ハチナンカの拝み方③。帰宅後、霊前でのグイスとは
ハチナンカ(初七日)は沖縄では、自分達で拝みをして供養をする家も多いですよね。
全国的には初七日法要と言えば、お坊さんを読んで読経供養を行うものですが、沖縄では都心部を中心に読経供養が定番となりつつあるものの、昔ながらのハチナンカでは家長(施主)の拝みや親族のユタさんが供養する家もあります。
そんなハチナンカは沖縄に限らず、全国的にも大きなスーコー(焼香=法要)ですから、丁寧に行いたいですよね。そこで今日は自宅、霊前で拝む際の言葉、「グイス」をお伝えします。
ハチナンカの拝み方②。
帰宅後、霊前でのグイスとは
霊前で拝むタイミング
沖縄ではハチナンカの日は、早朝から家族でお墓参りをして、故人にハチナンカの案内を掛けます。(昔ながらの沖縄の慣習では、葬儀当日の納骨が多いため、ハチナンカの日には故人はお墓にいます。)
帰宅後に霊前にお供え物をして準備しますが、この後からが、焼香客が訪れる本格的なスーコー(焼香)です。
【 ハチナンカで供養の拝みをするタイミング 】
★ ハチナンカのスーコーが始まったら、最初に施主(家長)が供養の拝みを捧げ、身内でウチカビまで焚いてしまってから、焼香客の焼香へと移ってください。
・ ウチカビを焚いた後、重箱料理からウハチを供え(おかずを取り出してひっくり返し、重箱の上に乗せる)、焼香客の焼香へと移ります。
ちなみに、ウハチを供える際には「ウハチデービル」と、「ウハチでございます。」の言葉も添えます。「ウハチ」とは「お初」と書き、「初めて(手を付ける)おかず」の意味です。
ウチカビは施主が五枚、他の家族はそれぞれ三枚を焚くのが一般的です。他の家族がウチカビを焚く時には、「〇〇のウチカビです。」と、誰からのウチカビなのかを伝えてください。
また、施主が拝するヒラウコーはタヒラ(二枚)、焼香客は半分(三本分)です。日本線香であれば1本で構いません。
ハチナンカ、霊前での施主のグイス①
ハチナンカのスーコーの最初に、施主(家長)がヒラウコーをタヒラ拝した後、手を合わせながら、このようにグイスを唱えます。長いので、まずは前半です。
【 ハチナンカ、施主のグイス① 】
「ウートゥートゥー チューヤ 〇〇ガユーアマイトミスーチカラ ハチナンカナイビタン、
(ウートゥートゥー、今日は〇〇が亡くなってから 七日が経ちました)
ウミヌエームン・アグヌエームン、ウサンミウジュウヌ ジョーヌーキントゥー ハチナンカヌ クミタティアギタビティ、
(海の幸・山の幸・御三味のお重と上納金を、初七日のために組み立てました)
クワンマガンチャァ ムルスルティ スーコー アグィトーイビィーグトゥー、ウキトゥイジュラサァ ウケトリジュラサァー ウタビミスーリー、
(子孫が皆揃って焼香を執り行っていますので、どうぞ受け取ってください)」
…ここまでが(まだ)前半です。法事でお供え物をする時は、このグイスを伝えるのは定番です。
①今日の日の意味合い(今回ならハチナンカであること)を伝え、②お供え物の内容をお伝えする、③家族でスーコーを行っているので、受け取っていただくようお願いする、流れで拝みます。
ハチナンカ、霊前での施主のグイス②
続いてそのまま後半では、追善供養とともに故人へ安心して成仏していただくよう、言葉を掛ける流れです。
【 ハチナンカ、施主のグイス② 】
「ニンヌヤク・チィチィヌヤク、ハンシュースビラン ザンニンニウムティ ウランニ ウムトゥーイビースガ、
(年厄・月厄を避けることができずに、残念な想いがあるとは思いますが、)
イッチーマディン チムガカーィシィー トゥンケーマンケェー シミセーネー、イチミヤマセィー アイビラングトゥー
(いつまでも気に掛けることは、生きる身には良くありません)
ンジャル グソーヤー、マユインスミスーラングトゥーニー、ジョーブツウタビミスーリー、
(ですので、後生(後世)は迷う事なきよう、成仏してください)」
…こちらが、後半です。「グソー」は「後生」と書き、あの世の世界を意味します。一方で「イチミ」とは「生きる身」を差し、この世にいる者です。
ハチナンカ、霊前での施主のグイス③
拝みの最後には、このハチナンカのスーコーに間違えや手落ちがあっても、どうぞ大らかにお許しください。…の内容を伝え、通常の御願と同じく、子孫を見守ってくださるよう、お願いします。
【 ハチナンカ、施主のグイス③ 】
「マタ、ティウティー ティーブスクヌミティシジャ ウヌガミジュラサァ ウタビミスーチー、
(また、手落ち・不足は大らかに見てください)
クァンマガンチャアムル ミーマンティー クィミスーリー ウニゲーサビラ
(子孫をお見守りくださるよう、お願いいたします)」
…これで終了です。続いてウチカビを焚く儀礼をしてください。
いかがでしたでしょうか、今日はハチナンカのスーコーで最初に行う、施主が拝む際の言葉「グイス」をお伝えしました。
ただ、丁寧にハチナンカを執り行いたい方や神職の方々は、沖縄言葉でグイスを唱えますが、内容は同じながらも、現代の言葉で拝む人も多いです。さらに冒頭でお伝えしたように、そもそも読経供養も多くなりました。
もともと仏教では、ハチナンカから四十九日までの供養は追善供養ですので、故人の生前の罪を軽くするためにあり、供物もあの世の裁判官へ供えるとされています。
そのため、故人へ語り掛ける沖縄の拝みは、また違う意味合いがありますが、家族の気持ちも、拝みと共に落ち着いてくるとの話も多いです。
まとめ
ハチナンカのグイスの内容
・スーコーの最初で拝む
・お供え物と焼香をすることを伝える
・心おきなく成仏するよう伝える
・焼香の手落ちは大目にみてもらうよう伝える
・最後に子孫を見守ってくれるよう伝える
・拝みの後、ウチカビを焚く