・荒神様では、奥津比売と 奥津日子を祀る
・格好悪い表情の「ひおとこ」の面を祀る地域もある



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