沖縄の小正月☆お飾りの片付け方と拝み方
沖縄では旧暦の小正月(ソーグァッチグァー)を旧正月終わりの節目として、お飾りや鏡餅などを片付けますよね。
沖縄の「小正月」は地域によってさまざまで、多い日取りは旧暦1月7日、14日、15日…、そして20日です。新暦ではありますが、1月20日は全国的にも、正月終わりの節目とされています。
2020年は1月25日が旧正月でしたので、2月には数々の「旧正月の節目」がやってきます。神様へ丁寧に感謝を捧げ、一年を順調に歩みたいですよね。
そこで今日は沖縄の小正月で、お飾りを片付ける時、神様やご先祖様へ捧げるウサギムン(お供え物)や、拝み方をお伝えします。
沖縄の小正月☆
お飾りの片付け方と拝み方
沖縄に数々ある「小正月」
全国的にも地域によって大きく違いが出るように、沖縄でも小正月の日取りは地域によってまちまちです。ただ、大きく分けて3つの小正月と、お飾りを片付ける「節句直し(スクヌーシ)」があるのが特徴です。
「節句直し(スクヌーシ)」は沖縄でお飾りを片付ける節目の御願を指します。
【 沖縄の小正月☆お飾りを片付ける節目 】
① 旧暦1月7日「七日節句(ナンカヌスク)」
→全国的に言うところの「七草粥」の日に当たり、沖縄でも「七品雑炊・菜雑炊(ナージューシー)」をいただき、旧正月の胃の疲れを癒しながら、一年の家族の健康を祈願します。
★この日の七日節句の御願の後、「節句直し(スクヌーシ)」を行う地域も多いです。
② 旧暦1月14日「十四日(トゥッカーユッカー)」
→旧暦1月7日の時点では、沖縄の1月2日から12日間(干支の数)行われる、家族の健康祈願・厄払いの「トゥシビーの御願」が終わっていない家庭もあります。
★そのため、特にその年のトゥシビー御願が旧暦1月7日までに終わらなかった家庭などでは、旧暦1月14日(旧正月初めての満月の前日)を節目とし、お飾りを片付ける家庭も多いです。
③ 旧暦1月15日「十五日(ジューグニチ)」
→旧暦では1日が新月、15日が満月になりますが、その昔の沖縄では満月になる旧暦1月15日に旧正月を祝ったと言われます。そこで旧暦1月15日を小正月とする地域もあります。
★旧暦1月15日はヒヌカン(火の神)への御願日でもあるため、この日を小正月とする地域はごく一部です。南部地域などに多く見受けられます。
④ 旧暦1月20日「二十日正月(ハチカソーグァッチ)」
→沖縄で最も最後の旧正月の節目となるのが、この「二十日正月(ハチカソーグァッチ)」です。
…この沖縄の小正月のどこかでお飾りを片付けます。ちなみに旧暦1月16日には「十六日(ジュウルクニチー)」もありますが、これは「後生(グソー)の正月」…、つまりあの世の正月となり、先祖供養の日です。
離島地域ではこの日が本島のお墓参り行事「清明祭(シーミー)」に代わる地域もありますが、本島では、旧正月を祝うことのできない喪中の家の、先祖供養に当たります。
…では、これらの沖縄の小正月は、2020年新暦で見ると何日になるでしょうか。
【 沖縄の小正月☆お飾りを片付ける日2020年 】
①旧暦1月7日・七日節句(ナンカヌスク)…2020年1月31日(金)
②旧暦1月14日・十四日(トゥッカーユッカー)…2020年2月7日(金)
③旧暦1月15日・十五日(ジュウグニチー)…2020年2月8日(土)
④旧暦1月20日・二十日正月(ハチカソーグァッチ)…2020年2月13日(木)
…ヒヌカン(火の神)を祀る家ではヒヌカンへのグイスがありますので、現代では一般的には十四日(トゥッカーユッカー)が多いです。
十四日(トゥッカーユッカー)での拝み方
沖縄の小正月では、十四日(トゥッカーユッカー)での節目での「節目直し(スクヌーシ)」が最も多いのではないでしょうか。
沖縄でも小正月と言いますが、二十日正月を沖縄の「小正月」として、十四日は「正月小(ソーグァッチグァー)」と言う地域もあります。
この他にも十四日(トゥッカーユッカー)は、さまざまな呼び名で親しまれ、「童正月(ワラビソーグァッチ)」と呼ぶ方も多いです。
【 沖縄の小正月☆十四日の拝み方 】
① ウサギムン(お供え物)
・ ウチャワキ(お茶脇=おかずをお皿に盛ったもの9
② ヒラウコー(平線香=沖縄線香)
