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沖縄の線香「ヒラウコー」☆御願内容で違う本数①

沖縄の線香「ヒラウコー」☆御願内容で違う本数①
沖縄線香は「平御香(ヒラウコー)」と呼ばれる、独特なものですよね。本州で広く使われているお線香や抹香も、本数や回数に意味合いがありますが、沖縄線香「ヒラウコー」も同じです。

 

その上、沖縄線香「ヒラウコー」は、御願の種類やお線香を拝する人(立場)などによっても、その本数が変わるため、沖縄でも多くの人々が「何本供えれば良いんだっけ?」と戸惑う姿を見掛けますよね。

 

そこで今日は、沖縄線香「ヒラウコー」について、拝する本数の習わしや意味合い、さまざまな「呼び方」などについてお伝えします。

 



 

沖縄の線香「ヒラウコー」☆
御願内容で違う本数①

 

沖縄線香「ヒラウコー」と日本線香は違う


沖縄線香「ヒラウコー」は、その形状からして日本線香とは違います。日本線香1本は竹ひごのように細く丸いものですよね。

 

沖縄線香「ヒラウコー」は、この日本線香を6本長い側面にくっつけたような形をしています。(実際に作る時には、このような型を付けて作ることが多いです。)

 

【 沖縄線香「ヒラウコー」の呼び方、日本線香の呼び方 】

 

★ 沖縄線香「ヒラウコー」

 

…「ヒラウコー」は「平御香」と漢字で書き、拝する本数や拝し方などによって、さまざまな「呼び名」があります。本数については後で詳しくお伝えしますので、ここでは、「拝し方」による呼び名をお伝えします。

 

① 「ヒジュルウコー(冷たい御香)」 … 火を灯さずに拝する時には、「ヒジュルウコー」と呼ばれ、「シルカビ」と呼ばれる半紙に乗せてのお供えです。

 

② 「フトゥチウコー(解き御香)」 … 年末に神様が家から天へと帰るために、一年の「祈願を解く」時などに拝するヒラウコーを「フトゥチウコー」「と言います。

 

★ 日本線香

 

… 沖縄線香「ヒラウコー」と区別するために、沖縄ではいくつかの呼び名があります。

 

① 「イッポンウコー(一本御香)」 … 沖縄線香「ヒラウコー」は、一片が6本で数えますが、日本線香は1本のみですので、「イッポンウコー(一本御香)」です。

 

② 「カバシウコー(香ばし御香)」 … 昔ながらの沖縄線香「ヒラウコー」はあまり香料が入っていません。そのため、本州の日本線香はとても香り高く、「香り高いお線香」と言う意味合いで「カバシウコー」と呼ばれました。

 

沖縄線香「ヒラウコー」を拝するための香炉は、沖縄では「ウコール」と呼ばれます。

 

このウコールも、拝所(うがんじゅ)や御嶽(うたき)にあるものは「ウトゥーシウコール(御通し御香炉)」と呼ばれますし、ヒヌカン(火の神)などに使う、白い香炉は「カミウコール(神御香炉)」です。

 

また、お仏壇に使う香炉は白ではなく青く中央に花の絵が描かれたものが沖縄では多いですが、これも「グァンスウコール(元祖御香炉)」などと呼ばれてきました。

 

 

沖縄線香「ヒラウコー」を拝する本数


沖縄でお線香(ヒラウコー)を拝する時、ふと疑問に思ったり、質問が多い事柄が「拝する本数」ではないでしょうか。

 

現代では「心がこもっていれば何本でも良い」とも言えますが、昔ながらの沖縄ではお線香(ヒラウコー)を拝する本数にも、確かに習わしがありました。

 

【 沖縄線香(ヒラウコー)を拝する本数 】

 

★ 日ごろの拝みで沖縄線香(ヒラウコー)を拝する機会と言えば、家庭にいらっしゃるヒヌカン(火の神)と、お仏壇ですよね。

 

① ジュウニフン(12本) … 沖縄線香(ヒラウコー)をタヒラ(二片※1)の12本(一片が6本なので、二片で12本)お供えすることを意味し、主にお仏壇(御先祖様)へ拝します。

