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「アブシバレー」は旧暦四月☆「虫払い」の儀式とは

「アブシバレー」は旧暦四月☆「虫払い」の儀式とは
「アブシバレー」は沖縄の人々にも聞きなれない旧暦行事ですよね。けれども、現代でも南部・北部や離島地域では、この「アブシバレー」の旧暦行事が見受けられます。

 

「アブシバレー」とは「畦(うね)払い」と書き、虫払い…、つまり害虫駆除の意味合いです。

 

農業が盛んだった昔には、草が茂るこの時期に草を刈り取り害虫を駆除すると共に、神々様へ御願をして、害虫による被害から守られるよう、祈願をしました。

 

すっかり見なくなりましたが、少しでも現代に残したいですよね。そこで今日は、家庭で行う「アブシバレー」の御願方法と、豆知識をお伝えします。

 



 

「アブシバレー」は旧暦四月☆
「虫払い」の儀式とは

 

アブシバレーのお供え物


地域行事としてはすっかり見なくなりましたが、アブシバレーの拝みを行う家庭はまだ残っています

 

家庭で行うアブシバレーの拝み、お供え物と言えば「クファジューシー」ですが、豚の三枚肉の煮付けなどのお肉を入れたジューシーが多いです。

 

その昔は(地域によっても異なりますが)少し固めのジューシー雑炊を供える家庭も多かったのではないでしょうか。

 

【 家庭で行うアブシバレーのウサギムン 】

 

☆ ウサギムン(お供え物) … 

 

・ 「クファジューシー」 … お肉などが入った沖縄風炊き込みご飯「ジューシー」(昔ながらのものであれば固めの雑炊風)

 

・ 「ウサチ」 … 酢の物や和え物料理で、モーウィやゴーヤー、わかめときゅうりの酢の物など、家庭やその時々によってさまざまです。

 

…これらを膳に配膳して、お箸を添え、お仏壇に供えます。主にはお仏壇ですが、報告を兼ねてヒヌカンへもお供えする家は多いです。

 

(ヒヌカンへお供えをする時には、お膳に配膳する必要はありません。クファジューシーのお椀のみを供え、お箸も添えなくても大丈夫です。

 

 

家庭での、アブシバレーの拝み方


…以上のウサギムン(お供え物)をお供えしたら、家長を中心にして、お仏壇へ手を合わせます。昔は地域行事でしたが、現代では拝み自体が小さい規模になりました。

 

そのために家族で拝みは行わず、家長や母など、一人での拝みも多いです。

 

【 家庭で行うアブシバレーの拝み 】

 

☆ 以上のウサギムン(お供え物)をお供えしたら、ヒラウコー(平線香=沖縄線香)をタヒラ(二枚=日本線香12本)を香炉に拝してください。

 

・ 農作のための儀礼ですので、昔ながらの祈願では稲穂の豊作を祈願しますが、現代では農業以外のお仕事も多いですよね。家庭の繁栄と仕事の発展を祈願してください。

 

…他の沖縄の旧暦行事と同じく、拝みを済ませて時間が経ったら、ウサンデー(ウサギムン=お供え物を下げて、いただくこと)をしても問題はありません。

 

 

土地を守る氏神様へ拝む


地域行事としても盛んだったその昔には、神役など拝み事を専門とする人々が中心となり、地元の御嶽巡りをしましたが、現代ではなかなか見ることもないですよね。

 

それでも地元の土地を守ってくださる氏神様…、御嶽や土帝君(トゥーティークン=土地神様)などへ、個人的に拝み廻る方もいます。

 

【 地元の氏神様を拝む 】

 

☆ とは言っても、個人的に拝む場合には、細やかな決まり事はあまり厳しくはありません

 

・ 基本的にはヒラウコーはタヒラ半(二枚半=日本線香12本と3本)を拝して、日ごろの御加護を感謝すると共に、今後の発展を拝みます。

 

稲穂を育てている田畑では、このアブシバレー(畦払い)で茂った草を刈り、害虫駆除をしていました。

 

害虫駆除を終えると、皆で持ち寄った麦飯や豚肉料理などの御馳走をいただいて、その日一日、ゆっくり休み娯楽を楽しみます。

 

 

葉の船に虫を乗せて、ニライカナイへ


地域によって現代にも残る儀礼として、芭蕉などの大きな葉で船を作り、そこに虫を乗せて海へ流すものがあります。

 

これは本州で云うところの、「虫送り」に意味合いが似ているのではないでしょうか…。

 

【 アブシバレーとニライカナイ 】

 

☆ 一部では魂や神々がいる「ニライカナイ」を「極楽浄土」と表現しますが、このように「害虫」もニライカナイへ送ります

 

・ そのために「ニライカナイは『極楽浄土』とは違う世界」と感じている沖縄の方々も多いです。

 

難しいところなのですが、沖縄には「ウティン(天)」からも神様が下りてきます。

 

一方、平行線上にある「ニライカナイ」は、人が人生を終えて死んだ後、「魂の戻る場所」「魂の休む場所」としての意味合いもあります。

 

そして亡くなってから「七代が過ぎた後」、守護神(祖霊)として子孫を守る存在になり戻って来るとも言われるため、本州の「極楽浄土」や「天国」とは、少し感覚が違っているのかもしれません。

 

 

2019年、現代のアブシバレー


現代でも地域イベントとしてなど、アブシバレー(畦払い)の儀礼を行う地域は見受けます。離島地域などでは、草舟に虫を浮かべて、沖へ流す儀式も行われている地域が多いです。

 

【 2019年のアブシバレー一例 】

 

★ 本島の一例では、金武町伊芸区などで、去った新暦の四月二十一日(日)に行われました。

 

・ 現代では旧暦だけではなく、新暦に合わせて行う地域も多いので、気になる方は早めにチェックしておくと安心です。

 

 

 

いかがでしたでしょうか、今日は沖縄の旧暦四月に行う年中行事、「アブシバレー(畦払い)」について、詳しくお伝えしました。

 

アブシバレーの御願日は旧暦四月十四・十五日ですが、同じくこの時期(旧暦四月の吉日)は、終わりのない農作業の一区切りとして意味合いを持つ、「クシユクイ(腰憩い)」の時期でもあります。

 

そのために、地域によってはこのアブシバレー(畦払い)とクシユクイ(腰憩い)の行事を一緒にして、皆で棒術や踊りなどの演舞を披露して楽しむ行事を催す地域も見受けられます。

 

アブシバレーのウサギムン(お供え物)、「クファジューシー」や「ウサチ」に関しては、下記の別記事をご参照ください。

 

【 沖縄のウサギムン(お供え物)レシピ 】

 

・ 簡単クファジューシー☆運動会にもおすすめレシピ
・ 「沖縄のウサチ(酢の物・和え物)☆さまざまなレシピ」

 

 

まとめ

アブシバレー(畦払い)の拝み方と豆知識

・お仏壇にクファジューシーとウサチを供える
・ヒラウコータヒラ(二枚)を拝す
・稲穂の豊作だったが、今では仕事の発展を祈願
・地元の御嶽や土帝君などを拝む
・地域によっては葉の船で虫を沖へ流す
・葉の船で流すのは「ニライカナイ」へ送る意
・同じ時期に「クシユクイ(腰憩い)」がある



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