・ヒヌカン=タヒラ半(二片と半分=二枚と半分=日本線香12本と3本)
・お仏壇=タヒラ(二片=二枚=日本線香12本)
・床の間=タヒラ(二片=二枚=日本線香12本)
③ 拝みのグイス(祝詞=言葉)
「ウトゥ―トゥ、ヒヌカンガナシー、
(あな尊き ヒヌカン様、
チューヤ トゥッカユッカヌヒー ナトゥーイビィン、
(今日は十四日の日になりましたので、)
クマンカイ、 ウチャワキ ウサギティービングトゥー、
(これからお茶脇をお供えしますので、)
ウキトゥイジュラスァー ウタビミスーリー。
(受け取ってくださいますように…。)
マタ、ソーグァッチヌウカザイ アギャビタン ウカザイムチーヤー、
(また、お正月に飾っておりましたお飾りを、)
チューヌヒガラムトゥイ ムル サギラチクミスーリーヤー、ウートゥートゥー。
(今日の良き日に、下げさせてくださいますように、なーむー。)」
…以上です。
沖縄の旧正月での節句直し(スクヌーシ)の拝みは、ヒヌカンを最初に行い、続いてお仏壇があればお仏壇、床の間と進みますので、拝み自体はヒヌカンへ拝みを捧げれば、後はちょっとした言葉掛けのみで問題ありません。
【 沖縄の小正月☆お仏壇や床の間での言葉掛け 】
★ お正月のお飾りものやお供え物を下げる時には、「ウサンデーサビラ(お下げしますね。)」と一言添えれば大丈夫です。
二十日正月の拝み方
沖縄の小正月の最後の節目は「二十日正月(ハチカソーグァッチ)」です。そのために二十日正月は「終わり正月(ウワイソーグァッチ)」などとも言います。
この日にお飾りを片付けるのではれば十四日(トゥッカーユッカー)の拝みと同じく報告しつつ、二十日正月では無事に旧正月を祝うことが出来たことへの感謝を捧げてください。
【 沖縄の小正月☆二十日正月の拝み方 】
① ウサギムン(お供え物)
… 重箱料理ほどではなくて良いのですが、ちょっとした御馳走や「ハレの膳」を作り、ヒヌカン・お仏壇・床の間へ備えます。
② ヒラウコー(平線香=沖縄線香)
… 拝し方は十四日(トゥッカーユッカー)に同じです。
③ 拝みのグイス(祝詞)
「ウトゥ―トゥー、ヒヌカンガナシー、
(あな尊き ヒヌカンの神様)
チューヤ ハチカソグァッチヌヒー ナトゥーイビィン、
(今日は 二十日正月の日になりました、)
クリマディ ゲンキニ ソーグァッチヌ ウトゥムチィン シミティクィミスーリー、ウシディガフゥーディービル。
(これまで元気にお正月のお祝いをさせていただきまして、ありがとうございます。)
チューシィ、ソーグァッチヌギョージン、ブジ ウフヤビタン、ウシディガフゥーディービル、ウートゥートゥー。
(おかげさまで、お正月行事を無事に終えることができました、ありがとうございました、ウートゥートゥー。)」
…以上です。
いかがでしたでしょうか、今日は旧正月の節目となる沖縄の小正月の日取りと、沖縄の小正月でのヒヌカン(火の神)やお仏壇、床の間へのウサギムン(お供え物)や拝み方をお伝えしました。
少し触れましたが、身近な家族がこの一年内に亡くなった喪中の家では、旧正月はもちろん、沖縄では小正月も祝うことはありません。
その代わり、日ごろは清明祭(シーミー)でお墓参りを行う家庭でも、喪中の家では旧暦1月16日の「十六日」にお墓参りをして供養をします。
※これを「新十六日(ミージュウルクニチー)」として、離島などに多い本来のお墓参り行事を「十六日(ジュウルクニチー)」とする考え方も多いです。
二十日正月では現在では、豚の三枚肉の煮付けやゴボウやダイコンの煮しめなどが多いです。
また、拝み下げた後のお飾りの処し方は別記事「沖縄の「七日節句(ナンカヌスク)」☆昔ながらの拝み方」も参考にしてください。
まとめ
沖縄の小正月
・旧暦1月7日七日節句…2020年1月31日(金)
・旧暦1月14日十四日…2020年2月7日(金)
・旧暦1月15日十五日…2020年2月8日(土)
・旧暦1月20日二十日正月…2020年2月13日(木)
・ヒヌカンお仏壇床の間にお供え物をする
・線香を拝して、片付けの報告をして片付ける
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