相続法が2019年に大革命その1☆改正される5つの法律
相続法が改正され、2019年から次々と施行されます。この改正により、より現実に即した相続となるなら、2019年からの新たな「改正相続法」も理解しておきたいですよね。
例えば口座凍結によって葬儀費用が調達しにくい事態が発生するなど、何かと不自由の多かった相続法…、2019年(平成31年)の施行に至るまで、何と40年も改正されていなかったのですから、当然と言えば当然です。
早速、改正相続法は2019年1月13日から、自筆遺言書の緩和から施行され始めました。
そこで今回は、「改正相続法」(2019年より施行)について、何が変わるのか、まずは最初の3項目をお伝えします。
相続法が2019年に大革命その1☆
改正される5つの法律
改正相続法2019年、自筆遺言書の緩和
まず先陣を切って施行された改正相続法が、2019年1月13日より施行された「自筆遺言書の緩和」です。
今までは自筆遺言書が効力を持つ条件として、財産目録など全ての資料に至るまで、「全て被相続人本人の自筆による」ものでなくてはなりませんでした。
けれども財産目録など全ての添付資料を自筆で書き上げることは、大変労力を要する内容でもあります。
【 改正相続法2019年、自筆遺言書の緩和 】
☆ そのために改正相続法では、2019年1月13日からは、財産目録について自筆を必要としないとされたため、パソコンなどでの資料作成も可能です。
・ さらに銀行通帳や不動産登記などの書類のコピー添付も認められ、自筆でない書類に関しては署名捺印にて証明されます。
ちなみに2020年7月10日と、少し先の話になりますが、自筆遺言書を法務局が保管する制度「遺言書保管法」も施行されることが決まりました。
改正相続法2019年、遺贈(贈与)財産に関する改正
続く改正相続法で、2019年7月1日から施行されるものが、故人の生前の遺贈(贈与)財産に関する法律です。
今までは例えば長年連れ添った妻を案じて、夫が生前に家などの財産を贈与したとしても、「遺産先渡し」として扱われてきました。
この場合「遺産先渡し」ですので、夫が亡くなり財産分与が行われる時、せっかく生前に夫が贈与をしても、妻は受け取り総額から贈与分を差し引いた金額しか、受け取ることができません。
これでは、夫がわざわざ妻を慮って生前贈与をしても、その甲斐がありませんよね。特にこの場合の妻が困ってしまうのは…、住まいですよね。
この問題が解決できるのが、「持ち戻し免除の意思表示の推定規定」です。
【 改正相続法2019年、持ち戻し免除の意思表示の推定規定 】
☆ この改正相続法が適用されると、夫が生前に贈与した財産を持ち戻して計算しなくても良いので、その気持ちが反映できます。その条件は下記の通りです。
・ 夫婦の婚姻期間が20年以上経過していること。
・ 財産贈与の内容が居住用不動産(つまり住まい)であること。
…この場合、故人の意思表示とみなし、先渡し財産とされません。
改正相続法2019年、葬儀費用に困らない
今まで、多くの遺族から「困った!」との声が多かったのが、故人の口座凍結です。口座名義の当人が亡くなると、一連の相続手続きを終えるまで、故人名義の口座は凍結されたままでした。
一方で、家族が亡くなると家族は早ければその日の内にお通夜、翌日には葬儀を出さなければなりません。その後も週忌法要、四十九日、納骨…と、何かとお金が掛かります。
用途が葬儀費用であれば、故人口座から引き出すこともできるのですが、相続人全員の同意を得なければならず、現実的にはとても大変な作業でした。
ですから、故人の口座で生計をひとつにして来た家族の場合、葬儀会社に支払いを待ってもらい、集まったお香典で支払いをしたり、それが足りなかった場合には借金をすることもあります。
この不便さに対応した改正相続法2019年が、コチラです。
【 改正相続法2019年、相続前の単独引き出し 】
☆ 個人であっても(他の相続人の同意を得なくても)、一定金額であれば、故人の口座から引き出しが可能です。ただし、下記のような条件があります。
・ 引き出す本人が相続人であること。
・ 相続人の相続分の割合を示すこと。
・ 計算式による限度額を超えない金額であること。
…以上の条件が合えば、家庭裁判所などまで通す必要がありません。ちなみに、「計算式」は以下のようになります。
【 改正相続法2019年、個人での限度額の計算式 】
☆ 預貯金の金額(相続開始時点)× 1/3 × 相続人の相続分
・ 各口座ごとに計算され、また、計算式ではそれ以上であっても、限度額は150万円を超えることはできません。(法務省令により。)
150万円は超えないとされても、100万円は引き出すことができるようになるために、葬儀費用に困ることもなくなります。
最近では香典を辞退する家族葬も増えたため、このような制度を使って故人口座から引き出す事例は、改正相続法の施行と共に、2019年から増えて行くのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか、今日は改正相続法2019年から施行される法律のなかから、3つの項目をお伝えしました。
2018年に改正相続法が公布され、2019年から1月13日の遺言書の緩和を皮切りに7月からは次々と施行されるのは、戸惑う声が多かった問題を改善するためです。
また、この他にも相続人の遺留分に関する相続法の改正や、相続人ではない親族の貢献にも考慮した、相続法の改正も見受けられます。
これらの他の改正相続法で2019年度から施行される項目に関しては、別記事にてお伝えしますので、コチラもぜひ、参考にしてください。
まとめ
2019年に施行される改正相続法とは(その1)
・自筆遺言書が一部パソコンでも認められる
・自筆遺言書が法務局で保管される(2020年~)
・個人相続人でも凍結口座の引き出しが可能