お墓の文字は消せる?業者が答える3つの方法と豆知識
「お墓に彫った文字を消したい。」なんて、「そんな依頼は珍しいのではないか?」と思いますよね。確かにお墓の建立や改葬、お墓に文字を単純に彫る依頼と比較すればごく僅かです。
けれども、昔はめったになかった依頼と言うイメージだったものが、近年では一年に一度、二度は相談されるようになった…、と言う石材業者が増えました。
この背景には、若い世代の離婚率の増加やお墓の継承問題が思う以上に難航している…、などの理由もあるのかもしれません。
お墓にすでに彫った文字を消せれば良いけれど、ピンと来ませんし、ちゃんとキレイに跡形なく消えるのかも疑問に思う方は多いですよね。
そこで今回は、お墓にすでに彫った文字を消したい方に役立つ、5つの豆知識をお伝えします。
お墓の文字は消せる?
業者が答える3つの方法と豆知識
お墓の文字を消したい理由
そもそも「どうしてお墓の文字を消したいの?」と思う方も多いかもしれません。
永代に渡り残したい、残すべきだからこそ、お墓に文字を彫るものですが、「消したい!」と思う背景には聞いて納得の理由があります。
【 お墓の文字を消したい、多い理由 】
① 共同建立者の離婚 …
・ 夫婦でお墓を建てた後に離婚し、夫(もしくは妻)がそのお墓と無縁になったケースや、息子(娘)夫婦を建立者として彫ったものの、息子(娘)夫婦が離婚したケースなどがあります。
② 文字の間違え …
・ 「え!」と思う方も多いのですが、単純に文字間違え…なんてこともしばしばあります。石材屋さんは原稿をもらって作業をしますので、原稿に抜けのないよう、しっかりとチェックしてください。
③ 代が変わったことによる疎遠 …
・ 先祖代々墓などでは時に家族だけではなく、親族を同じお墓に埋葬することがありました。けれども息子の世代になって、お互いの家が疎遠になり、納骨していた遺骨を取り出すこともあります。
つまり、納骨時には埋葬した故人の没年月日や享年、俗名(生前の名前)などを四十九日を目途に彫りますが、その故人が独立して改葬(お墓の引越し)をするために、その部分を消したい、という依頼です。
単純な文字間違えは驚く方も多いですが、石材業者では没年月日など細かな情報は依頼者からしか分かりません。チェックしたくてもできない事項なのです。
さらに、四十九日に納骨しなければならない…と、急いでお墓に文字を彫刻すると、葬儀などで疲れているなかで手続きをしますので、思わぬ間違えが起きることもあります。
お墓の文字を消す、三つの方法
このお墓の文字を消すには、依頼者のこだわりや予算から選ぶ、三つの方法があります。
手間暇などが掛かればお金はもちろん掛かりますがしっかり消え、予算が掛からない方法ではうっすら見えたりしますので、予算と希望でバランスを取って選んでください。
【 お墓の文字を消す、三つの方法とは 】
① 消したい文字の部分を削る … お墓を一度持ち帰り、彫っている部分を削って、再度彫る方法です。
② 墓石ごと交換する … 上部の墓石のみを交換して、彫り直します。
③ パテで埋める … 彫った部分をパテで埋める、簡易的な方法となります。
…この三つの方法がありますが、それぞれにメリットデメリットがあることは否めません。最もキレイに仕上がるのは②の墓石を変える方法ですが、まず、コストが掛かります。
さらに昔の墓石だった場合などは特にあり得ることですが、同じ墓石が見つからない場合には、違う石材で処理しなければなりません。そこがクリアできれば、最もキレイ且つ安全な方法です。
★ これは墓石の種類によって金額に幅があります。(建立時に質の良い墓石を選んだのなら、それなりの金額です。)他の方法と比べて、金額は2倍以上は高くなると思ってください。
お墓を削って文字を消す
続いてキレイに仕上がる方法がお墓の文字を側面から削る方法ですが、やはり削るので、その前の形と縦横の比率が変わることは否めません。
気になると「ちょっと細いな…。」と気になってしまうかもしれませんが、そこをクリアすれば墓石ごと交換する場合よりも格安ではあります。
【 お墓の文字を削って消す 】
★ また、お墓を削るので新しく削れた側面はピッカピカ!…一方他の側面は経年劣化が進んでいるため、差が激しいこともあるかもしれません。
・ このお墓の文字を削って消す作業は、一度業者に持ち帰って行われます。面を削ったら磨きを掛け、新たに彫刻をしなおして元に戻す工程で、20万円~50万円前後が目安です。
金額の幅は削り面の深さなどが影響します。お墓には浅彫りと深彫りがありますが、深彫りなら当然削る面も厚く、浅彫りなら薄くなるので、考慮してください。
お墓の文字をパテで埋める
一方、簡易的な方法として、お墓に彫った文字をパテで埋めることもできます。ただこれは、時間が経つと目立つ傾向があり、「応急処置」として利用することをおすすめします。
【 お墓の文字をパテで消す 】
★ 削って消す場合には、消す人数×○○万円で金額がきまるのですが、パテで消す場合には、文字数で金額を出していきます。それでも全部で数万円の範疇です。
・ 前項でお伝えしたお墓の文字を削る方法では、黒御影石のテカリ具合が目立つのですが、パテで埋める場合にはこの黒御影石が向いています。
ただし、反対に考えると白御影石はパテで埋めると目立ちやすい(削るなら白御影石の方が目立たない)、と言うことになるので、石材まで注意して消し方を選んでください。
いかがでしたでしょうか、今回はすでにお墓に彫った文字を消すことができるのか、その方法や詳細と金額をお伝えしました。「お墓の文字を消す」なんて普段は思いも付きませんが、相談は増えています。
また、墓石をまるまる新しいものに変える場合には、同じ石材はあったとしても、石目が合わない可能性もあることも、理解しておくと安心です。
最初の墓石はセットで、ひとつの石から加工していることが多いため、石目が合わないことが起こりやすくなります。
さらに墓石を取り換えたり、墓石を削ってお墓の文字を消す場合には、「仏石」でもある墓石を移動することになりますから、キチンとした供養も必要です。
読経供養をして手を合わせ作業に移りますが、読経供養の際にはお坊さんへのお布施も必要ですので、予算に入れて計画を立ててください。
まとめ
お墓の文字を消す方法と費用の目安
・建立者の離婚などが原因の依頼が多い
・お墓の文字を消すには三つの方法がある
・墓石をまるごと変える方法は金額も高い
・お墓を削る方法は20万円~50万円が目安
・パテで埋める方法は安いが応急処置