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【沖縄の御願】ヒヌカンは女性か男性か…、5つの説とは

【沖縄の御願】ヒヌカンは女性か男性か…、5つの説とは
ヒヌカンは沖縄では、昔から馴染みの深い神様ですが、意外にもその性別を気にする方は少ないですよね。
 
聞いてみると「何となく女性と思ってきたけれど、ハッキリとは分からない。」と答える方が多いです。調べてみると、実際に性別は曖昧で、さまざまな説がありました。
 
日々の拝みでイメージするためにも、どのような姿なのか…、言われてみれば気になりますよね。そこで今日は、ヒヌカンの性別に関する5つの説をお伝えします。
 



 

【沖縄の御願】ヒヌカンは女性か男性か…、
5つの説とは

 

ヒヌカンは「太陽」


ヒヌカンの始まりは、「太陽」だったと言う説です。その昔の人々は稲穂や水など、地上の生命の源は太陽による恵みとして、日々拝んできました。
 

【 ヒヌカンの始まりは太陽 】
 
★ 特に沖縄の人々が、その昔「神様」としてきたものは、日の出の太陽でした。
 
・ 遠く東方面から、黄金雲(くがにぐも)を縫って現れる太陽の光の先を「太陽が穴(てぃだがあな)」と呼び、ニライカナイがあると信じてきたのです。

 

「ニライカナイ」とは神々の住む世界で、民衆信仰と研究者の見解では違いがあるものの、亡き人々の魂もニライカナイへ行くとされてきました。
 
その太陽が身近なものとして現れた姿が「炎」とされ、「ヒヌカン(火の神)」へと変化します。
 

 

ヒヌカンは「女性」


ヒヌカンは台所(かまど)の神様であり、多くの地域で女性がヒヌカンへ拝みを捧げてきたため、「女性神」とする人々も多いです。
 
「根拠は知らないけれど…」と言う方が多いのですが、調べてみると、確かに「ヒヌカンは女性」と判断できる文献があります。
 

【 ヒヌカンは女性説 】
 
★ その昔、沖縄の古語ではヒヌカンを「せるまま」と呼んでいました。正式には「アガグチャ ジルマァ(せるまま)」です。
 
・ この「まま」は娘を表す言葉で、「せる」はディル=炉を意味する言葉なので、「炉の娘」となります。 

 

これは古書「中里間切旧記」などで見受けられ「腰の細いジルマァ」との記載がありました。
 
…この呼び名から判断できるのが「ヒヌカンは女性」説です。これは南城市佐敷や宮古島で聞かれます。
 

 

ヒヌカンは「夫婦神」


中国のかまどの神様

一方、同じ宮古島地方でも狩俣地方ではヒヌカンを一神ではなく、夫婦の二神一対説があります。
 

【 ヒヌカンは夫婦説 】
 
★ 「ヒヌカンは天の神様へ家の悪事も報告する」とする、恐ろしい一面を持っていますが、これは中国のかまどの神の影響とされてきました。
 
・ その中国の「かまど神」は夫婦神として、絵にも描かれています。

 

…ただし、沖縄県で夫婦神と伝わる地域はこの狩俣地方のみ…、あまり広く伝わる説ではありません。
 

 

ヒヌカンは「兄弟神」


さらに首里(那覇市)や北部の一部地域では、ヒヌカンを三人兄弟とする説もあります。
 

【 ヒヌカンは兄弟説 】
 
★ 三人兄弟の由来は、もともとヒヌカンがかまどの三つの石を祀っていたことからです。
 
・ 一人は女性神、残る二人は男性神としています。

 

 

ヒヌカンは「男性」


最後にごくごく少数ですが、ヒヌカンを男性神とする声もありました。これは、沖縄の昔話を根拠としています。その昔話はコチラです。
 

【 ヒヌカンは男性説 】
 
★ その昔、仲睦まじい夫婦がおりましたが、妻の食事を「まずい!」と言って喧嘩に発展、とうとう別れることになりました。
 
・ 別れた後、男性は暮らしがどんどん困窮、女性は新たな男性と再婚します。

 

そしてある日、困窮した男性はとある家で食事を恵んでもらいましたが、その家は、女性の再婚した家だったのです。 
 
男性は気づかないまま食事を「美味しい、美味しい」といただきました。
 

【 ヒヌカンは男性説:元妻の告白 】
 
★ そこで女性は男性に、自分は元妻であることを告白し、「今は美味しく食べるのに、どうして昔は食べなかったんだ。」と責めました。
 
・ 驚きすぎた男性は息を引き取り、慌てた元妻はかまどの下に「神様になってください」と男性を埋めたのだそうです。

 
 

 

いかがでしたでしょうか、今日はヒヌカンは男性か女性か…について、ささやかれるいくつかの説についてお伝えしました。
 
…とは言え、沖縄では祭祀を女性が主だって行ってきたこと、また、沖縄では「姉妹神(オナリ神)」信仰があること、ヒヌカンを拝む役目は女性が担ってきたことなどから、女性をイメージする方が多いです。
 
男性や夫婦神、兄弟神とする地域はごくごく一部なのですが、興味深い文献ではないでしょうか。
 
ヒヌカンはトートーメーと並んで大きな沖縄の信仰の柱ですが、実際には「ヒヌカンの性別まで、日ごろ気にしない」とする方々が多いです。
 
 

まとめ

ヒヌカンの性別にまつわる説とは

・ヒヌカンはもともと太陽信仰から産まれた
・ヒヌカンの古語「せるまま」から女性神
・中国のかまどの神から、夫婦神説
・ヒヌカンの古い姿、三つの石から三人兄弟説
・古く伝わる昔話から、ヒヌカンは男性説
・実際にはヒヌカンの性別をあまり気にしない



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