沖縄の旧盆行事の行い方④☆最終日ウークイの進め方
沖縄の旧盆では、最終日のウークイが大切ですよね。沖縄では地域によって旧盆を四日間行う家もありますが、一般的には三日目が最終日となる「ウークイ」です。
この日はウンケーでお迎えした御先祖様が、あの世へお帰りになります。そのためウサンミ(お供え物の重箱料理)を並べて、家族や親族皆で賑やかにウサンデー(お供え物を下ろして一緒にいただくこと)を行ってお見送りをしてください。
沖縄の旧盆で御先祖様をお見送りするウークイの儀式は、夕方以降に行われます。ひと昔前までは夜まで仏前でウサンデーを楽しみ、出来るだけ遅い時間に行われましたが、今では親族の帰りも考え、夕方頃の儀礼が多くなりました。
せっかく沖縄で旧盆に参加するのですから、丁寧にお見送りをしたいですよね。そこで今回は沖縄での旧盆、最終日のウークイでのお供え物や儀礼など、進め方をお伝えします。
沖縄の旧盆行事の行い方④☆
最終日ウークイの進め方
最終日ウークイの朝食と昼食
ウークイの儀礼は夕方以降に行いますから、朝と昼はナカビと同じように通常のお供えものをしてください。基本的にはご飯とみそ汁、「ウサチ」と呼ばれる酢の物をお供えします。
【 沖縄の旧盆、お供え物を出す時のグイス 】
★ 「グイス」とは御願儀礼の時、神様や御先祖様へ唱える言葉です。お供え物を出す時、下記のようにお伝えしてください。
・ 「ウートートゥ ウヤフジガナシー(あな尊き 御先祖様)、
ヒティミティムン ウサギティーイビィン(朝食をお供えしています)
ウキトゥイジュラサー ウタビミスーリ(受け取ってください)」
「ヒティミティムン」とは沖縄の言葉で「朝食」です。ですから、この部分はその時々の食事によって変わり、「昼食」は「アサバン」、「夕食」は「ユウバン」と言います。
昼食が「アサバン」なのでちょっとややこしいのですが、言い換えて御先祖様へお伝えしてください。
沖縄の旧盆、ウークイの夜ご飯
沖縄の旧盆、ウークイの夜は沖縄の御願行事でのお供え物の定番である重箱料理、「ウサンミ」をお供えします。ウサンミには二段の「カタシー」と、四段の「チュクン」がありますが、沖縄の旧盆では四段の「チュクン」です。
【 沖縄の旧盆、ウサンミ料理 】
★ 「ムチスク」と呼ばれるお仏壇がある家では、ウサンミを準備し、集まる親族はそれぞれにお菓子の詰め合わせや果物などを持ち寄ります。
・ 現代、沖縄では旧盆時期になるとスーパーや仕出し料理店、コンビニなどでも注文できるようになりました。
けれども昔ながらの家では、朝から家の女性が集まってウサンミを料理します。ウサンミは二段が「ムチジュー(餅重)」で、残りの二段がおかず重です。
お餅も手作りができますが、今ではウサンミを手作りする家でも、お餅は買う家が多くなりました。ムチジューは奇数個との決まりがあり、15個や21個などがあります。
【 沖縄の旧盆、ウサンミのおかず 】
★ 豚の三枚肉の煮つけや魚の天ぷら、カステラかまぼこや揚げ豆腐、返し昆布や赤かまぼこなどが多いです。また、大根やゴボウを煮付けた料理も良く詰められます。
ウークイの拝み①仏前
先ほどのウサンミの重箱の上に、これからの拝みで使うウチカビも添えてください。ウチカビはあの世(沖縄では後生)のお金で、家長は五枚、残りの家族は三枚を揃えるのが慣習です。
【 沖縄の旧盆、仏前でのウークイの拝み 】
① 家長がまずヒラウコー(沖縄線香)をタヒラ供え、拝みを捧げてください。拝みのグイスは「お蔭様で今年もまた、家族みなが揃っておもてなしをすることができました。ありがとうございます。」です。
② 続いて集まった家族や親族が、ヒラウコー半分をそれぞれ供えます。
③ 再び全員で拝みを捧げ、下記の内容を御先祖様へお伝えしてください。
「本日はウークイの日です。三日間ありがとうございました。お供え物、お土産を用意しましたので、どうぞお受け取りください。
あの世でも私たち子孫(クァッウマガー)をお見守りいただき、来年もぜひお越しください。」
④ お供えに広げていたウサンミの中から、おかずを数品取り出して、お重の上にひっくり返して乗せます。これが「ウハチを抜く」儀式です。その後、自分達もウサンデー(お供え物をお下がり)して、集まった皆でいただきます。
⑤ ウサンデーが落ち着いた頃合いで、ウチカビを仏前で焚き上げる手順です。最初に家長→続いて集まった家族の順番で焚いて行きます。最後は仏壇のお酒を掛けて、火を消してください。
⑥ 皆でウサンデー(お供え物の重箱料理を家族で楽しむこと)を楽しんだら、お仏壇にお供えしたお花やお茶、先ほど取り出したウハチや、お供え物のお箸(ソーローハーシ)やミンヌクをボウルに入れます。
ちなみに「ソーローハーシ」は、植物(メドハギ)で作った御先祖様用のお箸で、お重の上に添えるものです。
また「ミンヌク」とは「水の子」の意味合いで、お供え物を作った過程で出て来た、野菜の切れ端やサトウキビの切れ端のお供え物で、御先祖様に付いて来たチガリムン(餓鬼)や無縁仏のためのものとなります。ミンヌクは別にして、門前のお見送り前に門の外に撒く家もあります。
ウークイの拝み②門前
沖縄の旧盆、ウークイの拝みでは仏前→門前へと移ります。門前へは、先ほど仏前で使ったウチカビのボウルをそのまま持って出てください。また、ヒラウコーとロウソク二つも一緒に持って行きます。
【 沖縄の旧盆、門前でのウークイの拝み 】
★ 先ほどの金属ボウルを門前の中央に供えたら、家長がヒラウコーをタヒラ(二枚)、お供えします。家長が唱えるグイスはコチラです。
「今回も滞りなくおもてなしができ、ありがとうございました。お蔭様で家族みな揃って、お見送りをしています。
お土産とごちそうを用意しました。どうぞウチカビとともにお持ち帰りください。」
…家長がグイスを唱え終わったら、今度は集まった家族・親族で手を合わせ、「来年もどうぞお越しください。」とお見送りをします。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄の旧盆の最終日、ウークイの一日についてお伝えしました。朝から流れやお供え物、夕方以降に御先祖様をお見送りする儀礼まで、お伝えしています。
門前で立てる一対(二本)のロウソクは、御先祖様をお迎えするウンケーでも置かれますが、ひと昔前には松灯(沖縄の言葉では「テービ」)が用いられてきました。
本州のお盆と同じく、ロウソクは足元を照らす目印です。また、沖縄では七節もの長いウージ(サトウキビ)をお仏壇の両脇にお供えしますが、これも御先祖様があの世へ帰る時、つまづかないように杖を用意します。
ひとつひとつに意味合いがある沖縄の旧盆、本記事も参考にしながら、丁寧に御先祖様をお見送りしてください。
まとめ
沖縄の旧盆、ウークイの進め方
・ウークイの儀礼は夕方以降に行う
・夜ご飯には重箱料理を供える
・仏前で家族で拝み感謝を伝える
・重箱からおかずを取り出す
・金属ボウルにウチカビを焚く
・お酒で消してお供え物を入れる
・門前にボウルを運び、拝みを捧げる