 

② ジュウゴホン(15本)・ジュウゴコー(十五香) … 沖縄線香(ヒラウコー)をタヒラ(二片)と半ヒラ(一片を溝に沿って半分に割ったもの)を差し、主にヒヌカン(火の神)など神様へ拝するのが特徴です。

 

…これが沖縄の拝みの基本ですが、「ジュウニフン」にはお仏壇や御先祖様の他にもさまざまな用途があります。

 

沖縄では「十二」は東西南北の「方角」や、一年と言う「月日」、二枚を重ね合わせて「夫婦和合」などの意味合いがあります。

 

(※1)「タヒラ」は沖縄言葉で「タ」が「二」、「ヒラ」が「片」を意味するので、「タヒラ=二片」です。

 

ジュウニフン(12本)を拝する、様々な場面


前項でお伝えしたように、例えば沖縄でヒヌカン(火の神)様へ拝む毎月旧暦1日・15日には、ヒヌカン(火の神)にはジュウゴホン(15本)、お仏壇へはジュウニフン(12本)をが基本です。

 

また、この他に沖縄線香(ヒラウコー)をタヒラ(二片)供える場面は、下記のようにさまざまにあります。

 

【 ジュウニフン(12本)を供える場面 】

 

① お仏壇へ供えるジュウニフン … 「ジュウニフン」には、御先祖様への「ウトゥーシ(お通し)」をする意味合いがあります。

 

② 干支(十二支)へ供えるジュウニフン … 沖縄の御願では干支(十二支)は重要です。ジュウニフンには十二支、十二方角の四方八方の神様へ、願いを「通し」ます。

 

③ 一年十二カ月のジュウニフン … 一年の家族の健康や繁栄を祈願する御願では、「十二か月」の意味合いを持ってジュウニフンを拝します。主に家族の代表として拝する際の本数です。

 

④ 「愛和」を意味するジュウニフン … 家族愛和・夫婦愛和など、家族の亀裂を癒して「和合」するとして、二片の沖縄線香(ヒラウコー)を重ね合わせて拝む方法もあります。

 

…などなどの意味合いがあり、沖縄の御願ではジュウニフンが多く扱われます。

 

十二支の四方八方の神様として、各方角の神様の他、ウティン(天)・ジーチ(土地)・リュウグ(竜宮=海)の神々など、多くの神様へ繋げ通す意味合いも大きいです。

 

【 沖縄線香(ヒラウコー)、家長と家族 】

 

★ ただし③でお伝えしたように、家庭の拝みでは家長などの代表として拝する者のみがジュウニフンとします。

 

・ 残りの家族は半ヒラ「サンブンウコー(三本御香)」を供えてください。

 

 

このように、沖縄線香「ヒラウコー」は形状が独特なだけではなく、御願内容や拝む人によって本数(枚数)が変わるなど、扱い方も昔ながらの習わしがあります。

 

一般的な御願行事であれば、家長(家族の代表)でなければ「サンブンウコー(三本御香)」を拝すれば、ほとんどが問題ありません。

 

また沖縄の日ごろの御願行事では、今回お伝えしただけではなく、お盆などには違う形のお線香を使ったり、年末などに「御願を解く(ウグァンブトゥチ)」時には、また違う本数を供えるなど、多くの慣習が残されてきました。

 

さらに神職になると、より細かく沖縄線香(ヒラウコー)の本数が変わってくるなど、さまざまです。

 

このより細やかな習わしについては、また別記事「沖縄の線香「ヒラウコー」☆御願内容で違う本数②」でお伝えしますので、コチラも参考にしてください。

 

 

まとめ

沖縄のヒラウコーを拝する本数や呼び名とは

・ヒジュルウコーは火を付けずに拝する
・フトゥチウコーは「御願解き」に用いる
・御先祖様へは「ジュウニフン(12本)」
・神様へは「ジュウゴホン(15本)」
・十二支、十二方角の神々へ祈願する「ジュウニフン」
・一年十二カ月の安全や繁栄祈願の「ジュウニフン」
・家長以外の家族は、「サンブンウコー」
・この他にも御願内容によって本数に違いがある



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